ジュニアアスリートの心強い味方「ニンジンのサラダ」
小さなイタリア料理店を東京・渋谷にて営むサカママとして、「食トレ×イタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信していきます。
スポーツする体の調整役「ビタミン」と「ミネラル」
チームの卒団式や学校行事で、あっという間に月日の過ぎ去る目まぐるしい3月。出会いと別れがまた親子をより大きな成長に導いてくれる貴重な節目のシーズン到来ですね。我が家でも長男はサッカー合宿があったり、卒団する6年生と共に戦う最後の大会があったりとイベントが満載です。家での食事以外も自ずと増えるこの時期、ジュニアアスリートの親としてより意識したいのがビタミンとミネラルです。
「アスリートのための食トレ」の著者:海老久美子さんは、ビタミンとミネラルは三大栄養素のように体の材料やエネルギーになることはありませんが、他の栄養素の利用効率をアップしたり、身体の機能を正常に保ったりするはたらきがあり、ビタミンもミネラルも人間は体内で作り出せないので、食べ物から摂る必要があると記しています。
一般の人に比べてアスリートは酸素を多く取り込む必要があり、屋外競技であるサッカーは強い紫外線にもさらされます。この状況は体内に活性酸素という毒性のある酸素を発生させてしまい、体を錆びつかせる原因にも。だからこそジュニアアスリートはビタミンA、E、Cを意識的に摂って活性酸素の害から身を守る必要があります。
また糖質をうまくエネルギーに変換するためには、ビタミンB1が必須。脂質をエネルギー源として使うためにはビタミンB2のはたらきが不可欠です。糖質を摂るためにご飯をたくさん食べても、タンパク質の補給のために肉をいっぱい食べても、それだけではダメなんです。
ご飯をたくさん食べたらビタミンB1の多いものを、肉をいっぱい食べたらビタミンB2の豊富なものを食べる。そうすることで初めて、食べたものが身体の中でうまく活用できるようになるそう。だから小さい頃から「バランス良く食べなさい」と言われるわけですね。
そんなジュニアアスリートにピッタリなビタミン&ミネラル源は何だろうと考えた末に、野菜好きの我が家の食卓によく登場するメニューが「ニンジンのサラダ」。前回ご紹介した「かぼちゃのスープ」も冷たくても温かくても美味しい最強の補食であることは間違いないですが、この「ニンジンのサラダ」は季節を問わず、朝昼夜のどのシーンでも活用できるお助け料理です。今回は「ニンジン」にスポットを当てていきます。
βカロチンの王者「ニンジン」で即効リカバリを
イタリアでサラダや郷土料理を頼むと、脇役的な存在として添えられていることが多い「ニンジンのサラダ」。彩りとしても欠かせません。
「ニンジン」のオレンジ色は見た目にも鮮やかで食欲をそそるのはもちろん、βカロチンが特に豊富で、1/2個で1日の推奨量を満たしてしまうほど。ビタミンB群、C、ミネラル類、食物繊維も満遍なく含むので一般的な野菜として非常に優秀で、常備して積極的に日々の食卓に活用したい野菜です。
βカロチンは皮の周りに多いので、皮を剥くときは薄めにするのがポイントです。無農薬のニンジンが手に入ったら皮ごと楽しみたいところです。
ジュニアアスリートの心強い味方ともいえる「ニンジン」を上手に使って、常備菜として、お弁当の副菜として、美味しく子どもたちに食べてもらい、疲れた身体をリカバリしていきましょう。
毎日でも作りたい「ニンジンのサラダ」
今回は自宅でも簡単にできる美味しい「ニンジンのサラダ」の作り方をシェフ監修レシピとしてご紹介しますね。
油と調理することでβカロチンの吸収が高まるのもサラダとしてぴったりな理由です。生だとビタミンCを酸化させる酵素を含むため、サラダで食べる際は酢やレモン汁で酵素の働きを止めるのがポイントです。
家庭の常備野菜として身近なニンジンを冷蔵庫で見つけたときは、ぜひ気軽に作っていただきたいサラダです。練習や試合後の食事にも抜群の1品です。
ニンジンサラダの作り方
監修:カーサベッラ オーナーシェフ 越川徹也
材料
・ニンジン 2本
・塩 5g
・ワインビネガー 20cc
・エキストラバージンオリーブオイル 30cc
・レモン(あれば) 1/8個
作り方
- 皮は薄くピーラーで剥き、細めにピーラーで先端のほうから剥く。ピーラーができなくなったら包丁で千切りにする。
- ボウルにニンジンを入れたら、塩を入れ、全体がしんなりするまでよく混ぜる。
- レモンとワインビネガーを入れて、全体をよくなじませる。
- 最後に、エキストラバージンオリーブオイルを入れてツヤが出るまで乳化させ、全体をなじませたら出来上がり。
「ニンジンのサラダ」の良いところは、作りたてだとシャキシャキのニンジンの鮮度と食感が楽しめて、時間が経ってからは味が全体になじみマリネされ一体感が出て食感が変わるところです。どちらも魅力的なので、たくさん作って好きな食感や味わいを楽しんでいただきたいです。
なるべく質の良く鮮度の高いエキストラバージンオリーブオイルを選んでいただき、酢ではなく白ワインビネガーを使っていただけるとより美味しく仕上がります。本物の「ニンジンのサラダ」を召し上がりたい方は、ぜひ私たちのレストランにいらしてみてくださいね。
ミネラル類は、偏った食事をしないことで上手に摂取
摂りすぎたら効果が発揮できなかったり、2つ以上のミネラルが組み合わされ相乗効果を発揮したりと、バランスを摂るのが難しいのがミネラルです。
ミネラルをうまく子どもに摂ってもらいたいなら、いろいろな食べ物をバランス良く食べること。当たり前のようですが、子どもは好きなものばかり食べてしまいがちなので、意外に実践するのが大変です。
ついつい子どもが喜ぶものや好きなものを作って食卓に並べたくなっていた私ですが、遅く練習から帰ってきたときに油っぽい肉メインの食事ではいけないこと、野菜も遅い時間は生よりも蒸したり茹でたりしたもののほうが良いこと、そんなことも学ばせてもらっています。
成長期を含むジュニアアスリートの食事は、1食1食を普通の家庭以上によく考えて準備することが大切であると気がつかされます。長男も4月から6年生。ジュニアアスリートの親として関われる今という時期を大切に、毎日そして毎食を自分自身も噛み締めて大切にしていきたいものです。