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【全国注目校FILE】浦和東高校(埼玉)激戦区で飛躍を続ける公立の雄

[分類]公立
[所在地]埼玉県さいたま市
[設立]1983年
[部員]248名
[2019年所属リーグ]
TOP/埼玉県リーグ2部
[選手権最高成績]全国大会ベスト16(2005年度)

監督に聞く!求める選手像と指導理念
平尾信之監督

常に追求しているのは「主体的」「能動的」に動くことのできる選手の育成だ。それはサッカー外でも言えることであり「社会に出ても自分から課題や必要なことを見つけて動ける人間を育成したいと思っています」と平尾信之監督。またチームは現在250人弱の大所帯ではあるが、各カテゴリで工夫の凝らされた練習やしっかりとトレーニングマッチも組まれているのも特徴のひとつ。「やっぱり小さい時から大好きでやってきたサッカーを嫌いにさせない。今日はどんな練習をやるんだろう、週末の試合を楽しみだなと思えるのがベース」だという。公立校ゆえに入部条件等はないが、「浦和東でサッカーをやりたいと思ってくれている子、心がしっかりしている子は3年間ですごく伸びます」。その言葉通りU-16年代で勝てなくとも、伝統の「浦東魂」を植え付けられた選手たちは高校3年時では必ず県大会の上位に食い込んでいる。

着々と力をつける公立の雄

浦和東高校

昨年浦和南を全国に導いた野崎正治監督が1989年に赴任すると94年の新人戦で初タイトル。翌年初の選手権出場を果たした。その後も私学が力をつけてくる中で公立の雄として結果を残し続け、4度目の挑戦となった2005年の選手権大会で全国ベスト16に進出した。3大会連続でW杯のゴールマウスを守った元日本代表の川島永嗣(フランス・ストラスブール)、坂本將貴(元千葉)、菊地光将(大宮)、近年ではンドカ・ボニフェイス(水戸)らを輩出している。

「浦和東らしさ」を追求し、5年ぶりの関東本大会出場

先の関東予選では原点回帰し、球際や走力の部分で絶対に競り負けない「浦和東らしさ」を追求。2回戦では昨年覇者の成徳深谷、準々決勝では新人戦準Vの正智深谷に対し苦しい戦いを強いられながらも粘り強く戦って勝利。準決勝の西武台戦も押し込まれながら最後まで球際でしっかりとファイトして延長戦の決勝弾に繋げて、5年ぶりの関東本大会出場を掴み取った。

堅守のチームで存在感を放つ「浦東のマツケン」

松本ケンチザンガ

DF 松本ケンチザンガ(3年)
堅守のチームで存在感を放っているのが「浦東のマツケン」ことDF松本ケンチザンガだ。
コンゴ人の父と日本人の母を持つ186cmの長身CBは「埼玉県No.1ヘッダー」という目標を共有する相棒でありライバルの安食龍成とともに対空を制圧。また、長い手足を生かしたディフェンスで相手の攻撃を絡め取るなど、大会を通じてストライカー封じの大役をやり遂げた。
準決勝の西武台戦ではなかなかチャンスのない中、武器であるセットプレーからエリア内で落ち着いて切り返して先制ゴールもマーク。「自分たちと入れ違いの代の関東予選をここで見て、浦東かっこいいなと思った」と、浦和東を選ぶきっかけとなった思い出の浦和駒場スタジアムのピッチで、今度は自らが同校を目指す選手たちにとって憧れを与える存在となった。
武南との決勝も前後半を0で耐えたが、延長前半ラストワンプレーで失点。準優勝に終わり、「自陣のゴール前ではもっと身体を張ることを徹底して、もう1回、一からやらないといけない」「セットプレーでチームを楽にできなかったのが特に悔しい。セットプレーひとつにもっと気持ちを込めて、点を決められるようになっていかないといけない」と反省した。
優勝にはあと一歩届かなかったが、それでも私学3強を下してファイナルまで駆け上がったのは大きな財産だ。「チームとしても、自分としても決勝まで来られたのは自信になる。いろいろな相手とやっていろいろな課題も出てきて、予選を通して大きく成長できたと思うので、関東大会でも勝てるように頑張っていきたい」と松本。この経験をバネにさらなる飛躍を狙う。

守備重視をベースに次のステップへ

浦和東高校

結果を重視した関東予選では守りをフォーカスした戦いとなったが、「このままでは最終的に勝てないと思っている。どこかで1回壊して、これをベースにもっといろいろな攻撃をしたり、もっと引き出しを作っていかないと」と指揮官がいうようにここはあくまでもベースであり、スタート地点だ。ここからインターハイを経て、冬の選手権までにどういった広がり方を見せていくか。まずは5年ぶりとなる関東本戦でそのきっかけが見られることを期待したい。

WRITER PROFILE

石黒 登
1986年、埼玉県生まれ。スポーツ編集部勤務ののち、2016年より独立。現在も在住する埼玉県を中心に1種から4種、女子、支部予選から全国大会まで幅広く取材している。埼玉サッカー通信、SAITAMA SOCCER MAGAZINEほか、サッカーダイジェスト、新聞等にも寄稿。編集部時代にはウインタースポーツ、ゴルフ、バレーボールなども担当。