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【全国注目校FILE】作陽高校(岡山)卓越した組織力で23回目の総体へ挑む

[分類]私立
[所在地]岡山県津山市
[設立]1970年
[部員]155人
[2019年所属リーグ]
Aチーム/プリンスリーグ中国、Bチーム/県リーグ1部
(※この他に3年生の希望選手で構成されるフットサルチームがある)
[選手権最高戦績]準優勝(2006年度)

監督に聞く!求める選手像と指導理念
野村雅之総監督

入部条件は特になし。同校の校長でもある野村雅之総監督は「作陽で、人間として成長したい、サッカーを追求したいという生徒たちに来てほしい」と語る。部のテーマとして掲げているのは『自律・自主・自立』。3年間のサッカー部の活動を通じて、自分を律し、自主的に行動して、自立していくことを目指している。岡山県の小学生、中学生年代の指導者には作陽の出身者が多く、卒業後も長くサッカーに携わる人材を送り出していることがうかがえる。

Jリーガーも多く輩出している名門校

作陽高校

学校創立は1930年、サッカー部は1970年創部。6月のインターハイ予選を制して23回目の出場を決め、冬の選手権も23回の出場を誇り、もちろん両大会とも県内最多だ。結果だけでなく、MF青山敏弘(広島)、DF櫻内渚(磐田)、DF河面旺成(大宮)など数多くのJリーガーを輩出し、育成でも実績を残している。

受け継がれる『作陽スタイル』 多彩なパターンの攻撃サッカー

作陽高校

長年、監督を務めてきた野村氏が2017年度から総監督兼GMとなり、男子だけでなく、フットサル、さらにここ数年で全国大会での上位進出も果たしている女子も含めて、サッカー部全体を統括する立場となった。男子の後任監督には、2006年度選手権の準優勝メンバーである酒井貴政氏が就任。教え子の就任によって『作陽スタイル』はスムーズに受け継がれている。

テンポ良くパスをつなぎながら敵陣を攻略するパスサッカーは、観戦者から驚きの声が挙がることも多い伝統のスタイル。GKも交えて最終ラインからパスを回し、相手が高い位置からプレッシャーをかけてきても、空転させてチャンスを作り出す。「精度の高さとスピードの両面で『判断力』を高めるようにしている」と野村氏が語る、日々の練習を通じてのレベルアップに加え、酒井監督は個人技の向上にも力を入れている。それだけ攻撃パターンも多彩になっており、こう着状態を打ち破るセットプレーも大きな武器だ。

一発で局面を変える作陽の司令塔

矢木海成

MF 矢木海成(3年)
オリジナルポジションは中盤の下がり目だが、マイボールになると最終ラインまで下がってCBの間に入り、チーム最大の武器であるパスワークの起点に。短いパスの交換に加え、「ロングキックで逆サイドまでパスを飛ばすのがストロングポイント」と自ら語る武器を生かし、一気に局面を変えてチャンスを生み出す背番号10の司令塔だ。

目標とする選手は作陽OBのMF青山敏弘(広島)。ロングキックやダイレクトパスを駆使して、中盤の底からチームをコントロールする姿にあこがれており、「青山選手が出ている試合の映像は、ほとんど見ています。声を出してチームを引っ張り、自分のパスで得点に絡むプレーがすごい」と語る。インターハイに向けて「プリンスリーグ中国や新人戦を通じて、前線の決定力が課題だったので、改善しなければいけない。守備ではクロス対応を磨いていきたい」とポイントを上げ、チームと個人のさらなる成長を期している。

高い組織力を武器に日本一を目指す

作陽高校

6月のインターハイ予選を制し、2年連続23回目の出場を決めた。野村総監督は今年度のチームを「飛び抜けた存在の選手はいないが、戦術理解度は非常に高い」と評しており、個の力に頼らない組織力を武器に、全国大会での上位進出が期待されている。3年生の希望選手で構成されるフットサルチームも全国大会の常連で、過去にU-18の選手権で日本一に輝いた経験も。女子も含め、それぞれのチームが日本一を目指して切磋琢磨を続けている。

WRITER PROFILE

石倉 利英
1970年、島根県生まれ。94年にベースボール・マガジン社に入社し、週刊サッカーマガジン編集部に配属。サンフレッチェ広島、ジュビロ磐田、浦和レッズなどの各Jクラブのほか、ジーコ監督時代を中心に日本代表も担当。井原正巳、森島寛晃、秋田豊、名波浩の引退試合プログラムの編集も担当した。2009年に退社してフリーとなり、2011年に島根に帰郷。エル・ゴラッソ、J's GOALのガイナーレ鳥取担当記者、サンフレッチェ広島ファンクラブ誌「アシスト」の編集のほか、中国5県の高校サッカーを取材・撮影。サッカーマガジン、Number Webなどへの寄稿のほか、高校女子のソフトテニスなども定期的に取材している。