【中学サッカー進路特集:第3回】育成のスペシャリスト・大槻邦雄さんインタビュー(前編) | サカママ メインコンテンツに移動

【中学サッカー進路特集:第3回】育成のスペシャリスト・大槻邦雄さんインタビュー(前編)

9月といえば「中学サッカー進路」が本格化するシーズンです。2020年加入の新入生を対象とした「セレクション」が、街クラブを中心に9月から年末にかけて多数開催されます。しかし、実際のところ「サッカー進路」と言われても、正直ピンとこない親御さんがほとんどではないでしょうか?そこで、9月は「中学サッカー」について紹介しています。

第3回は、ジュニア~ユース年代の育成のスペシャリストである大槻邦雄さんにお話しを伺ってきました。幼児から大人まで、年代に応じて幅広く指導にあたっている大槻さんから、この年代の特徴や育成の在り方、サカママのギモンについてお答えいただきました。これからお子さんが中学に上がる方、今現在中学でプレーしているサカママ必読です!

 

大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む。卒業後、JFL横河武蔵野FCでプレー、選手生活と並行して国士館大学大学院スポーツシステム研究科を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、現在高校生を中心に指導しながらも、幼児~大人までさまざまなカテゴリーに関わっている。

中学生のサッカーチーム選びは「三角形」を基準に!?

中学サッカー進路特集

-中学サッカーは他のカテゴリーと比較して情報も少なく、悩みを抱えた方も多いと聞きます。

「僕も一番多く相談を受けるのが『中学はどこのチームでプレーすればいいのですか?』です。『何を基準に決めればいいのかが分からない』と。子どもが通っている学校の親御さん等からもよく相談を受けます。中学年代になると、途端に情報が少なくなってしまいますからね」

-その選ぶ「基準」は人ぞれぞれだとは思いますが、どんなアドバイスをされているのですか?

「まずはリサーチを始めることです。僕がよく伝えるのが『自宅、学校、クラブ(練習場)』の三角形を意識するということ。この三角形の一変がすごく長くなると、色々な面で厳しくなってきます。例えば“いいチーム”、“強豪チーム”と言われるクラブに入れた場合、家族単位で引っ越しをするケースもあると聞きます。もちろん、親御さんの負担にならない、子どもの精神的な部分でも心配ない、というのであれば問題ないでしょう。しかし、僕個人の意見としては、地元で育った子が友だちと離れて引っ越しをしてまで遠方に行く必要があるのか、と思いますね」

 
クラブを選ぶ際は、三者の距離を意識するのがポイント。

-リサーチを始める時期に関してはいかがでしょうか?

「早ければ早いほどいいでしょう。親御さん同士もそうだし、子どもたちも近くにいる先輩の情報など、コミュニケーションをしっかりとっていくことが大事です。練習会が夏の終わり頃から各クラブチームで始まっていきます。実際に家から電車に乗って会場まで行き、どのくらい時間がかかるのかをシミュレーションしてみるといいです。“三角形”の距離が一辺でも開きすぎると、通うのは現実的ではない。練習会では楽しいと思えるチームもたくさんあるでしょう。でも3年間通うという“現実”と向き合う必要あるのです」

-練習会に参加する回数は多ければ多い方がよいでしょうか?

「数多く受ければいいというわけではありません。首都圏ではクラブチームも多いですから、選択肢が多いことで迷ってしまい、最終的に決められなくなるケースがあります。そうなると、自分のなかで線引きをする必要がでてきます。そこで先ほどの“三角形”を基準にチームをリサーチしておけば、自ずと受けるクラブは絞られてきます」

-ほぼ毎日通うわけですから、家からの“距離”は無視できない要素ですね。

「家から練習場の距離が遠すぎることは、限られた時間を奪われることに他なりません。勉強時間、睡眠時間がないと学校での生活態度も怠慢になり、学業が疎かになってしまいます。そうなると中学で強豪と呼ばれるチームに行けても、高校サッカーの進路で学業が及ばずに苦労することになります。中学生は生活のサイクルを整えて、身体を作っていかなくてはいけない段階です。ですから、“三角形”を意識した上で、レベルが上の『チャレンジするチーム』、そして『本当に行きたいチーム』を2チームくらい、実力は少し下がっても現実的に『合格できそうなチーム』と3段階に絞って、そこに向かっていくことをおススメします。選択肢が多いからといって闇雲に受けているようでは、行くべきチームを判断できなくなってしまいます。一方で、僕は中学校の部活動も選択肢に入れてほしいと思っています」

