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指導者の言霊「江本孝 高川学園高校サッカー部監督」

小学、中学年代の指導者と一緒に、卒業まで選手を育てていく

高川学園高校サッカー部ではスカウトやセレクションを行っていません。私をはじめ、何かしらつながりのある中で、選手を送っていただいています。というのも、高校1年生は、考えが未熟で、周りと共存する力がついていない年代。そのため、壁にぶち当たった時には相談できる人が必要です。それが、小学・中学時代の指導者だと思うからです。当然、親御さんに相談することもあるでしょう。でも、保護者はどうしても自分の子どもを優先に考えると思います。成長してきた過程を知っている指導者であれば、第三者の立場でしっかりと話を聞くことができ、解決することができると思うのです。また、小学・中学時代の指導者と一緒に高校卒業まで選手を育てていきたいという思いもあります。そうした中で、選手たちには3年間で、サッカーだけでなく、人として気を遣える、人の気持ちがわかる人間に育って、次に行く場所で羽ばたいてほしいと思っています。

高校サッカーには規律があり、挨拶一つにしても、気持ちのよい、返したくなるような挨拶をしないといけないものです。それも高校サッカーの良さではあるかなと。求めることに対して忠実に頑張ることで、必ず自分の力になると思います。

私が指導する中で大事にしているのは、常に選手たちの表情を見るということです。選手は160名いて、グラウンドは2面あり、離れた場所にあるのですが、選手たちがどんな雰囲気で、どんな表情でプレーしているかというのは常に気にしています。

もう一つ大切にしているのが、スタッフ間での「ホウレンソウ=報告・連絡・相談」です。指導者同士が、しっかりとホウレンソウを行うことで、選手たちの状況が見えて指導できますし、指導者間で共通認識を持つことで、私の思いや考えなど、選手たちはどの指導者からも共有できるのです。何よりも、指導者同士がやるからこそ、選手たちもそれが当たり前だという状況になっていくわけです。指導者と選手たちが、インプットしたことを必ずアウトプットしていけば、組織としても成長していくと思っています。

サッカーと部署活動を通して、人として成長してほしい

「目配り・気配り・心配り・言葉配り」。これは、高川学園高校サッカー部が大切にしている言葉です。そうしたことができる大人に成長してもらいたいという思いもあり、サッカー部では、サッカー以外のことをやる「部署活動」を行っています。企画部、おもてなし部、用具部、分析部、広報部など11の部署を設け、3年生を中心に活動しています。成長するために大事だと思っている子もいれば、どんな意味があるの?と感じている子もいるでしょう。でもそれは、人それぞれなので問題ないと思うのです。この活動は、今、答えを出すのではなく、いつか自分の人生において何かしらの答え、ヒントが隠されていると、選手たちには伝えていますし、大人になって少しでも役立ったと感じた時に、その価値があると思っています。

小学生年代は、サッカーを自らやったのか、それとも親に勧められてやったのかで、成長度合いが大きく変わってきます。もちろん、親御さんは子どもにサッカーを勧めていいのですが、子ども自身が学びたいと思っているか、また、学びたいと思わせる環境を用意できているのかが大事なのです。子どもが能動的にサッカーに取り組んでいるかどうかを気にかけて見てあげてほしいと思います。

子どもはメリハリをつけるとより没頭するものです。ですので、サッカーと社会に出ていくために必要なこと(勉強など)を、しっかりとメリハリをつけてあげることが大切ですし、その中でのバランスや、声かけのタイミングなども重要になってきます。

今年の全国高校サッカー選手権大会で優秀選手に選ばれた子は、小学生時代に空手もやっていたようです。小学生の頃に様々なスポーツをすることには大賛成ですし、その経験はきっとサッカーに活きてくると思います。