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【全国注目校FILE】大成高校(東京都)「大器晩成」で掴んだ悲願の全国舞台

[分類]私立
[所在地]東京都三鷹市
[設立]1965年
[部員]約165名
[2019年所属リーグ]TOP/東京都リーグ2部
[選手権最高戦績]東京予選準優勝

監督に聞く!求める選手像と指導理念
豊島裕介監督

「どこでやっていたかは関係ない。いかにその3年間成長するか」と、豊島裕介監督はいう。入学する選手は中体連時代、各チームでエースを張っていたという子ではなく、陰に潜めていた子たちが多いという中でそれぞれが意識高く取り組み、現在の3年生は1年時の終わりには5人が研修大会に選出され、5人ともが東京選抜入りを果たすなど、大きく成長を遂げた。「中学校時代の実績で自分たちで上下を決めてしまう子がいますが、自分たちが思っている以上に実はそうじゃない」と指揮官。「本当に一生懸命、とにかく頑張る子には来て欲しいと思います」。

トレーニングに「100」を尽くす。チームの根幹は献身的な守備

大成高校

帝京時代は「走るのが一番得意だった」という豊島監督のチームだが、実は3年間素走りをさせたことは一度もないそうだ。「その分こちらが与えるトレーニングの中で100でやって欲しい。できなければ余分にやらなければいけないというのが1年生の頃から根付いているので、こちらがコントロールしてあげないと身体が壊れてしまうくらい彼らはやってくれる。そういったところでコミュニケーションもたくさん取っています」(監督)。チームの根幹は献身的な守備、ハイプレスからのカウンターアタック。終盤にかけても落ちない運動量は大きな武器だ。

古豪・帝京高校を破り、54年目で全国大会切符を掴む

大成高校

大成にとってはこれが「3度目の正直」だった。昨年は選手権東京都予選で初のファイナルに進みながらも国士舘に敗れ全国にはあと一歩手が届かず、今年4月の関東大会予選では代表決定戦となった準決勝で東久留米総合に敗れて、やはり県外公式戦への出場権を逃していた。

3度目の正直の相手は古豪・帝京。それでも1年生の頃からあらゆる強豪校とトレーニングマッチを行い、経験値を積み重ねた選手たちはひるむことはなかった。前半9分、MF宮脇茂夫のフリーキックが直接ゴールに吸い込まれて先制すると、その後帝京に同点とされるも苦しい時間帯を耐えてPK戦へ。9人目までもつれ込んだ接戦を制し、初の全国大会出場を決めた。

校名の大成は「大器晩成」が由来。その名の通り一段、また一段としっかり階段を登りながら、創部54年目で悲願の全国大会切符を掴み取った。

攻守において欠かせないチームの心臓

宮脇茂夫

MF 宮脇茂夫(3年)
文字通り「大成の心臓」だ。全国出場を決めた準決勝では腰の負傷を抱えていた中で中盤底から左足で精度の高いフィードを連発。指揮官も「彼のキックというのは一発ですべてを変えられるものを持っている」と絶対的な信頼を置く。またゲームを読む力にも長けており、押し込まれている時間は4バックの前で掃除屋の役割を担うなど、攻守においてチームに欠かせない存在だ。三原台中時代は無名の選手で、大成には推薦ではなく一般受験からの入学。高校入学後に大きく成長した背番号8はこの2年半を「すごいサッカーばかりしていて充実していた。短かったです」と振り返った。「ここからがスタート。選手権が一番の目標なので、そこに繋げられるような良い結果を持ち帰ってこられるように、また気を引き締めて練習していきたいと思っています」。

初のインターハイは善戦及ばす1-2で初戦敗退

大成高校

インターハイは初戦で愛知県代表の名経大高蔵高校と対戦。終盤にMF尾﨑元のゴールで1点を返すも追いつくことはできず、初の全国は1回戦で終わった。それでも予選を含めて、数多くの真剣勝負の場を踏んできた経験は選手たちに大きな飛躍のきっかけを与えたはず。この経験を無駄にせず、今冬は昨年あと一歩のところで果たせなかった選手権東京都予選制覇を目指す。

WRITER PROFILE

石黒 登
1986年、埼玉県生まれ。スポーツ編集部勤務ののち、2016年より独立。現在も在住する埼玉県を中心に1種から4種、女子、支部予選から全国大会まで幅広く取材している。埼玉サッカー通信、SAITAMA SOCCER MAGAZINEほか、サッカーダイジェスト、新聞等にも寄稿。編集部時代にはウインタースポーツ、ゴルフ、バレーボールなども担当。

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