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【全国注目校FILE】青森山田高校(青森) 2年ぶり2度目の選手権王座奪還

[分類]私立
[所在地]青森県青森市
[創部]1970年
[部員]約180人(2019年見込み)
[2019年所属リーグ]
 TOP/プレミアリーグEAST、2nd/プリンスリーグ東北、3rd/青森県リーグ1部、4th/青森県リーグ2部
[選手権最高成績]優勝(2017年、2019年)

監督に聞く!求める選手像と指導理念
黒田剛監督

全国屈指の強豪青森山田だが、入部に制限は特になく、意欲があれば誰でも受け入れている。青森山田高校の生徒であれば誰でも入部可能だが、専攻スポーツという授業カリキュラムの一環で練習ができるシステムのため、スポーツコースに入らないと難しい。
「青森山田高校サッカー部の選手」に求める選手像は、テクニカル、スピード、身体面など個人としての特徴は勿論だが、3年度にどのような選手に成長するかという将来性も重要。チームを構成していく中で、黒田剛監督は「こういう組み合わせで育っていけば面白いかな」という構想を描いている。
Aチーム、Bチーム、Cチーム以下とカテゴリーが構成されているが、特にトップチームであるAチームに求めるものは即戦力。技術やスピードはチーム全体の中で当然トップレベルのカテゴリーであるゆえ、そのレベルの中で経験をさせ、できるだけ早く開花させたい選手が置かれる。また、プリンスリーグ東北に参入中のBチームにはプリンスリーグの中でもまれた方が良い選手が置かれ、Cチーム以下ではじっくりと基礎体力作りから強化を図る。
また、中学3年生を対象に、毎年8月末最終週の火・水にセレクションを行っている。スカウティングよりもセレクションにて選手の見極めを行っているが、合否の決定という位置づけではなく、特待の枠組み(S特待、A特待など)を明確にするためのものだそうだ。学校HPにて案内が公表され、申込書をダウンロードして申し込みを行うようになっているので、青森山田高校でプレーしたいと思っている中学3年生はぜひチェックを。

他者を引き寄せない「王者・青森山田」の意地とプライド

青森山田高校

本州最北端の雪深い青森県青森市に位置する青森山田高校。現在スペインでプレーする日本代表の柴崎岳(ヘタフェ)の母校でもある。元々は家政系の女学校であり、1918年(大正7年)に山田きみ先生が青森市内の自宅で裁縫塾として始めたところから始まった。その後、中学校設立や男子部設立といった組織改編を経て、1962年からは学校法人青森山田学園として運営。サッカー部の創部は1970年。

青森県は、青森山田一強と言える非常に特殊な地域。選手権予選のみならず、6月のインターハイ県予選や11月の県新人戦でも青森山田が攻守ともに王者の強さを見せつけている。2番手以降のチームは「打倒・青森山田」の姿勢で立ち向かうも、その壁は大きい。また、トップチームがプレミアリーグ、2ndチームがプリンスリーグ東北に参入しているが、県1部と2部にそれぞれ参入している3rd、4thも各リーグで無敗優勝を果たし、どのカテゴリーでも青森山田の名を轟かせている。ここ最近、県2番手につけている野辺地西が昨年11月の選手権県予選で非常にいい試合を見せ、一時同点に追いつくなど青森山田を苦しめたが、王者の壁は厚く高いものだった。各大会において県代表の座を手にするには、組織力の高い青森山田の壁をぶち抜くことが必要不可欠である。

2年ぶり2度目の選手権王座奪還

青森山田高校
第97回選手権では個と組織力、そして強靭なメンタルで2年ぶり2度目の選手権を果たした。(Photo:Takahiro Fujii)

黒田剛監督が監督に就任したのは1995年のこと。24回目の出場となった今年の第97回選手権では、2年ぶり2度目の優勝を達成。1997年からは22年連続出場。大会直前までキャプテンを務めていた檀崎竜孔はJ1コンサドーレ札幌へ入団、三國ケネディエブスはJ2アビスパ福岡へ入団し、今年もプロ入り選手が2名生まれた。ちなみに初優勝は廣末陸(レノファ山口)や高橋壱晟(モンテディオ山形)らを擁した2017年で、このチームはプレミアリーグ優勝も達成し二冠に輝いている。他に2018年度の主な成績は、プレミアリーグEASTでは10勝7分1敗の勝ち点37で2位、檀崎竜孔が16得点を挙げ得点ランキング1位でその原動力となった。また、インターハイでは昌平(埼玉)と当たった2回戦で敗退している。

