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【中学サッカー進路特集:第8回】強豪街クラブ FC多摩JY 平林清志監督インタビュー(前編)

特集「中学サッカー」第8回は前回に引き続き、強豪街クラブ、「FC多摩ジュニアユース」の平林清志監督にご登場いただきます。今夏は4度目の挑戦となった「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)」で過去最高のベスト8入り。予選リーグを無失点で抑えたGK谷合善祇が優秀選手に選ばれたほか、2年生ながら9ゴールを量産した貴田遼河が得点ランキング2位に入るなど、存在感を放ちました。クラブユースベスト8の舞台裏や、今年初参加となった関東リーグ(2部)での戦い、今後の展望などをお聞きしました。

なお、2カ月にわたりお届けしてきた特集「中学サッカー『進路』の今を知ろう!」は今回で一旦最終回となります。ただし、中学サッカーに関する情報は引き続きお届けしていきますのでお楽しみに!

FC多摩ジュニアユース
取材を行った日は多摩市立図書館本館グランド(旧日落合中)で練習が行われていた。

T1での経験があったから、関東リーグでも自分たちの戦いができた

-今年はチームとして初の関東リーグを戦いました。

「やっぱり他県に行って、その県の良いチームとできるっていうのはすごくプラスになりましたし、リーグ戦っぽいというか、どのチームも負けない戦い方をするんだなというのはすごく感じました。とはいえT1(東京都1部)もやっぱりレベルが高いので、サッカー自体は『これはもう全然敵わなかったな』というところは正直ないです。自分たちのやりたいことは、できたんじゃないかとは思います。関東リーグに入ったからといって自分たちの戦い方を変えて残留だけを目標にするんじゃなくて、選手の個を伸ばしながら、あとは自分たちのサッカーをやる。そういうところの部分は貫いてできたので良かったのかなと思います。それも経験になり、プレッシャーもなく関東大会に入れたのかなと思います」

-そういった中で今年は4年ぶり4度目の全国で過去ベストの8強入りを果たしました。

「1度、2度、3度と経験して、毎回課題が出て、すごく感じることの多い大会でした。あそこに行くことによって、指導者としてもすごく成長できる。子供たちもすごく良い経験にはなると思うんですが、僕たちスタッフにとっても、こういうチームがあって、こういう指導をしているというのも話をできたりするので、良い経験になりましたね。1回目、2回目、3回目とそういった経験があった上でのベスト8だと思います。予選の入り方だったり、戦い方だったりというのも全部シミュレーションしてやるわけではないんですが、とにかく予選はコンディションを崩さず、3試合を考えて戦うことが大事だなというのは、もう1、2回目くらいの時には感じていました。今回、そのあたりの選手層の部分であったり、コンディションの作り方というのを考えて予選に入ったのでうまくいったと思います」

-予選リーグを無失点の3連勝で飾って、決勝トーナメントでも存在感を放ちました。

「もう本当に勢いというか、予選がうまくいきすぎたのもあって、GKとディフェンス陣を中心にどんどん盛り上がっていきましたね。前線も気持ちよく点が取れていたので、勢いがあって、2試合ポンポンと行けたような感じでした。セレッソ戦は前半、お互いにやりたいサッカーをやった中でやっぱり分が悪かったというのと、向こうが優勢にゲームを運んだ時にどうしても弱いあいつらが出てしまって、前半に3失点したのが敗因かなと思います。ハーフタイムに帰ってきて、このまま終わって良いのか、自分たちの今までやってきたことを、貫き通してやったらちょっとは状況が変わるかもしれないぞ、と。何かしら打開策はあるはずだから。やってみようと選手を送り出して、後半は自分たちを信じてやれたことが良かったと思います。後半だけで見れば1−0だったので、前半の大量失点が悔やまれますね」

※ノックアウトステージ準々決勝でセレッソ大阪U-15に3-1で敗戦するも、過去最高成績のベスト8で大会を終えた。

平林清志監督
練習でも選手とよく会話する姿が見られた平林監督。セレッソ戦のエピソードからも分かるように、試合においてもその姿は変わらない。

-ターニングポイントのようなものはあったのでしょうか。

「1試合目で仙台とやった時に、相手がJクラブだからといって負けてもいいやくらいの感じで入るんじゃなく、きっちり自分たちの戦い方をして、もうここはチャレンジして、思い切っていこうと入ったことによって、みんなの硬さと取れました。そこで大きく勝ったことで、すごくチームが勢いがでたと思います」

※グループステージ第1戦でベガルタ仙台ジュニアユースに5-0で快勝。

-個人でもGK谷合くんが優秀選手に、FW貴田くんが得点ランク2位に入りました。

「GKもやっぱりディフェンスと連携して自分が乗るようなファインセーブはあったので、気持ちよくやっているんだろうなと思いましたね。貴田についても2年生ですけど、3年生のやつらに認められて、あいつにパスを出せば点が取れるっていう状況になっていったんだと思います。関東リーグでは3年生とコミュニケーションの部分、プラスアルファのところでできなかったりというのはあったんですけど、性格的に良い子なので、みんなと話をしてやっぱり要求もするし、言われたこともちゃんとやるので、そこでうまく貴田に信頼を置けるようになっていったのがポイントかなとは思います。
今大会、攻撃陣は本当に良かったと思います。試合の中で自分たちの形が作れないで終わった試合はなかったです。セレッソ戦もPKの1点しか点は取れてないですけど、その前にも何回か自分たちの形というか、自分たちで細かく繋いだり、サイドで状況判断しながら攻めようっていうのは言っていて、そこはうまく自分たちも納得しているところじゃないかなと思います」

-街クラブとしてはベスト8がひとつ鬼門になっていますが、どのあたりにそれを感じましたか。

「うちのチームも予選から比べると、だいぶ熟成度は上がったとは思うんですよね。上がったけども、やっぱり最後のところは個人だったり、流れを変えるプレーヤーがもうちょっと出てくると違うのかな、という気はしますね。決して身体的に、能力的に低いとは思わなかったです。確かに一つひとつのスキルの平均点がうちの子たちが60点だとしたら、間違いなく80点や90点くらいの子たちがいて、やっぱり高いなというのは感じましたけど、ただそれが埋まらないレベルではないので本人たちの努力次第なんだと思います」

-今後はFC多摩としてもそこに追いつけ、追い越せということですか?

「チームとして追いつくのは本当に大変だろうなとは思います。でも、じゃあJクラブの子たちの中から何人がプロになるのか数えた時に、2、3人だったとしたら、それに近い人数を毎年この中から上げたいと思っています。個人個人が自信を持ってできるサッカープレーヤーを育てたいと思っているので、そこが変わらずに今後のベースになると思います」

平林清志監督
更なる高みを目指すFC多摩ジュニアユース。街クラブの草分け的存在として、今後の活躍に期待がかかる。

文・写真/石黒登

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