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中学サッカー進路特集

【中学サッカー進路特集:第1回】中学年代のサッカーってどうなってるの?

9月といえば「中学サッカー進路」が本格化するシーズンです。2020年加入の新入生を対象とした「セレクション」が、街クラブを中心に9月から年末にかけて多数開催されます。小学校高学年のお子さんを持つサカママにとって、どのチームを検討するのかを家族で相談し、情報収集を進めている頃かと思います。

しかし、実際のところ「サッカー進路」と言われても、正直ピンとこない親御さんがほとんどなのではないでしょうか? お子さんがまだ低学年、中学年であればなおさらです。

そもそもクラブチーム(街クラブ)とは何なのか?入るにはどのようにすればいいのか?週何日練習に通うのか?年間でどのくらい費用がかかるのか?どのような年間スケジュールなのか?中学校の部活動との違いは何なのか…、分からないことだらけだと思います。

そこで9月は「中学サッカー」について、紹介していきたいと思います。高学年のお子さんを持つ方は、今年のチーム選択の参考に、低・中学年の親御さんは、将来直面するサッカー進路の指針として役立ててみてください!

クラブチームの年間フォーマットは「リーグ」、「クラブユース」、「高円宮杯」

中学サッカー進路特集

中学サッカーでは日本各地で大小さまざまな大会が開催されています。
全国規模の大会は、夏の「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)」(クラブチームが参加)と「全国中学校サッカー大会」(中体連所属チームが参加)、そして冬の日本一決定戦「高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会」(中体連・クラブチームどちらも参加)の3大会が全国規模の大会となります。

これらの出場権にも影響する「リーグ戦」が、各地域にて1年を通じて行われています。各地域FA(サッカー協会)により、それぞれ細かなフォーマットは異なりますが、その道筋が全国大会へ通じることに変わりはありません。

このリーグ戦はほぼ毎週のペースで週末に行われ、ピラミッドのように階層化されています。リーグのレベルが上がっていくごとに、その強度も上がっていくのは、JリーグがJ1、J2、J3と分かれているのと同じ構造ですね。

それでは日本で最も多くのチームが登録されている東京都の2019年リーグ構成を例に、その仕組みを紹介していきましょう。

週末は試合で上手くなる!「Tリーグ」とは?

クラブチーム、中体連所属チーム(中学の部活動)を問わず、東京都サッカー協会に登録されたチームが参加するリーグ戦が通称「Tリーグ」です。(もちろん卓球プロリーグのTリーグではないですよ! TOKYOの頭文字をとっての「T」リーグです)

この「東京都ユース(U15)サッカーリーグ」では、Division.1U15-T1》を頂点に、Division.2U15-T2》、Division.3U15-T3》の3部構成で、リーグは3月から6月末までを分岐に前期を行い、後期は11月中旬にかけ行われます(全国中学校体育大会、クラブユース選手権の関東予選と本大会が開催される7月から8月はリーグ戦が中断)。各リーグ構成の以下のようになっています。

Tリーグ

Division.1《U15-T1》

12チーム 2回戦総当り
前期(1回目の対戦):3月~6月末
後期(2回目の対戦):~11月中旬
【昇格】1位のチームが関東リーグ参入戦(12月第1週)への出場権を得る
【降格】下位4チームが自動降格

Division.2《U15-T2》

30チーム 10チーム×3ブロック 2回戦総当り
前期(1回目の対戦):3月~6月末
後期(2回目の対戦):~10月末
【昇格】各ブロック1位(3ブロック合計3チーム)が昇格
【降格】下位3チームは自動降格、各ブロック6、7位のうち2チームがプレーオフに回る

Division.3《U15-T3》

T1、T2以外の参加希望全チームを8ブロックに分けて構成
(チーム数によって変更可能性あり)
前期:1回戦総当り
後期:~10月末 前期成績で上位リーグ32チームを決定
【昇格】後期上位リーグ各ブロック上位2チーム

