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指導者の言霊「有村圭一郎 神村学園高等部男子サッカー部監督」

ウィークポイントと向き合い、自分自身に矢印を向けることが大事

サッカーを通じて「人づくり」という部分に重きをおいて指導しています。その中でサッカーには上手くいくことと、そうでないことの両局面があると伝え、選手たちがサッカーを楽しめるように、ストレスを与えないというスタンスを大切にしています。また、自分のウィークポイントと向き合い、自分自身に矢印を向けることが大事だとも常に話しています。とはいえ、中には途中で矢印が少しずつ反れてしまう選手もいます。這い上がれるタイプにはハッパをかけますが、上手くいかなくて諦めてしまいそうな選手には、「少しずつできている」と成長を感じていることを伝えながら、成功体験をたくさんさせてあげるようにしています。また「今のプレーよかったけど、わかってやってた?」など、選手自身の気づきにもなるような会話をすることも心がけています。

高校卒業後は、社会に出て自由になるので、この3年間は非常に大事だと感じています。我が校のサッカー部は、サッカーだけではなく、学校生活も把握しているので、選手たちは鬱陶しいと思うかもしれません。でも、その鬱陶しいことや、窮屈な部分が普通だと思えるようになった時、人として成長があると伝えています。人から応援されるサッカー選手になってほしいですし、たとえサッカーでなくても、期待してもらえる、期待に応えられる社会人になってほしいと思います。

ルールを守ることが大前提。その中で子どもたちは成長していく

親御さんの中には、子どもは好きなようにサッカーをすればいいというスタンスの方がいるかもしれません。確かに、サッカーは自由にやっていいと思います。でも、好き勝手が過ぎてしまうと、サッカーにおいて必要不可欠である『仲間との共存』が図れなくなってしまいます。また、自分だけ楽しんでいたら、たとえ一生懸命サッカーをやっていたとしても、サッカーでの成長はないですし、学校でも迷惑をかけてしまうことになるでしょう。ですので、子どもたちには、まずはルールをきちんと守ることが大前提だと教えるべきだと思います。ルールを守れないままでいると、何に対しても「自分さえよければいい」という考え方になってしまうからです。

親御さんはピッチに入った子どもを助けることができないですし、最終的に子どもたち自らが切り開いていかないといけません。だからこそ、子どもがサッカーを楽しんでいるからと好き勝手にさせるのではなく、時にシビアな目を持ち、わがままにプレーするのは自由ではなく、自由の中には責任が伴うと伝えることが大切です。

子どものストレスにならいないよう、試合中は判断を見守ること

私は12年間、中学生を指導していたのですが、その中で心がけていたのは「指導者が子どもたちのストレスにならない」ということです。その気持ちは、今でも変わっていません。子どもたちは、上手くいかないことのほうが多いのに、それを指導者がごちゃごちゃと言ってしまうとストレスになり、萎縮してしまうからです。

試合中は、子どもたちの判断を見守り、実践させることです。試合は子どもたちのためにあるので、途中で指導者が口を出してしまうと、子どもたちの判断や想像力を曲げてしまうことになり、試合のイメージが指導者よりになってしまうからです。また、指導者が言い過ぎてしまうと、子どもたちは何が良かったのか悪かったのか、わからなくなり、何よりも、サッカーがつまらなくなってしまうのです。

試合で気づいたことは、トレーニングの中で修正し、子どもたちの良さを引き出して、ウィークポイントを削ってあげるような指導が大事だと思います。試合前に「信頼しているから頑張ってこい」と送り出せば、子どもたちは、やらなければいけないという気持ちになり、試合中に何も言わなくてもしっかりできるのです。