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指導者の言霊「澤登正朗 常葉大学浜松キャンパスサッカー部監督」

指導者の言霊「澤登正朗 常葉大学浜松キャンパスサッカー部監督」

サッカー部での活動が社会で活きるよう大学生を指導

今、私は大学生を指導しています。大学生は社会に出るための予備軍ですので、社会に出た時に困らないような"人間性"を育てるのが役目だと思っています。選手たちには、常に「組織の中では自分がどうやって生きるのか」という道を探すことが重要だと伝え、サッカー部としてやってきたことが社会に出た時に活きるように指導しています。

練習で重要視しているのは、オフザボールの時の動きです。試合では90分のうち、ボールを持つのはわずか数分程、大半はボールを持っていない時間だからです。ボールを持っていない時はどういったサポートをすべきか、どういう角度、距離にしたらいいのか、次のプレーを予測しながらどんな対処ができるかなどを言い続けています。大学生といえども、サッカーの考え方を理解していない選手も多いので、そういったことを教えると、次第にできるようになり、チームとしても戦える力がついてきているように思います。

選手たちは「プロになりたい」「全国出場したい」とそれぞれ目標は違います。その中で、いつも言っているのは「どれだけチームのためにやれるのか」「つらいことから逃げずに頑張れるのか」ということです。言い続けて見えてきたのは、選手たちの成長です。今年で監督に就任して5年目になりますが、毎年1年間で選手たちがこんなにも成長するんだと感じますし、だからこそ指導者はやりがいがあると思っています。

小学生を成長させるには指導者がたくさん問いかけること

多くの指導者と同じで、私も小学生時代に大事なのは、サッカーを楽しむことだと思います。指導者が言い過ぎてしまうと、子どもたちは楽しむどころか、自分で考えることもできなくなり、サッカー能力が落ちてしまうからです。小学生を成長させるには、指導者が答えをだすのではなく、「どうやってやれば上手くいくのかな」「ちょっと考えてごらん」といった問いかけをたくさんすることではないでしょうか。また、試合を目で観ることも重要です。今は、Jリーグや世界の試合など、映像でもたくさん観られる環境でもあります。多くの選手のプレーを観て、考えながら真似をすれば、成長度合いも早くなるものです。

今、指導者の数は増えていますし、その中には日本サッカー協会のライセンスを持った方も多いと思いますので、それぞれの教え方はあるにせよ、ベースが全国各地に広まっている分、教える技術は上がっているように感じます。私は子どもたちの先のことを見据えて、体の向きやサポートの角度、タイミングなど個人戦術のところも小学生、中学生の間に教えておくのも一つの方法だと思うのです。なぜなら、テクニカルな部分は高校に入ったら応用ですし、現に世界では小学生の段階からそういったことも指導しているからです。

今の子どもたちは、少年団に入りながらスクールに通ったりもしていますが、指導者が違うといろんな刺激がもらえる分、それもいいのではないかと思います。ただ、お母さん方は大変ですよね。私も小学生の頃は母親が常に試合に帯同してくれましたし、送り迎えもしてくれたものです。親御さんはすごく労力はいると思うのですが、子どもの成長は、家族の協力なくしてはないのです。どれだけ子どもに力を注ぐことができるのか――。それが一番大事な部分ではないでしょうか。

親御さんはクラブや少年団に子どもを預けたら、そこに任せて信頼関係を作ることも大切です。指導者や関係者との距離は近すぎず、遠すぎず、適度な距離感で子どもを見守ってあげてほしいと思います。また、子どもをサポートするうえで大事にしてほしいのは"食" の部分です。練習や試合が終わった後の補食や筋肉をつくるための栄養素など、小さい頃から心がけていれば、より強い体になっていくのです。今は、サッカー選手にとって食も重要視されていますし、指導者もレクチャーを受けています。お母さん方には、何よりも食のことにこだわっていただけると嬉しいなと思います。

※この記事は2017年10月18日に掲載したものです。