前期の戦績により≪U15-T1≫≪U15-T2≫は高円宮杯東京都大会のシード順が決まり、≪U15-T3≫は高円宮杯への出場権が付与されます。そしてシーズン終了までの後期の戦績と、それに伴う入れ替え戦により昇格・降格が確定し、翌年の所属リーグが決定します。多少のレギュレーションの違いこそあれ、他県リーグにおいてもリーグ戦の戦績が全国大会、そして次年度に出場するリーグ出場権に大きな影響を与えるのです。1年を通して実戦で経験を積むフォーマットが整えられていることがお分かりいただけると思います。

地域リーグ、そしてJクラブの強豪が集う関東リーグとは?

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各都道府県リーグのピラミッド構造の内部で昇降格がありますが、さらにその上には地域リーグが存在ます。その中でも特に激戦区と呼ばれるのが、Jクラブのアカデミーなど強豪がひしめき合う関東リーグです。このリーグに参加する30チーム(1部12チーム、2部A・Bそれぞれ18チーム)には、「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会」と「高円宮杯U-15」関東予選の出場権が与えられ、都県予選が免除されます。2部A・Bの下位2チーム計4チームが自動降格となり、その空いた4つの椅子の座を懸けて、1都(東京)7県(神奈川、千葉、埼玉、茨木、群馬、山梨、栃木)のトップリーグ優勝チームが、トーナメント戦を行います。2019年度は出場チーム改定により、各都県リーグからFC多摩(東京)、FC LAVIDA(埼玉)、エスペランサ(神奈川)、Uスポーツクラブ(山梨)、FC古河(茨城)、ヴェルディSS小山(栃木)の6チームが新規参入し、熱戦を繰り広げています。

各都県リーグには多数のチームが所属しますが、その頂点の1チームまでもが過酷な参入戦を勝ち上がらないとたどり着けないのが、この関東リーグです。強豪ひしめく関東地区で上位に入り、全国規模の大会へ勝ち上がることが、いかに厳しい道のりであるかお分かりいただけるでしょう。

クラブチームでは学年ごとに活動するので試合経験UP!

ここまで「中体連所属チーム」(中学の部活動)とJリーグの育成組織、街クラブからなる「クラブチーム」両方が所属するリーグや大会スケジュールについて説明してきましたが、ここからは後者の特徴について解説していきたいと思います。

まずクラブチームではU(アンダー)15、14、13にカテゴリー分けされて活動しています。関東リーグでもU-15(中3)はもちろん、U-13(中1)のカテゴリーでリーグ戦が行われ、東京では「東京都クラブユースサッカー(U-14/U-13 選手権大会)」、「東京フレッシュカップU-14/13」など、中・低学年の大会が用意されています。クラブチームによっては、各カテゴリーに専任のコーチが付くこともあり、下級生であっても豊富な出場機会を得ることで、より多くの経験を積むことができるのです。

入部試験=セレクションとは何か!?

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クラブチームには「セレクション」という選抜試験が存在します。東京を例に挙げると、FC東京や東京ヴェルディなど、Jリーグクラブのアカデミーは申し込みが殺到し、有名私立の“お受験”のような様相になります。当然、合格は高い競争率となり、三菱養和、東京武蔵野シティFCなどの人気街クラブも同様に厳しい倍率となります。

ただし、クラブチームにはセレクションを受ける必要がないチームもあり、レベルもさまざまです。チーム名の知名度や戦績だけにとらわれずに、お子さんのレベルに合わせた目標設定をすることが良きチーム選びの第一歩といえるでしょう。

開催時期はチームにより異なる。ピークは秋の10月、11月!

