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【中学サッカー進路特集:第2回】中体連とクラブチームの違いとは?

9月といえば「中学サッカー進路」が本格化するシーズンです。2020年加入の新入生を対象とした「セレクション」が、街クラブを中心に9月から年末にかけて多数開催されます。小学校高学年のお子さんを持つサカママにとって、どのチームを検討するのかを家族で相談し、情報収集を進めている頃かと思います。

しかし、実際のところ「サッカー進路」と言われても、正直ピンとこない親御さんがほとんどなのではないでしょうか?お子さんがまだ低学年、中学年であればなおさらです。

そこで、9月は「中学サッカー」について紹介していきます。第2回は「中体連」と「クラブチーム」の違いについて説明し、選択の幅をぜひ広げていただきたいと思います。高学年のお子さんを持つ方は、今年のチーム選択の参考に、低・中学年の親御さんは、将来直面するサッカー進路の指針として役立ててみてください!

中学年代のサッカー登録チーム数は増え続けている!?

お子さんが小学校を卒業した後、サッカーを続けるにはどうすればいいのでしょうか?ひと昔であれば「中学校の部活動に入ればいいでしょ?」と思われるかもしれませんが、2019年現在、中学生がサッカーを続ける選択肢はより拡大しているのです。

グラフ

公益財団法人 日本サッカー協会(JFA)によると、2018年度の第3種(中学年代)の選手登録数は23万6,524人となっています。これは登録数トップの第4種(小学年代)の27万1,023人に次ぐ数字であり、世代別にみても非常に多いことがわかります。登録チーム数は7,557チームを数え、この20年で1,200チーム以上も増加していることになります。少子化傾向にある中、なぜチーム数は増え続けているのでしょうか?

部活動とクラブチームは何が違う?

中学年代のサッカー環境は「中体連」と「クラブチーム」で大きく2つに分けられます。両者は所属する組織が異なり、「中体連」とは全国の中学校体育連盟サッカー専門部の所属となり、「クラブチーム」は、Jリーグクラブのアカデミーから、各地域に根づく“街クラブ”まで、さまざまなレベルのクラブが存在し、各地域のサッカー協会(FA)に所属します。

グラフ

東京を例に中学年代のチーム内訳をみていきましょう。東京都サッカー協会のホームページによると、第3種の2018年度の総チーム数は386チーム(選手数16,130人)で、中体連が286チーム、クラブチームが100チームのおよそ3:1の比率になります。この20年間で増加したチーム数の内訳も、主にクラブチームの増加がその要因になります。対して中体連所属チームは、2017年度の310チームから1年間で24チーム少なくなっているように減少傾向にあります。これらの数字が示すように、ここ数年で中学年代を取り巻く日本のサッカー事情も大きな変化がありました。

学校教育の変遷がサッカーにも変化をもたらす

中学サッカー進路特集

働き方改革が叫ばれる昨今、ワークライフバランスの確保が社会的に認識されるようになり、中学校教員による部活動顧問の業務状況が問題視されるようになりました。「部活動は学校教育の一環」という根強い意識は、多様性を伴うようになり、近頃は「中学校にサッカー部がない」という親御さんの声も多く聞くようになりました。それと同時に、首都圏を中心に増加しているのが“街クラブ”の存在です。

クラブチームではさまざまな地域から選手が集まり、サッカー“専任”のスキルを持った指導者が指導を担当。トレーナーやGK専門のコーチがいるチームもあります。中学年代は急激な身体の成長による成長障害(クラムジー)という現象に悩む選手がいるように、身体的、精神的なバランスをとるのが非常に難しく、個人差が出やすい年頃です。そんな時期だからこそ、チームを「選択」できることは、より子どもに適した環境を見つける機会を増やすことになります。中学の部活動、そしてクラブチームの中から、それぞれの特徴、特性を十分に理解することが、子どもの明るい未来を切り開くことにつながるのです。

中体連クラブチーム。全国大会がそれぞれ違う!?

第1回で中学年代が出場する大会の説明をしてきましたが、中体連とクラブチームは、それぞれ異なる大会が用意されています。今回はその「違い」に焦点を当て、もう少し詳しく説明していきましょう。

中体連クラブチームでは所属する組織が異なり、それぞれが主催する大会に参加します。全国規模の大会を例に挙げると、クラブチームは夏に開催される「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)」(主催:日本クラブユースサッカー連盟)、中体連は「全国中学校サッカー大会(全中)」(主催:日本中学校体育連盟など)が行われ、“それぞれ”の頂点を競います。

