【中学サッカー進路特集:第5回】新進気鋭の街クラブ FC LAVIDA 村松明人監督インタビュー(前編)
特集「中学サッカー」第5回は、関東の強豪クラブチーム、埼玉県のFC LAVIDAのセレクションをレポートします。
FC LAVIDAは今年の日本クラブユースサッカー選手権 U-15で並居るJクラブのアカデミーを抑え、街クラブとして全国ベスト8に進出した強豪クラブ。設立は2012年ながら、急速に力を付け、今や関東を代表するチームとなりました。全国屈指の強豪高校、昌平高校サッカー部にも多数選手を送り込む、気鋭のクラブのセレクションでは何が行われ、監督は選手のどこを見ているのでしょうか?
クラブユース選手権ベスト8! FC LAVIDAのセレクションに潜入!
9月26日に行われた、FC LAVIDAの最終セレクション。この日の最終セレクションは小学校6年生が中学校1年生たちに交ざってゲーム形式で実施されました。
FC LAVIDAは2012年に設立。7年目とまだ若いクラブですが、創設以来毎年途切れることなくカテゴリを上げていき、今年はU-15が関東2部リーグに参戦。それだけでも驚くべきことですが、先日関東2部で優勝を決め、来季の関東1部リーグ昇格を確定させました。今年のコアメンバーとして活躍したMF佐藤海空斗はU-15日本代表にも選出されています。
チームのスタイルは、高校年代に繋げるべく「仕掛けの部分」にこだわった攻撃的なスタイル。それが形として現れたのが今夏の日本クラブユースサッカー選手権です。初の全国大会出場となった中、FC LAVIDAはグループリーグでは出場チーム最多となる13得点(得失点差+11)を記録。FC東京U-15むさしに敗れ4強進出とはなりませんでしたが、この試合でも相手の9本を上回るシュート11本を放つなど、チームのスタイルである攻撃を示し、ベスト8入りを果たしました。
また、FC LAVIDAは昨年のインターハイで全国3位に輝いた昌平高校の下部組織的存在としても知られています。昌平高校で昨年10番を背負った渋屋航平(立正大)や丸山聖陽(青山学院大)、今年のチームでは抜群の運動量を誇る小見洋太、高いキープ力でゲームをオーガナイズドする小川優介、1年生ながらすでにレギュラーに定着している井野文太など、毎年トップクラスの選手を輩出しています。
この日の最終セレクションでもやはりレベルの高い選手たちが揃っており、来季の入団を目指す小学校6年生たちは物怖じすることなく、積極的に仕掛けていく姿勢が見受けられました。
メニューはゲーム形式が中心
注視しているのは選手の良い部分での「個性と雰囲気」
-セレクションのメニューについて教えてください。
「ゲームがほとんどですね。1次セレクションでは4分の1コートで8vs8とか、2次からは半面ゲームでキーパーを入れて9vs9、10vs10とか。50m走を測ったりとかもありますが、やっぱりサッカーですからゲームで見ることが一番かなと思います。サッカーは技術だけじゃないので、ゲームの中でどういう関わりができるかが重要です。スピードがあってもゲームで出せないと意味がないですから」
-そのゲーム形式の中で一番見ている点は何ですか?
「一つはその選手の個性と雰囲気ですかね。あまり悪い部分とかには目を向けないで、良いところの個性、何が得意なのかなというのを見ています。良くないところに関しても3年間で埋まるのか埋まらないのか考えたら埋まることの方が多いので、どちらかというと良い部分の個性と、その選手の雰囲気みたいなものから見出すことが多いです」
-色のある選手ということでしょうか?
「そうですね。なんでも満遍なくというのも、もちろんそれが技術的にものすごく高くてスペシャルであれば、それは個性だと思うので良い部分として見ます。しかし、それよりもこの選手はこういう個性があるなだとか、そういう部分はすごく大事にしていますね。3年間なり(昌平高校を含めた)6年間で埋まる部分は多いので、自分が武器としている個性みたいなものがゲームに出せるか出せないか、といった感じでは見ています」
自分で点を取る、こじ開けていくという気持ちをみたい
-こういう選手を欲しているというのはありますか?
「どれかに偏って見るということはないです。ただ一つこういう選手がいいなと思うのは、これも個性なんですけど、ちょっと変わっている選手。たまにいるじゃないですか、1人で2、3人引きちぎっていく選手とか。ドリブルが得意な選手だったり、個人でボールを奪われない、個人で突破していく選手が3年間でドリブルとパスのバランスが良くなっていく、良いイメージはありますね。だからドリブラーは僕らにとっても貴重です。この年代で横パス、バックパスをすると逃げているようにも見えてしまうので、あくまで自分で点を取る、こじ開けていく気概を見せてほしい。そういう選手が2年生、3年生となった時にドリブルとパスの使い分けができる選手になっていけばいい。そんなイメージはあります」
-先ほどもダメなところよりも良いプレーを見るとおっしゃっていましたが、この年代で個人プレーに走ったりする選手はいかがですか?
「まったく気にならないです。そこは自然とフィットしてくるし、そういう選手にこそ可能性を感じます。ここは叩けとか、ここはパスをしろとか、無理に強制もしないです。自然と感じ取るものだと思っているからこそ、僕らはすごく我慢します。むしろ、この年代で自ら積極的にプレーできない選手の方が気になりますね。協調性とか味方を使うとかの要素は、中3までには絶対に身に着くものだと思っていますから」
-そういった選手は実は少ないのではないでしょうか?
「そう思います。だから、面白さが足りない選手も多いです。うまいのにな、もっといけるのにな、という選手ですね。逆にパスが中心でサッカーをやっている選手も僕らはノーじゃないので、それを逆にいけるようにしたいと思う。最終的にはサイドバックを含めて点を取るっていうところには持っていきたいなとは思っています」
-中学3年間で伸びていく選手というのは?
「一番思うのはやっぱりサッカーへの欲です。“サッカーの好き度”と僕らはよく言うんですけど、サッカーがどれだけ好きかっていうところが、プレーに滲み出る選手じゃないと伸びない。サッカーに欲がある選手っていうのは、うまい下手は関係なしに絶対に伸びますね」
文・写真/石黒登
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