セレクションの開催時期はクラブによって異なります。Jクラブのアカデミーなどは、早いところでは6年生の夏休みから始まり、年明けの1月までセレクションが開催されます。地域にもよりますが、東京では街クラブを中心に10、11月がセレクションのピークといえるでしょう。しかし、チームの名前ばかりが先行し、入った後に「雰囲気や指導内容が違った」と感じるお子さんも少なくありません。せっかく苦労してセレクションに合格しても、これではもったいないですよね。

クラブチームでは「練習会」といって、事前にチームの練習に参加できる機会が設けられています。普段の練習に参加することは、そのチームの魅力を肌で感じることができる貴重な機会といえます。練習会の参加方法は各チームのHPに記載されているので、ぜひ活用してみましょう。

セレクション本番で大切なことは?

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本番となるセレクションは、チームにとってその内容はさまざまですが、基本的にはゲーム形式の選考が主になります。「しっかりと声を出せる」「技術レベルが高い」「フィジカルが強く球際に強い」など、評価される要素はチームによって異なりますが、“テスト”である以上、監督・コーチ陣にしっかりアピールすることは大事です。

数多くいるライバルの中から選ばれるには、足が速い、背が高い、身体能力が優れている、といった“特徴のある”選手が、監督・コーチの目に留まりやすいとも言われています。ただし、サッカーの技術だけがセレクションの評価対象に限られるわけではありません。弊社刊の『中学サッカー進路ナビ』での取材・アンケートを通し、多くの監督が強く望むのが、「ウチのチームで“3年間頑張りたい”という選手に来てほしい」ということです。

クラブチームでは週末を含めた一週間の大半を同じ仲間と過ごすことになります。チームでの3年間は、中学生活の3年間と同義と言っても過言ではありません。日々の練習、毎週の試合、合宿・遠征など、生活を共にする“仲間”を見つけるわけですから、「ここでやりたい!」と思えるチームを選ぶべきですし、チームとしても一緒に頑張れる選手に来てほしいわけです。

もちろん、日頃からトレーニングを積み、サッカーが上手くなることがセレクション合格の近道であることは言うまでもありません。しかしそれだけでなく、「本当に行きたい」と思えるチームを見つけ、熱意を持ってセレクションに臨むことが重要だといえます。

続ける上で重要なポイント。「サッカーは好き」ですか?

そして多くのジュニアユースの監督が口にすることが「サッカーが好きであること」です。当たり前のことのように聞こえますが、先の中学3年間のことを考えると、これは非常に重要な要素です。ポスト・ゴールデンエイジと称されるこの年代は、「発育急進期」でもあります。

急激な身体の成長変化に精神が追い付かず、今までできていた技術ができなくなってしまう「クラムジー」という現象も見られます。成長の個人差が著しいことに加え、サッカー以外にも勉強や友達関係など、思春期というナイーブな時期特有の悩みもでてくるでしょう。そんなときに「サッカーが好きであること」が、それらの障害を乗り越える心の支えとなることは間違いありません。

クラブチームの指導者たちは「中学年代の育成」のプロフェッショナルです。サッカーのことはプロに任せ、セレクションでは「なぜこのチームでやりたいのか」を明確にし、しっかりと声を出してアピールすれば、監督にも気持ちが届くはずです。自分の最高のパフォーマンスを発揮できるようにがんばりましょう。

最適なクラブは「親子」で見つけること!

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指導方針やチームの雰囲気はもちろん、親が判断する要素として、練習場、年間にかかる費用、高校進路先などがあるでしょう。それらを総合的に考慮し、子どもと一緒に最適なクラブチームを見つけることが、明るい中学サッカーライフの扉を開くことにつながります。それは決して親が一方的に決めることではなく、子どもが何を望んでいるかを汲み取り、互いに回答を導き出す必要があります。高いレベルを望むのであれば十分な対策を講じて「セレクション」に挑む必要があるでしょう。中学入学後の3年後の高校進学まで見据えることも大事な要素です。親子が一緒になって、“中学サッカー進路”に真剣に向き合うことが何よりも大事なことだといえるのではないでしょうか。

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