Jクラブだけじゃない!?クラブユース選手権

日本クラブユースサッカー選手権(U-15)」は毎年8月、真夏の北海道に全国9地域(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州)の代表48チームが集結。グループステージを勝ち上がった32チームによるトーナメントでの戦いの末、およそ10日間の短期決戦で優勝を競います。今年の大会でサガン鳥栖U-15が優勝したように、現行の大会名となった1997年大会以降はそのすべてをJリーグクラブの育成組織が制しています。しかし、“街クラブ”も黙っているわけではありません。2015年には三菱養和SC巣鴨ジュニアユースが第3位に入っていますし、今年は東京のFC多摩JY、埼玉のFC LAVIDAがベスト8に進出しています。前回紹介した日本屈指の地域リーグ「関東リーグ」で、街クラブが実力を伸ばしているように、近い将来、街クラブがJリーグクラブを押し退け、全国の頂点に立つ日が来ても何らおかしくありません。

「全中」は新たな時代が到来か!?

もう一つの“真夏の頂上決戦”「全国中学校サッカー大会(全中)」は、毎年8月の同時期に全国各地にて持ち回りで開催されます。全国9地域の代表と開催地1チームを加えた全32チームによるノックアウト方式で、最大5試合を勝ち抜いたチームが全国中学校サッカーの頂点に立ちます。

傾向としては2003年以降から私立中学校が優勝を独占しており、2014年から2017年まで青森山田中学校が大会4連覇を果たしました。この全中を制覇したメンバーが青森山田高校へと進学し、後に高校サッカー選手権で大活躍をしています。青森山田中学出身の同校歴代10番の高橋壱晟(モンテディオ山形)、郷家友太(ヴィッセル神戸)、檀崎竜孔(北海道コンサドーレ札幌)らは皆が現在プロとして躍進。同じく青森山田中出身で現在高校3年生の10番、武田英寿もすでに2020年の浦和レッズ加入内定が決まっています。彼らに共通するのは小学校を卒業したばかりで、他県から雪国への越境を決意したこと。13歳で親元を離れ、極寒の“雪中サッカー”で鍛錬し、全国区の選手へと成長しました。

この青森山田中学の時代が続くかと思われた昨年、宮崎の日章学園中学が決勝で青森山田を破り11年ぶり3度目の優勝を果たしました。さらに今年も同一カードの決勝で競り勝ち大会2連覇。サッカーのみならず「人としての成長」にこだわる花房亮太監督指導の下、九州の強豪が新たな時代を築こうとしています。

日章学園中学校
今年の全中を制し大会2連覇、通算4度目の優勝を果たした日章学園中学校(宮崎)。中体連として高円宮杯の頂点を虎視眈々と狙っています。

「高円宮杯」で中学年代ナンバー1を決めよう!

中学サッカー進路特集

そしてこの「中体連」と「クラブチーム」が、同じ条件で出場できるのが「高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会」です。

中学年代サッカーの集大成とも呼べる同大会は、年末の12月に開催され、9地域協会選出の32チームによる完全ノックアウト方式の大会です。中体連とクラブチームが一堂に会し、真の日本一を競う大会ではありますが、2018年大会では中体連の出場校は日章学園中学と青森山田中学のみ。中体連の優勝は1991年に東海大学第一中学校(静岡)が優勝した第3回大会まで遡らなくてはいけません。クラブチームは1992年の第4回大会から2018年度の第30回大会(FC東京U-15深川が優勝)まで、実に26年間も優勝を続けていることになります。

ちなみにJリーグクラブのアカデミー以外ではこの間に三菱養和サッカースクール(現三菱養和SC巣鴨・調布JY)が2度全国を制しています。もう一大会、毎年5月にJ‐GREEN堺で行われる全国大会「JFA全日本U15 サッカー大会」(旧プレミアカップ)は、2018年大会を最後に22年の歴史に幕を閉じました。

 

 

 

子どもに「最適なチーム」であることが重要

中学サッカー進路特集

Jリーグクラブのアカデミーを筆頭にクラブチーム優位の傾向にありますが、中体連、クラブチームともに強いチームもあれば、発展途上のチームも当然あるわけです。重要なことは子どもたちにとって「最適なチームを見つける」ことにあります。

どんな指導者がいるのか、チームの雰囲気が合うのか、練習場所は家から近い距離にあるのか、試合の機会は多いのか…等々、チームの特徴を理解し、親子で判断すべきことは山ほどあります。もちろん、クラブチームを検討するのであれば、月謝や交通費、遠征費などの金銭面も考えていくべき重要な事柄です。

“中学サッカー進路”は、保護者が子どもと一緒になって向き合う必要があるのです。お子さんのレベル、性格に合った“オンリー・ワン”チームをぜひ見つけていただきたいとサカママ編集部は思っています。

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