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ハレの日に、勝負メシに食べたいジュニアアスリートにとってのスーパーフード「奇跡のラザーニャ」

ハレの日に、勝負メシに食べたいジュニアアスリートにとってのスーパーフード「奇跡のラザーニャ」

小さなイタリア料理店を東京・渋谷にて営むサカママとして、「食トレ×イタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信していきます。

雨が降る度に肌寒くなり、日に日に冬が近づいていることを感じさせる11月。小6長男のジュニアサッカーも12月でシーズンが一段落してしまうと思うと、寂しさもこみ上げてくるそんな季節です。あと2カ月で今年も終わり。後悔のない一年にしたいと親子で噛み締めます。

肉とチーズと主食を一挙に取り込める最強パワーフード

ジュニアアスリートにとって、良質なタンパク質とエネルギー源となる主食をバランス良く、効率良く、美味しく取り込めることほど嬉しいことはありませんが、そんな食事とはなんだろうと考えたとき、最適解は「ラザニア」だと気が付きました。

我が家にとって「ラザニア」には、子どもたちが小さな頃から何度となく助けられてきた救世主料理。冷蔵庫で1週間程度日持ちするのもありがたく、いざというときにオーブンで温めたらすぐにご馳走となる、スーパーマンのような存在です。

うちのシェフであるパパが作るカーサベッラのラザニアの工程は、前日に手打ちパスタを仕込んで寝かせることから始まります。生地は小麦粉とセモリナ粉を同量で作ります。

ポイントとなるボロネーゼソースはプロとしてのこだわりが随所に光り、使うトマトソースは甘すぎないよう、濃すぎないよう状態を見て細心の注意を払います。肉とトマトソースだけでは旨味が入りきらないので、玉ネギ、ニンジン、セロリをみじん切りにして、炒めて「ソフリット」にしてから煮込みます。じっくり旨味を逃さないようにオリーブオイルと塩、火の加減にプロの目利きと経験が必要になる「ソフリット」。

そこに合挽肉(鶏、豚、牛、馬を絶妙に配合)を加え、赤ワインとトマトソースを加えて煮込めばボロネーゼソースが出来上がります。

自家製のベシャメルソースとモッツァレラチーズを惜しみなく丁寧に、ボロネーゼソースとベシャメルソースとパスタを交互に重ねて焼き上げていきます。

少し工程を垣間見ただけでも、あらゆる種類の野菜と肉、チーズが凝縮された「ラザニア」が、アスリートにとっていかにスーパーフードであるかが分かります

「ラザニア」がもたらした奇跡に食の大切さを思い知る

我が家には電子レンジがありません。何かを温め直すとしたらオーブンかガスコンロで対応するのですが、私が不在時に、長男が手軽に安全に温めて美味しく食べられるものという意味でもラザニアが万能です。試合前に食べることも多いラザニアは、子どもたちのお気に入りでもあり、「心が温まり、ふっくらして頑張ろうという気持ちになる」と長男は表現していて、子どもたちの勝負メシにもなりつつあります。

そんなカーサベッラのラザニアを私たちのレストランでは「奇跡のラザーニャ」と呼んでいます。その名の理由は、2019年の暮れ、私の亡き父が危篤の際に、元気な頃に好きだったラザニアで、少しでも元気になってほしいという思いから口元に「ラザニア」を近づけたところ、その香りに刺激されてか、ほんの1口だけ口にしたのです。

すると嘘みたいな話ですが、今にも息を引き取りそうだった危篤の父が、そのラザニアの一口をきっかけに、その後1カ月、少し元気を取り戻すという奇跡が起きたのです。この時、体中の細胞がもっと生きたい、頑張って元気になりたいと息を吹き返したのだと、奇跡を目の当たりにしました。