 

忙しすぎる中学生。重要視される生活サイクルの健全化

中学サッカー進路特集

-“三角形”を追求すると部活動は理想的に思えますね。

「そうですね。例えば、今Jリーグクラブのユースチームは、ほとんどが近隣の高校と提携していると聞きます。学校とサッカークラブの提携は、生活サイクルを保てるという利点があることも大きな理由の一つだと思います。16時に学校が終わってから練習し、遅くとも21時に家に帰れる生活を作れれば、しっかりと睡眠時間もとれ、健全な生活サイクルを維持することができます。クラブチームのデメリットは、長距離移動による練習開始時間のズレにあります。ホームグラウンドがない街クラブであれば、練習場によっては家に帰る時間が22時のときがあれば、23時の時だってあるかもしれません。だからこそ、私は距離の重要性を大事にすべきだと思っています。繰り返しますが、中学年代は身体をつくる時期です。生活サイクルを最優先に考えるのは当たり前のことなのです」

 

-中学校部活動のクラブチームとの違いを改めて挙げると?

「学校教育とセットになっていますから、指導者がしっかりと子どものことを見れますよね。学校の生活とリンクしてサッカーに対する取り組みがどうなのか。逆にサッカーだけ一生懸命やっていても学校生活の態度が悪かったら、指導されますよね? ずっと見てもらえる環境というのは子どもにとって理想的だと思います。ただ一方で、部活動問題というのは深刻な状況にあります。公立だと先生の勤務時間の問題があるでしょう。もちろんみなさん先生方は努力されていると思いますが、十分な指導はできないかもしれない。サッカー指導者の人員がちゃんと割かれている私立中学もありますから、部活動の環境も事前に見ておいた方がいいかもしれません。そこで外部指導員を採用するという流れもありますが、非常に難しい問題です」

-部活動の全体的なレベルについていかがでしょうか?

「地方だと一定の有力校に集中しますが、東京だと分散してしまいますよね。もちろん中体連でも強いチームはありますし、技術の高い子もいます。ただ、クラブチームは総じて足元の技術が高いなどアベレージの差はあるかと思います。首都圏を中心にクラブチームが主流になっている中、中体連の部活動もメリットを打ち出す必要もあるでしょう」

成長期の中学年代。サッカーだけを追求し、身体づくりを怠るのは本末転倒

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-部活動は地域によってはそのもがなかったり、指導者の不足であったりの問題もありますね。

「公立中学であれば先生の異動もありますし、そこは難しいところですね。ですから私立で指導体制がしっかりしている中学校などを選択肢に入れることは、非常にポジティブなことだと思います。今は中、高一貫で指導体制が確立しているサッカー部もありますし、サッカーと向き合う環境を考えるなら、“6年間”を意識することも必要でしょう」

-名前が先行し、“いいチーム”を追うことだけが正解ではないということですね。

「もちろん、強いクラブのアカデミーに素晴らしい素材を持った選手が集まっていることは間違いないわけです。でも、だからといってそこが一番なのかといえばそうではないと思います。ちゃんとこの成長期に身体に向き合って中学3年間を過ごし、高校、さらには大学で才能が花開き、逆転するケースは多くあるわけです。ベースとなる中学の期間がいかに大事かということです。部活動に対する選択肢もぜひ考えてみてください」

-サッカーを追求すべきなのに、結果的に睡眠時間を削っているようでは本末転倒なのかもしれません。

「その通りですよ。充分な睡眠がとれていないと学校の授業でも集中できない。注意が散漫になり、サッカーも上手くいかない。そうなると負の連鎖でしかない。それでサッカーから離れてしまう選手って結構いるんですよ。そうなることが一番かわいそうです。何が“いいチーム”なのかを考えるべきです」

-具体的に距離はどのくらいまでを“三角形”の一辺に収めるべきなのでしょうか?

「1時間以内でしょう。断定することはよくないかもしれませんが、1時間30分以上かかると少しキツイです。二等辺三角形になると厳しいですが、練習場まで遠くても家から中学校までの距離がすごく近かったら補える時があります。図にするとわかいやすいですよ。ぜひやってみてくだい」

 

特集第4回も引き続き大槻さんのインタビュー後編をお届けします。多様化する中学年代の育成の在り方、親のサポートを中心にお話しを伺っています。お楽しみに!

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