青森山田には、「企業秘密」と黒田監督が言う「守備の鉄則」があり、ピッチに立つ全員がそれを共有、実践できるよう日々トレーニングされている。黒田監督がよく口にするのは、「事故を起こさないこと」。「失点しなければ負けない。ゼロで抑える」という意味だ。失点に繋がるミスを起こさないために、「守備の鉄則」を選手たちがしっかりと共有しているのだが、「ゼロで抑える」という青森山田の戦い方や意識は選手全員に浸透している。

基本フォーメーションは、4-1-4-1。昨年度の選手権では、ダブルボランチの一角である天笠泰輝がサイドにうまくボールを展開してサイド攻撃の起点となるなど、ピッチを横に広く使い、攻守に渡り組織力の高いサッカーを見せた。寮生活を送り24時間365日共に過ごしている彼らだからこそ生まれる連携力である。新チームの暫定キャプテンは武田英寿(新3年生)。選手権のピッチにも立ち、初戦草津東戦では得点を挙げた。来年度、青森山田中学校サッカー部から入部予定の新入生の中には、既にトップチームに入り高校生と練習を始めている選手もいるという。インターハイ、プレミアリーグ、選手権の栄冠に向け、また大いに期待のかかるシーズンとなりそうだ。

中田英寿にちなんだ名前を背負う、新キャプテンへの覚悟と展望

武田英寿選手

MF 武田英寿(新3年)
「英寿」という名前を聞いて、サッカーファンなら誰もが思い浮かべるのが、あの人。サッカー界のレジェンド中田英寿。武田の両親が大のサッカーファンであることから、この名前が付けられた。各所でこの名前について触れられることがあるそうだが、現在17歳である当の本人は、中田英寿の現役時代を知らない。「両親がサッカー好きでつけてもらった名前ではあるけれど、自分もサッカーをやったからには、しっかりと活躍して名前だけではなくプレーでも有名になれるようにしたい」。そんな武田は、1年生から2年生のはじめまではプリンスリーグ東北でプレーしていて、トップチームに関わることはほとんどなかった。彼がトップチームに上がってレギュラーの座を確保するようになったのは、昨年夏のこと。プレミアリーグでの市立船橋戦でスタメンに入り、その後のインターハイにも出場、ようやくトップチームのメンバーとして名を連ねるようになった。檀崎竜孔のように1年生からトップチームでプレーする者もいれば、武田のように必死になって昇格してくる者もいる。全員が生活をかけてサッカーをしているという環境にあり、そうした中での昇降格が、より厚い選手層を生んでいるのだ。黒田監督も、「青森山田中学ではキャプテンをやっていたので素材は悪くない。2年生の夏頃から頭角を現してくる選手がいるのは、我々にとっても嬉しいこと」と話す。

高校年代屈指のレフティとも言われている武田の強みは、巧みなボール裁きと相手を翻弄する軽快なプレー、そして広い視野。2月16日に開催されたNEXT GENERATION MATCHでは高校選抜としてスタメン出場を果たした。新キャプテン、そして新10番を担うことになるであろう彼は、「1年生から自分の代のリーダーとしてやってきたのでそのつもりでいる。重圧もかかると思うが、仲間もいるので周りを信じて今年1年しっかりとチームを作っていきたい」と覚悟を決めていた。また、キャプテンとあらば、プレー面でも生活面でもチームを引っ張っていかなければならないが、「周りを気にかけてチームを良い方向に持っていくのは勿論、プレー面でも得点を決めチームを楽にできる活躍ができれば」と抱負を語った。そんなキャプテン像のお手本は、先輩の檀崎竜孔だという。後輩から見て、「竜孔さんは私生活でも相当厳しい人」なのだとか。それはおそらく、自分に対しても周囲に対してもだ。最後に武田は、新チームとしての展望をこう語った。「今回は3年生が選手権優勝を経験させてくれたので、今度は自分が引っ張る立場になり、仲間と共にまた来年埼スタの舞台に戻ってきたい。そして今年は三冠(インターハイ、プレミアリーグ、選手権)を目標に、生活面、プレー面ともに己に厳しくやっていきたい」。

新キャプテンを中心に充実の選手層で連覇に挑む

青森山田高校

今年は、新大黒柱の武田英寿、そして1年生ながら選手権に出場し得点も決めた藤原優大(U-17日本代表)等が中心となり、選手権経験者が数名しか残らない中でどんなチームを作っていくのか、それが一つの鍵である。ただ、今回優勝したチームも、実は選手権経験者は檀崎のみだった。一枚しか残らなかった中で優勝を成し遂げていることから、それはあまり問題にならないかも知れない。トップチームの中でどの選手が出ても一定の力が出せる選手層の厚さを構築していくことが予測される。まずは、大きなところで言えば、選手権王者として臨むインターハイで結果を残せるか注目が集まりそうだ。