【中学サッカー進路特集:第6回】新進気鋭の街クラブ FC LAVIDA 村松明人監督インタビュー(後編)
特集「中学サッカー」第6回は前回に引き続き、埼玉県のFC LAVIDAの村松明人監督にご登場いただきます。今夏、Jクラブのアカデミーがひしめき合う「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)」で初出場ながらベスト8に進出しました。グループステージでは出場チーム最多となる13得点をマーク。FC東京U-15むさしに敗れ4強進出とはなりませんでしたが、この試合でも相手の9本を上回るシュート11本を放つなど、チームのスタイルである攻撃を示し、鮮烈な全国デビューを飾りました。
ちなみに同大会で街クラブでベスト8に進出したのは、FC LAVIDAと東京のFC多摩のみ。しかもFC LAVIDAは設立したのが2012年ですから、わずか7年にて全国8強入りを果たしたことになります。毎年のように戦うカテゴリを上げており、今季は日本屈指の強豪が揃う関東ユース(U-15)サッカーリーグに所属し、参入1年目にしてDivision2Aで優勝、来季の関東1部昇格を決めました。
今回はFC LAVIDAを育て上げた村松明人監督にベスト8の裏側、初の全国で感じたこと、そして今後のチームの展望などをお聞きしました。街クラブが短期間で全国屈指の強豪クラブへ成長したヒントが隠されているかもしれません。
昌平高校で全国ベスト4を経験しているスタッフがいるのは大きい
-改めてクラブユース選手権を振り返ってください。
「自分たちらしく進められるゲームがほとんどでした。もちろん相手の対策とかもありますけど、そこにだけチームを持っていくという形じゃなく、やっぱり自分たちの良さをしっかりと出そうというところに、うまく持っていけたかなと思います。全試合良さもしっかり出せた上でゲームが進められたというのは収穫でしたね」
-予選リーグは最多得点ということでLAVIDAらしさも出ました。
「私たちが打ち出していることに、ボランチよりも前の選手に関しては点を取るというのがあります。どこからでも点を取るというのが理想だと思っているので、そこは実現できていたと思いますし、自信を持ってやれました」
-初の全国で8強入りを果たしました。
「欲を言えばもうひとつ行きたかった部分はあります。LAVIDAとしては初の全国でしたが、僕らスタッフは昌平高校で全国大会は経験しているので、何を用意しないといけないだとか、スタッフはこういう感じでいこうとか、1日の流れであるとか、連戦の厳しさ、そういうものはなんとなくイメージはありました。それがちょっとプラスに働いたかなと思いますね。初出場とはいえ、高校の方でスタッフが経験をしているというところは大きかったです」
セレッソ大阪、サガン鳥栖、清水エスパルス、ヴィッセル神戸
この上位4チームにはまだ勝てないと思った
-その経験は具体的にどのあたりで生かされましたか。
「もちろん夏場なので交代もうまく使わなきゃいけないだとか、交代枠をフルで使いたいとか、そういうイメージはありました。あとは関東大会の連戦で連敗してしまったところも含めると、交代の重要性とかはすごく勉強になって、全国にうまく持って行けたかなと思いますね」
-今回8強入りしましたが、4強の間の差はどの辺りに感じましたか。
「準々決勝に関しては別にやれなかったわけではないというのもあるし、選手の身体も動いていたし、これといってピンポイントの課題というものはあまり感じなかったです。ただ今回対戦していないセレッソ大阪、サガン鳥栖、清水エスパルス、ヴィッセル神戸、この4チームはいま勝負したらちょっと勝てないなと思ったくらい大きな差を感じました。セレッソなんかを見ても全選手が自立しているように見えたし、そういう意味で人としてももっと成長しなきゃいけない。それはサッカーの話だけではないのかなと。いろいろな意味で個人がちゃんと成長すれば、もう少しチームとしても成長できるのかなとは思いました。そのあたりはもっと僕らも要求していくべきなんじゃないかとは思います」
-設立7年目でこの成長曲線というのは想定していたところはありましたか。
「はっきり言ってこんなに早くというのはまったくイメージはなかったです。ただ今年に関しては関東リーグを戦っている中で、いけるぞというのを選手の成長度合いを見て途中から感じていました。やっぱり代表選手(MF佐藤海空斗)が出たりしたことでほかの選手たちの意識、サッカーへの意識も変わってきました。そういう意味で僕らがトレーニングをやったり、選手に話をしたりとかっていうもの以上に、仲間の成長による影響が大きかったですね」
チームの方向性は間違っていないことを実感。いずれは日本一を狙いたい
-佐藤くんの代表入りも良い刺激になっているんですね。
「はっきり言って、誰でもチャンスあるんじゃないのという感じにはなっています。私たちもそういう話をするし、単純に(代表のスタッフが)見にきてくれたゲームで活躍をすれば可能性はあるわけじゃないですか。今年に関してはそういうものでの成長もあったのかなとは思います」
-今後の目標、チームとしての方向性について聞かせてください。
「目標に関してはやっぱり日本一を狙う気はあります。サッカーのスタイルとしても方向性としても、やっていることが攻守ともに良い方向になってきていると思います。全国を戦った上で、これだ、こうすれば勝てるとか、そういうものはまだはっきりとは見えていないですが、ただそれはこれからまた来季の選手でリーグ戦を戦ったり、クラブユースなり高円宮を戦っていく上で見えてくればいいのかなと思います。全国ではむしろやれた実感と、ざっくりと大まかな方向性は絶対に間違っていないなというのが見えました。それはすごく収穫で、これから細かいところも見えてきたりすると思うので、そこに対してまた僕らも考えていかなきゃいけない。本当に日々が勉強ですね。頑張ります」
文・写真/石黒登
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