この体験は、「食事」というものが人が生きるうえでいかに大切で重要なものか、味覚がもたらす記憶や思い出がどれほど尊いものかを私に強烈に思い知らされました。

私たちのレストランにて「奇跡のラザーニャ」、ぜひご賞味くださいね。唯一、テイクアウト可能なパスタでもあるので、ご自宅で温めてお召し上がりいただけます。

意識しておきたい「食べる順番」

このコラムでも何度となく紹介している長友佑都選手の著書『長友佑都の食事革命』に、興味深い「食べる順番」についての言及があります。食卓にすべて並べ終えてから「いただきます」と食事を始めるよりも、実は一皿ずつ食べていくことが大切だそうです

短時間の食事では一気に血糖値が跳ね上がり、その後急激に下がるという「グルコーススパイク」が起きやすい状態になるそうです。グルコーススパイクとは食事で血糖値が急激に上がるとインスリンが大量に分泌され、軽度の低血糖状態になり、空腹感や眠気が生じます。これを繰り返すうちにスタミナ切れを起こしやすい体質になってしまうそうなので、軽視することはできません。

血糖値の安定化を図るために、スープを飲んだら次はサラダ、サラダを食べ終わったら次は肉、とフルコースのように一皿ずつゆっくり時間をかけて最低でも20分かけながら食べることが有効だそうです

これまでご紹介した料理であれば、最初に「カボチャのスープ」で胃腸を優しく刺激し、その後「ニンジンサラダ」を食べ、その後に鶏の串焼き「スピエディーノ」、「ラザニア」やパスタを食べていくことが望ましいです。

また、寝る前1時間以内は食事もスープだけに留めることが推奨されています。具沢山のスープなどのみにして、体に負担をかけない状態で就寝しないと、寝ている間にしか分泌されない成長ホルモンが分泌されず、消化に体全体の機能が集中してしまい、寝ている間に血糖値が急降下を繰り返し、低血糖を引き起こしてしまうそうです

その結果、睡眠が十分にとれず疲れが取れなかったり、身長が伸びなくなったりという負のサイクルを招いてしまうことになるので、注意が必要です。

最後の1カ月、子どもにどこまで寄り添えるか

小6長男にとって小学生最後のシーズンもあと少しで終わりです。この1年は、正直彼にとってかなり精神的に厳しい日々だったと間近で見ていて辛いものがありました。

高学年にもなると、親に自分の心のうちをすべては明かしてくれません。その表情や態度から本人が何を抱え、何に悩んでいるのか想像し、質問攻めにせず、寄り添うことが求められるように思います。そしてそんな長男の表情や言動、親子の会話を見聞きしている次男は、次男なりに自分のサッカーをあらためて考える機会となるわけです。

二人の子どもたちにとって、何がこの先の長い人生においてベストな選択かは正直分かりません。平坦な道よりも挑みがいのある険しい道のほうが学びが大きいことを知りながらも、親だからいろいろと予測して心配して、安全なレールを敷いてあげたくなります。でも今この時期に一緒に失敗して泣いたり、自分の決断に後悔したりすることは、実は本人の貴重な経験値になるのではとも思います。

私たち親には、彼らの選択や決断に寄り添い、一緒に伴走することしかできません。でも一度決めたなら一緒に頑張り、全力で応援し、環境を変える必要に迫られたなら潔く舵を取り直し、また前を向いて笑顔で毎日が送れるようにサポートしていくことが家族のあるべき姿なのかもしれない、と思う今日この頃です。

実は、隣で寄り添って悩んであげられる時間も、もうそんなに長くないのかもしれない、とふと思います。彼らのSOSにすぐに気がついてあげられるよう、日々の表情を見逃さないようにしていきたいです。

WRITER PROFILE

Doppietta

東京・渋谷にて小さなイタリア料理店【カーサベッラ】を営むサカママとして「食トレイタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信します。

サッカー兄弟(4月より小6&小1)、夫(オーナーシェフ・地元チームのコーチ・現役フルサッカー選手)、サカママ歴8年目で野菜ソムリエ食育フードジャーナリストな私の4人家族。

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