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【中学サッカー進路特集】クラブチームと部活動、それぞれの“魅力”とは?

中学年代のサッカー環境は、大きく「クラブチーム」と、中学校での「部活動」に分けられます。現在、クラブチームで指導しているプロサッカーコーチの大槻邦雄さんと、中学サッカー部の小林飛雄馬監督にそれぞれのよさについてお聞きしました。

 

大槻邦雄さん

プロサッカーコーチ。現在は三菱養和SCジュニアユースのコーチを務めながら、幼児から大人までの様々なカテゴリーを指導している。

 

小林飛雄馬監督

暁星国際中学男子サッカー部、中学女子サッカー部で監督を務める。

クラブチームの魅力① 
いろいろな友達と関わることができる!

いろいろな中学の友達、先輩や後輩、多くの指導者と関わることができるのがクラブチームのよさの一つです。友達や地域のネットワークが広がるので、情報が偏らないこともポイント。また、いろいろな人と関われる分、刺激も多いと思います。

クラブチームは、いろいろな人に巡り合える機会が多いので、コミュニティが広がりますよね。子どもの成長を考えると、そういった環境が刺激となり、コミュニケーション力も上がるのではないでしょうか。また、大人になった時、そのつながりが仕事などで活きてくることもあると思います。

部活動は…
学校の授業、部活動が同じメンバーになるので、どうしてもコミュニティは狭くなってしまいます(小林監督)。

クラブチームの魅力② 
子どもにとって逃げ場ができる!

部活動は学校生活とリンクしているため、監督やまわりの目が気になり、悩みを相談しにくいことがあるかもしれません。一方、クラブチームは、学校とは別の環境ですし、いろいろな指導者がいるので、悩みを打ち明けたりなど逃げ場になるのではないでしょうか。そういう場所があると、何かあった時に子どもにとって救いにもなると思います。

 

クラブチームの魅力③ 
学年別で練習を行い、試合数も多い

クラブチームでは学年ごとに分かれて練習を行います。うちのクラブの場合、U-13(中1)が月・水・金、U-14(中2)とU-15(中3)が月・水・木・金、練習時間は1時間45分。土日はカテゴリー別で試合があり、遠征や合宿もあります。

部活動は…
公立の部活動は、各都道府県や地域によるガイドラインがあり、活動時間が決められているでしょう。そのため、物足りないと感じる場合もあるかもしれません。なお、うちの部活動では、全学年一緒に火・水・金・土(午後)が練習で、試合は日曜日のみです(小林監督)。

クラブチームの魅力④ 
クラブチームと部活動ではレベルの差があることも

全国的に見ても部活動にも強いチームはありますし、技術の高い選手、特徴のある選手もいます。必ずしもクラブチームの方が優れているとは思いません。学校教育ならではのアプローチがあります。しかし、首都圏においてはクラブチームに所属している選手の方が技術的なアベレージは高いかもしれません。

地域のトレセンには、クラブチーム所属の選手が選ばれていることが多いのが現状です。

What’sトレセン?

 

トレセンとは、JFAによるユース世代にむけた選手育成制度。U-12、U-14、U-16に分かれ、「個」を高めるトレーニングを目的とし、チームを編成して選抜大会に出場することも。所属チームから推薦された選手は地区トレセンの選考を受け、合格すると練習会などいくつかの段階を経て、都道府県トレセン、地域トレセンへと進み、ナショナルトレセンのメンバーに。なお、年代別日本代表の多くは、トレセンを経験した選手から選出されています。

大槻コーチからサカママへ

 

5年生の夏くらいから、中学サッカー情報を入手したり、ジュニアユースの試合結果などもチェックしてみるといいでしょう。そして、『進路選択の三角形<自宅、学校、クラブ(練習場)のそれぞれの距離>』の中で、クラブチーム、部活動も含めてピックアップしていき、親子で話し合うことです。先輩のお母さんからもよく話を聞いたほうがいいと思います。中学年代は身体をつくる時期。生活サイクルを最優先に考えてほしいと思います。

部活動の魅力① 
家族と一緒にいる時間がもてる

部活動の場合、授業が終わると練習が始まり、夕方には終わる場合がほとんどです。うちの部活動では、17時半に練習が終わり、遅くても19時には帰宅できるでしょう。塾に行くケースもありますが、家族と食事をするなど一緒に過ごせる時間がもてるのです。中学年代は、まだ心は成長段階。たとえ子どもがしゃべらなくても、親子で一緒の空間にいることが大事です。

部活動のほうが、家、学校、練習場の距離が近く、生活リズムもつくりやすいと思います。中学年代は思春期に差し掛かりコミュニケーションが難しくなる年代ですが、心は離さないようにしてあげてください。

クラブチームは…
夕方から練習が始まるケースが多く、家から練習場までの距離が遠いと帰宅時間が22時近くになることも。そのため、睡眠時間がしっかりとれない場合もあるでしょう(大槻コーチ)。

部活動の魅力② 
勉強熱心で一生懸命な先生も!

部活動は「サッカー経験がない先生でも顧問になっている」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。確かにそういう場合もありますが、私は公立中学のサッカー部には、勉強熱心で一生懸命な先生も多いと感じています。実際に、トレセンの活動に積極的に参加している、若い先生をよくみかけます。トレセンは、指導者にとってレベルアップできる場でもあるので、そのような先生は勉強熱心な証。大切なのは愛情を持って、一生懸命子どものために指導できるかどうかだと思います。

 

部活動の魅力③ 
指導者が子どものことをしっかりと見れる環境

部活動と学校生活は距離が近いので、指導者が子どもに寄り添いながら見ることができると思います。ただ、それが管理になってしまうと、子どもにとって逃げ道がなくなってしまうことに。距離が近いからこそ、指導者が子どもと本気で向き合うことで、子どもたちは成長するように感じています。

部活動は、学校教育とセットになっているので、指導者がしっかりと子どものことを見れますよね。ずっと見てもらえる環境というのは子どもにとって理想的だと思います。

女子選手も「男子サッカー部」に入部できる!

公立の中学では、女子サッカー部がない場合がほとんどです。ただし、男子サッカー部があれば、入部することができ、選手として大会に出ることも可能です。体格面など差はあるものの、男子サッカー部に入ればよりレベルの高い環境でサッカーができる可能性も!

小林監督からサカママへ

中学サッカー進路は、子ども自身が選ぶことが一番大事です。部活動を選択するなら、近くの中学にサッカー部があるのか、サッカー経験者の先生がいるのかなどをリサーチし、部活動の試合を一度見に行ってみるといいでしょう。勉強もサッカーも頑張りたいなら、私立の中学という選択も。私立は学費が高いと思われがちですが、クラブチームでは交通費、合宿や遠征費などもかかるため、トータルの費用は変わらないケースもあるようです。

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