【全国注目校FILE】芦屋学園高校(兵庫)本格強化から6年目の新興チーム。新人戦優勝から県内4冠に挑む!
[分類]私立
[所在地]兵庫県芦屋市
[創部]1980年代(強化開始は6年前から)
[部員]120人(新1年未確定含む)
[2019年所属リーグ]
Aチーム/県リーグ1部、Bチーム/阪神地区リーグ3部、Cチーム/阪神地区リーグ4部
[選手権最高成績]県大会準優勝(2015年度)
許 泰萬(ホ・テマン)監督
芦屋大学が金相煥(キム・サンファン)監督を迎えサッカー部強化に乗り出したことに伴い、付属校である芦屋学園高で一貫指導が始まった。6年前、許泰萬監督が就任した同時期に高校にアスリートコースができると、サッカー部も急速に力をつけて、本格的な強化に繋がっていった。許監督自身は南米ウルグアイでのプレーを目指すが叶わず、帰国後母校・神戸朝鮮高級学校の先輩、金監督と知り合い指導を手伝ううちに選手育成の魅力に引き込まれ今に至るという。
「サンファン・メソッド」で県内“4冠”を目指す
この冬、初タイトルとなった新人戦優勝は「堅守速攻」が結実したものだが、これはあくまでも勝利のために採った手段だった。より広い視野でサッカーを理解して、教え込んでいきたいという考えを持つ許監督の指導のベースにあるのは、攻撃的スタイルを志向する芦屋大学・金相煥監督(JFA・S級ライセンス保持者)の指導理論だ。そして現在、その理論の体系化が進められている。名付けて「サンファン・メソッド」、キーワードは「センスの育成」だ。許監督らが(株)スウィンビーと提携し、金監督のサッカースタイル、メソッド等を分析した上、明文化し、映像にも落とし込むものである。このメソッドで「育成と結果」の両方を求めている。
芦屋大学グループには幼稚園から大学まで全カテゴリーが揃うが、中学から上がってくる選手は各学年の3分の1程度。許監督は「オープンマインドで、『サンファン・メソッド』に柔軟に対応できる子に芦屋学園を選んでほしい」と話す。
守備の要はGK水田主将、攻撃の柱はスピードスター前川
2人に共通するのは、自分たちで強くして歴史を作りたいという思いで強豪校ではなく、新興の芦屋学園を選んだことだ。
GK 水田翔也(3年)
許監督が、「ハイボールの広い守備範囲、DFライン裏のケアも武器で、シュートストップに一瞬爆発的な動きが出せる。彼が抜けると一番痛い」と評し、エース前川も「出るべきところも出てくれるし、セービングもいい」と信頼は厚い。テア・シュテーゲン(バルセロナ)に憧れる水田は、小3からGK一筋で来たが、まだ全国大会経験がなく、「全国の舞台で歴史に名を遺すキャプテンでありたい」と力強く意欲を語った。
FW 前川京佑(3年)
許監督は、「去年まではケガや、コンディション不良が多かったが、今年ブレイクした」とようやくの本領発揮ぶりを喜び、「中学まではポストプレーヤー的だったが、高校でスピードがついてオールラウンダーになった。守備能力も高い」と高評価。水田主将も「チームが苦しい時に点を獲ってくれる攻撃の軸」と頼る。前川自身はルイス・スアレス(バルセロナ)やレバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)を参考にしていると言い、「選手権、インターハイで絶対全国に出たい。タイプは違うが関学のFWより点を獲りたい」と負けん気の強さも見せた。
群雄割拠の兵庫県
許監督は、「僕らが新人戦で優勝したことや、決勝が僕らと神戸星城になったことが今の兵庫県です。選手のレベルは神戸弘陵が一つ高いと思いますが、以前ほど結果が出せず青森山田、東福岡のように盤石ではない。滝川二も以前ほど元気がない。逆に、僕らみたいに新興勢力が現れてきて群雄割拠です。県トータルのレベルはたぶん上がっていますが、どこが全国へ行ってもおかしくないし、どこかが兵庫県を引っ張っていく存在になってもおかしくない。それが僕らだけでなく、他の第2、第3勢力にも十分可能性がある」と現状を語るが、逆にそういう状態だけに、チャンスの年だと言えそうだ。さすがに4冠は難事業だが、メソッドの完成とともに楽しみにしたい。