【全国注目校FILE】京都橘高校(京都)新興勢力から京都の盟主、今や関西を代表する強豪校へ。
[分類]私立
[所在地]京都府京都市伏見区
[設立]2001年
[部員]78人
[2019年所属リーグ]
Aチーム/プリンスリーグ関西、Bチーム/府リーグ1部、Cチーム/府リーグ2部、クラブユース(Wizards Football Club)登録の選手もいる。
[選手権最高戦績]準優勝(2012年度)
米澤一成監督
入部条件は特にない。米澤一成監督は、「求める人材は、ウチに入ることが目標ではない選手」と即答。「入部しただけで満足しない子に来てほしい。もっと上を狙って競争し続けてもらいたい。1学年25人程度なので、自分の実力が分かってきたときに、そこで頑張り切れるかどうかが大事。もちろん頑張っている者が多いが、そうでない者もいる。ウチがもう1ランク上がるためにはそのあたりが課題かなと思う」。指導に当たっては、「組織の中で個を活かす」ことを念頭に置き、この年代としては「次につなげること」、「完成させないこと」を大事にしている。「高校で結果を出して終わり、では意味がない。技術的には完成が必要だが、その他は伸びしろをもって大学やプロに送り出すのが僕の仕事です」と強調した。
創部から12年目に全国準優勝
元々は1902年創立に始まる女子高で、男女共学になったのは2000年。サッカー部はその翌年、現在も指揮を執る米澤監督が創部した言わば新興チームだが、着々と実力を蓄え、2007年インターハイ初出場、2008年全国選手権初出場に結実した。そして、2度目の出場となった2012年の選手権では準優勝(鵬翔にPK負け)を果たし、翌年もベスト4。その後2017年まで選手権では京都を6連覇し、2014、15年には年代最高峰のプレミアリーグWESTに参戦経験を持つ、全国にその名が轟く強豪校である。
抜きん出た実力。京都には「敵なし」?
今年のチームについては「かなりしんどいと思っていたが、人間力がついてきて、我慢できるようになった」とは米澤監督。インターハイ予選決勝の東山戦はまさにそんな我慢の試合。粘る相手に0-0から延長・PK戦にまで持ち込まれたものの、攻守に渡って相手を圧倒するほぼワンサイドゲーム。予選5試合を21得点・無失点で乗り切ってみせた。今季京都では唯一プリンスリーグ関西に所属する京都橘だが、府リーグ1部には東山や、準決勝で4-0と勝った洛北、さらに京都共栄、久御山、立命館宇治らのライバル校がいるが、その府リーグ1部で首位に立つのが京都橘のBチームである(第11節終了時点)ことを見てもやはり実力の高さ、選手層の厚さは冬の選手権に向けても優勝候補筆頭であることは動かせないだろう。
チームの支柱・ボランチ佐藤とサイドを支配するスピードスター高木
MF 佐藤陽太(3年)
監督は、「今年のサッカーができるのは佐藤がいるから」と信頼は厚い。主将でボランチ、まさにチームの中心だ。「バランスをうまくとるし、ゲームを変える力がある。高い技術と優れた戦術眼。上も狙える素材」とべた褒めだが、「発言力、リーダーシップが課題」と注文も忘れない。本人は、「去年と違って前線にターゲットがいないし、みんな小柄なので、基本は足下でつないで攻めるサッカー。2つのフォーメーション(3-6-1と4-2-3-1)を使い分けられるのが強み。青森山田とやりたい」と全国へも自信を見せる。
MF 高木大輝(3年)
監督曰く、「スピードがあって左利き。突破してクロスを入れる形がある。サイドバックもワイドもやれて、右サイドからカットインしてシュートも狙える。色んなポジションにトライさせて、どこでもアレルギーなしでやれるようにして送り出したい。順調に成長しているので、全国でも活躍して先につなげてほしい」と将来性に期待する。本人は「本田圭佑選手のような気持ちの強さが足りない」と課題に挙げて、「去年は前の選手に蹴って競らせるサッカーだったが、今年は中盤に上手い選手が多くつなげるので、やっていて楽しい」とやりがい十分のようだ。
京都に続き近畿は制した。次は全国制覇
毎年、京都橘の目標はブレない。「自己ベストの更新」だ。先輩たちの実績を越える、つまりインターハイ・ベスト4、選手権・優勝、リーグ戦・プレミア復帰を意味する。2年間のプレミアWESTでの経験を、「2ランク上のチームばかりで、ほとんど守っている時間でしたね。プレミアの中で揉まれて青森山田のように勝つ。プレミアの中でも攻める時間が多くなるくらい力をつけるのが目標」と目指す頂きは高い。
インターハイのあと行われた、3日間で4試合という強行日程の近畿大会でも3年生のみの構成で優勝するなど、勝負強さは特筆ものだ。佐藤、高木の他にもU-17代表経験を持つ2年生FW西野太陽など好選手は多く、全国へ出ても優勝候補に名前が挙がるはずだ。