【全国注目校FILE】明桜高校(秋田)かつての古豪が現監督の就任を機に躍進
[分類]私立
[所在地]秋田県秋田市
[設立]1966年
[部員]64人
[2019年所属リーグ]Aチーム/県リーグ1部 Bチーム/県リーグ2部
[選手権最高成績]2回戦(1984年度、1997年度)
原 美彦監督
「入部に必要な条件はありません」と原監督。求める選手像は「サッカーのスキルよりも、日常生活において、何がいいのか悪いのか、自分自身で判断し分別できる人」。これは日々の指導にも結びつく。
指導におけるポイントは「感知する力」を伸ばすこと。原監督は選手たちに向けて、いまどんな状況が起きているのかを目で見て、耳を傾けて感知するように働きかけている。「選手たちは何かあったら聞けばいいし、僕は何かを感じたら言わないといけない。そして言われたことを理解して行動する。これはフットボーラーとしてだけでなく、社会に出る上でも最低限必要なことだと思います」と話す。
着実にレベルアップを遂げる古豪
前校名の時代に全国高等学校サッカー選手権大会出場3回(1984年、1987年、1993年)、インターハイ出場4回(1984年、1985年、1987年、1989年)の実績を挙げている明桜高校。近年はなかなか結果を出せずにいたが、2018年、19年ぶりに選手権大会の秋田県決勝戦に進出したことで話題を集めた。
豊富な指導経験をもつ原監督の就任が転機に
同部における転機のひとつとして、原 美彦監督の就任が挙げられる。原監督はガンバ大阪ジュニアユースや国見高校、ヴィッセル神戸U-18、名古屋グランパスU-15などで豊富な指導経験を持ち、2018年4月に明桜高校男子サッカー部の監督に就任した。原監督は「全員攻撃・全員守備のサッカー」を掲げて指導に着手。粘り強い守備をベースとし、後方から前線に選手が飛び出す躍動感のあるサッカーを展開する。
運動量と気持ちの強さで勝負する中盤の要
MF 内藤蒼空(ないとう あおい)(1年)
ヴィッセル神戸U-15出身。ヴィッセルのスクール時代に原監督の指導を受けており、その縁があって明桜高校に進学した。現在は初めて親元を離れて寮生活を送るが、「そのほうが自主性が鍛えられて、人間的に成長できると思ったので」と話す。
主なポジションはボランチ。入学してすぐにAチームのメンバーに加わり、原監督のサッカーを中盤で支えている。豊富な運動量でピッチを広くカバーしてボールを奪い、チャンスと見るや前線に向かう推進力もある。自身の課題としてフィジカル強化に重点を置き、左足でのパスやシュート精度の向上にも取り組んでいる。
プレー面に加えて目を引くのが彼の「明るさ」。内藤は練習でも試合でも手を叩いて周囲を鼓舞し、笑顔を見せて積極的に声を出す。その様子からは、リーダーシップを持ち合わせていることがうがかえる。「自分がそういうキャラだし、その方が練習も盛り上がって楽しくできるので。みんなも楽しいなかで上手くなっていったほうが絶対いいと思います」と内藤。今後は「全国大会に出て、明桜旋風を巻き起こしたい」と力を込める。
秋田のサッカーの底上げを図る
2019年はインターハイ県予選でベスト4。秋田県リーグ1部で創部初となる3位の成績を残し、プリンスリーグ東北参入戦への権利を獲得した。同2部所属のBチームは2位。原監督はチームごとに練習を区別せず共通したメニューを行い、全体の底上げを図っている。
選手権予選を勝ち抜いて全国の舞台も狙う。その一方で、原監督はより大局的な視点も合わせ持つ。「自分たちがやってきたものをどれだけ信じてできるか。明桜のスタイルを打ち出して、それを出し切ることができれば、いい成果を生み出せると思います」と原監督。「いい成果」とは明桜高校男子サッカー部の強化であり、それが秋田県の高校サッカーの将来的な向上に結びつく。そしてその先の成果として、世界で戦うフットボーラーを秋田から輩出しようとしている。