【全国注目校FILE】東海大仰星高校(大阪)勝負にこだわり、強い結束力で再び全国の舞台へ
[分類]私立
[所在地]大阪府枚方市
[設立]1983年
[部員]139人(マネジャー5人含)
[2019年所属リーグ]
Aチーム/プリンスリーグ関西、Bチーム/府リーグ2部、1年生/関西U-16Groeien・G1
[選手権最高成績]全国大会3位(2016年度)
[インターハイ最高成績]全国大会2回戦
中務雅之(なかつかまさゆき)監督
入部条件は特にない。母校に赴任しコーチとなった中務氏が29歳の若さで監督となり、今季が就任9年目(強豪校に育て上げた中村前監督は、現・東海大諏訪高校校長の任にある)。中務監督は求める選手像を「当たり前のことを、当たり前以上にできて、仲間を思いやれる人。賢く冷静にプレーできて、正しい判断を下せる人。高校年代だけでなく、今後の人生においても重要だと思う」と話すが、こうした人物にしたい、なってもらいたい、というのが監督の願いなのだと感じた。指導においては「生徒に対して“熱”を持ち続けること」を常に意識しているという。「国、地域、チームによってサッカーには色がある。その色合いをしっかり理解して高校生にフィットするような内容を落とし込めればと考えているし、他の高校年代チームからも学んでいる。そういう意味で知識と幅を広げておきたい」とサッカーへの向き合い方を語ってくれた。
誇るべき全国ベスト4とプリンスリーグ関西優勝
東海大学の付属校として1983年に創立された東海大仰星にとって初の全国大会は1990年度の選手権。翌年、インターハイにも初出場を果たすが、そこからしばらくは全国の舞台からは遠ざかった。“復活”は2001年度の選手権で、その後選手権には計5度、インターハイには計3度出場している。中務監督は選手権での2012年度ベスト8、2016年度3位という成果に導いている。一方、プリンスリーグ関西昇格には時間を要したが、2017年、昇格年にいきなり4位の好成績。さらに昨季は見事初優勝。プレーオフでもプレミアリーグ昇格まであと一歩に迫る躍進ぶりだった。グラウンドもラグビー部と共有する人工芝グラウンドを持ち常に半面は専用できる。OBにはJリーガー・藤春廣輝選手(G大阪)が活躍中だ。
実力は十分。強豪ひしめく大阪を突破するために
今季、プリンスリーグ関西2位と好調を維持して迎えたインターハイ予選だったが、ベスト4による決勝リーグで関大一と同勝点ながら得失点差で3位に終わり、全国への2枠を逃す悔しさを味わった。中務監督は、「決定的なところでどれだけプラスの方向にもっていけるか」とチャンス数、決定力に課題を感じた様子。戦力面を見ると、仰星といえば毎年前線にスピードのある選手がいるイメージですが?と尋ねると、中務監督は、「例年、ウチはそこまで爆発的に速い選手はいない。個の速さでいうと他校の方が速い選手が多い」とやや控えめで、「献身的に働き、チームのために汗を流してくれる選手が増えてくれれば」と別の視点からの期待を語った。
監督の信頼も厚いドイス・ボランチ
MF 美藤 倫(みとう りん)(3年)
「メンタルの弱さが課題だった」という美藤は、厳しいイメージの東海大仰星を選んだという。中務監督が「精神的支柱。攻・守両方でいないと困る選手」と認める主将は、「球際の強さと中央からでも1人で相手を剥がせるところ」に自信を持つ。コンビを組む増澤も「しんどい時に引っ張ってくれる」と信頼を寄せる。「(ともに3位の)インターハイ予選、近畿大会で出た弱さを克服して、プリンス優勝と、選手権では完璧な試合で勝ちたい」と目標を見定めている。
MF 増澤岳流(ますざわ たける)(3年)
増澤は、「人間的にも私生活の面でも磨けるところだと教えられて」兄の母校へ進学してきたという。中務監督は「気が利く選手。危機察知に優れ、空間把握でのボール奪取に優れる」と信頼する。「技術的に高くないので、人よりも走って汗をかけるところと、相手のカウンターの時に、予測の部分で上回って先に動けるところ」と自身の特徴をしっかり認識している。「まだまだ僕たちは弱いので、この夏全員で成長して勝てるチームになりたい」と意欲を語る。
3年ぶりの選手権出場で、インターハイ予選の悔しさを晴らしたい
中務監督は今季の大阪の勢力図を、「例年通り、力のあるチームを数えたらキリがない。常に挑戦者の心で挑みたい」と話す。CBの瀬戸山、中盤の美藤と増澤、FWの得点源・平野と“背骨”はしっかりしている今季の仰星。監督は「例年よりも、局面での判断が的確な選手が多い」ことをストロングに、「全員サッカー、攻・守一体となったバランスのとれたサッカー」で残る2大目標、プリンスリーグ関西優勝と選手権予選突破を目指し、この夏も選手たちを厳しく鍛えている。