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【インタビュー】武田英寿(青森山田高校)世代屈指のレフティー、青森山田「10番」の重み

J1浦和レッズへの加入が内定し、U-18日本代表にも選出。すべてが順調に映る青森山田の10番は、悔しさを糧にここまで這い上がってきた努力家だ。「チームを勝たせる選手に成長する」と誓う高校生活最後のシーズン。

武田英寿(青森山田高校)

青森山田高校3年/MF

武田 英寿 HIDETOSHI TAKEDA

2001年9月5日生まれ。中学時代より青森山田に進学。2年時からプレミアリーグEASTに出場。昨年度の選手権では唯一の2年生の主力として活躍を見せ、2年ぶり2度目の優勝に貢献。広い視野、左足から繰り出される精度の高いキックが持ち味。浦和レッズへの加入が内定しており、U-18日本代表にも選出されている。

チームを勝たせる選手でありたい

武田選手は中学時代から青森山田に進学していますが、どうして青森山田を選んだのですか?

「全国を目指すことを考えて、青森山田を選びました。Jユースに行きたいという気持ちはありましたが、寮生活などの生活環境と、何より、高校であれば選手権を目指せるのでさまざまなことを踏まえた上での選択でした」

青森市は雪深い地域ですよね。冬場の練習環境も大変だと聞いています。青森山田に来て、成長したと感じることは何ですか?

「中学から親元を離れて生活しているということが、自分自身の一番の成長に繋がっていると思います。それまで、実家暮らしのときには親がやってくれていたことを自分でやることにより、周囲に感謝の気持ちを持てるようになりました。冬場は雪中サッカーで鍛えられ、心身ともに厳しい環境の中で中1から5年間やってきました。それが自分の糧になっているし、他のチームよりも有利に成長できると捉えています」

1月の新チーム始動時にキャプテンになりましたが、キャプテンとして意識していることは何ですか?

「チームのお手本になる選手像を心がけ、チームを引っ張ることです。精神面だけでなく、ゴールを決めてチームに貢献して勝たせる選手を目指しています」

影響を受けた先輩はいますか?

「1学年上の天笠泰輝さん(現・関西大)です。非常に努力家で、チームメイトに対しても意見をハッキリと言えるし、選手権でのプレーを見ていてもチームに欠かせない素晴らしい選手だと思いました」

黒田剛監督から言われた言葉で、印象に残っているものはありますか?

「明確な言葉ではないのですが、監督は常に完璧を求める人なので、何事に対しても中途半端にしないところが凄いなと思います。監督のそういう姿勢が、自分たちのサッカーにも影響していると思います」

現在の課題は何でしょうか? 今後、どのような選手に成長したいですか?

「僕は左利きなのですが、右足での決定力をもっと上げてチームに貢献したいです。得点が取れる選手になりたいですね」

武田英寿(青森山田高校)

同世代が先に試合に出るのを見て悔しかった

傍から見ると順調な高校サッカー生活に見えるのですが、これまでに挫折を味わった経験はありますか?

「実は、高1の頃は全く試合に絡めていませんでした。だから、同世代で先に試合に出ている人たちがいて凄く悔しかったですね。高2のはじめまではプリンスリーグ東北でプレーしていましたし、プレミアリーグに出られるようになったのは高2の夏です。去年のプレミアリーグ市立船橋戦でスタメンで使ってもらって、その後のインターハイあたりからレギュラーになれました」

なるほど、そういう悔しさを糧にしてAチーム(トップチーム)に這い上がってきたんですね。今年3月には、U-18日本代表UAE遠征に召集されましたが、代表を経験しての変化はありましたか?

「まだ1回しか呼ばれていませんが(2月のスペイン遠征は怪我のため離脱)、プロでやっている選手もいたので、日頃どんな練習をしているかなど色々な話を聞いて刺激を受けました」
(※7月上旬にU-18代表候補キャンプにも招集。取材日は6月末)

プレミアリーグEAST、選手権にはどのような意識で臨んでいきますか?

「今のところ、プレミアリーグでは負けていませんが(第10節終了時点)、それを最後まで継続できるかが鍵になってくると思います。選手権に関してはチームの全員が勝ちたいという思いで気合の入る試合です。今は、目の前の一試合一試合に全力で挑んでいきたいですね」

浦和レッズへの加入内定が決まりましたね。将来は、プロとしてどのような選手になりたいですか?

「浦和レッズに決めさせていただいて、とても嬉しく思います。今はまだ高校生としてプレミアリーグやインターハイがあるので、そこに向けて取り組んでいきたいです。将来は、浦和レッズで活躍することはもちろん、チームに貢献し結果を出すことで、日本代表や海外挑戦ができる選手になりたいと思っています」

サッカー以外の面について伺いたいのですが、得意科目や趣味はありますか?

「うーん、特にこれという科目はないですね、何でもできるので(笑)。趣味は、YouTubeでサッカーの動画を見ることです」

最後に、座右の銘がありましたら教えてください。

「特に意識している言葉というのはないです。すみません……(笑)」

WRITER PROFILE

佐藤 梨香
1983年、青森県生まれのフリーランスライター。陸上、フィギュアスケート等様々なスポーツを経験し、2015年にはPUMA公式アンバサダーのメンバーPUMA Girlsとして活動。都内マラソン大会、駅伝、ホノルルマラソンなどに出場。サッカー好きが高じて、スポーツマガジンStandard専属ライターに。2019年からは、J3ヴァンラーレ八戸FC番記者として、エル・ゴラッソやJリーグ公式サイト、J’s GOAL向けにも取材、執筆中。サッカー以外にも、野球、陸上、バドミントン、相撲、柔道、レスリング、ウィンタースポーツ全般など多岐に渡るスポーツ取材をこなし、スポーツの現場から個々の「history/herstory」を伝える。