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アメリカのジュニアサッカーは「秋」に始まる? 一年間の流れと親の役割を徹底解説

アメリカのジュニアサッカーは「秋」に始まる? 一年間の流れと親の役割を徹底解説

こんにちは、テキサスのサカパパ Japa-ricanです!
我が家のアメリカンキッズたちは2カ月以上に及ぶ夏休みも終わり、8月早々に新学年がスタート。新4年生となった息子はアメリカジュニアサッカー6年目、U10のシーズンに突入です。

今回はアメリカのジュニアサッカーの年間スケジュールについて、私たち家族が住むテキサス州でのリアルな流れをご紹介したいと思います。
私自身、息子がアメリカでサッカーを始めた当初は、一年間のスケジュール感がまったくつかめず、親としての準備や心構えもバタバタしていました。日本のサッカーとはこんなに違うのか、と驚く方も多いかもしれません。

8月:新シーズン開幕と新チーム結成の月

まず、日本と大きく違うのが、シーズンが「秋」に始まるという点です。アメリカの学校は8月に新学年がスタートするため、サッカーシーズンもそれに合わせて8月から翌年の6月頃までが一年間のサイクルとなります。

本格的な新シーズンの始まりは8月。6〜7月に開催される「トライアウト(選考会)」で選ばれた選手たちがチームに登録され、練習がスタートします。

日本ではチームを移籍することに抵抗があるかもしれませんが、アメリカでは自分に合う環境を求めてチームを移籍するのは当然のこと。感覚的に毎年チームの3分の1近くが入れ替わっている気がします。また、U5-7は4人制、U8-9は7人制、U10-12は9人制、そしてU13から11人制へと移行するなど、年齢が上がるにつれて登録人数も増えていくため、各チームが積極的に選手を確保し続けなくてはいけないのも、活発な移籍の一因かもしれません。

8月は新チームとして、戦い方やチームメートを知り合う大切な時期です。保護者にとっても、ユニフォームやチーム用品の購入(我が家も一気に600ドル、日本円で約9万円の出費がありました!)、チーム方針の説明会など、準備に追われる慌ただしい月です。

9月〜11月:秋季リーグ本格化(Fall Season)

アメリカのジュニアサッカーは、リーグ戦とカップ戦に参加しながら試合経験を積んでいきます。秋季リーグは9月から11月下旬まで毎週のように試合があり、選手たちは実戦を通じて練習の成果を試していきます。

また、祝日には大小さまざまなカップ戦が開催されます。優勝トロフィーやメダルがかかったこのような大会は、選手のプレー強度だけでなく、親の応援にも一段と熱が入ります。

この時期は保護者もフル稼働。新しく知り合った親御さんたちと関係を築き、コーチの方針やチーム事情を理解し、練習や試合の送迎、応援、そして心身共に子どものケアまで、やることが山積みです。アメリカでは子どもだけで練習や試合に行くことはできないため、毎週すべての送り迎えと付き添いが必須です。わが家は片道40~50分の練習場所に週2回、そして片道1時間以上かけて週末の試合会場に送迎するのがルーティンとなっており、親のサポートなくしては成り立ちません。

12月〜1月:冬のオフ? それともインドア?

秋季リーグが11月下旬に終わると、翌年の2月に始まる春季リーグまで2カ月ほどの時間が空きます。この期間の過ごし方は、チームやコーチの方針によってさまざまです。

オフシーズン型: 数週間完全オフ(ただしクリスマス前後はどのチームも休みとなり、家族と過ごしたり自主練習に充てます)

カップ戦メイン型: リーグ戦の間に開催されるカップ戦に参加し、州外へ遠征することも。この方針のチームはトレーニングも継続し、冬のキャンプを行う場合が多いです。

インドアシーズン型: フットサルや3v3など、狭いスペースでのプレーに特化したインドアリーグに参加し、技術強化や判断スピードを磨きます。

息子が所属するチームは、この時期も毎週末のようにカップ戦を戦い、さらにフットサルリーグにも参戦するので、「カップ戦メイン」と「インドア」の混合型といえるでしょう。

2月〜4月:春季リーグ(Spring Season)

春もまたトレーニングと試合が活発になるシーズンです。テキサスでは厳しい暑さが10月頃まで続くため、気温が下がる春のほうが子どもたちの運動量が上がり、この頃になるとチームとしての成熟度も増してくるので試合強度がぐっと高くなります。

秋シーズンは最下位争いをしていたチームが、春季リーグでは見違えるように勝ち星を重ねることも珍しくありません(息子チームがまさにそうでした!)。このように年間を通しての流れを理解できるようになると、親としても秋季にチームがなかなか勝てなかったり、我が子の著しい成長が見られなくても、焦らずに長い目で見守れるようになります。

また春は学年末に向けて学校行事や全国統一学力テストなども入ってくるため、学校生活の慌ただしさとサッカーとのバランスを取るのが大変な時期でもあります。息子を見ていてもこの時期が一年でもっとも疲れがたまりやすい時期といえるかもしれません。

5月〜6月:集大成のカップ戦とトライアウト

リーグ戦が終了し、学校も夏休みに突入すると、年間集大成となる大規模なカップ戦シーズンが到来します。私たちが住む地元ダラスでは、北米最大級の国際大会「ダラスカップ」や、テキサス州内の強豪チームが集う「ネクストジェネレーションカップ」が開催されます。短期決戦で負けたら終わりのカップ戦は、長期リーグ戦とは違った成長のきっかけを子どもたちに与えてくれます。

また、この時期は来シーズンに向けた新チーム選びが活発になります。強豪チームではトライアウト(選考会)が開催され、試合形式やスキルチェックを通じて選手の適性が評価されます。このトライアウトは、選手にとってもチームやコーチが自分に合うかを確認する大切なチャンスです。クラブによっては所属選手に対しても毎年行われ、トライアウトの結果次第で来シーズンもチームに残れるかどうか決まることもあるようです。

6月末〜7月:サマーキャンプやトレーニング

6月末から7月は夏休み真っただ中のシーズンオフですが、「夏こそ差がつく!」とばかりに、クラブ主催のサマーキャンプやプライベートレッスンが盛んになります。

しかし、私個人の方針としてこの時期はしっかり休ませることを大切にしています。一年中サッカー漬け、朝5時に起床して自主練、連日40度近くになる炎天下で無理に練習するよりも、食べて、休んで、夏休みらしく思いっきり遊んで好きなだけ寝て、気持ちをリセットして身体を大きくすることを選びます。その甲斐あってか、息子は今年の夏休み中の2カ月で3cmも身長が伸びました。成長し続けるために休むことも大切だと私は信じています。

親も一緒に走るアメリカのサッカー人生

アメリカのジュニアサッカーの流れをご紹介しましたが、息子と一緒にこの6年間を繰り返して感じるのは、主役は子どもですが、それを支える親の役割が非常に大きいということです。送迎、スケジュール調整、遠征準備、身体のケア、メンタルケア…。カテゴリーが上がれば上がるほど、もっと忙しくなるでしょう。

でもその分、子どもと一緒にサッカー人生を歩んでいるような充実感がありますし、私にとっては最高に楽しく、やりがいのある「趣味」です。この成長期に息子と親父が大好きなサッカーを通してこんなにも時間を過ごせることに感謝しています。

世界中どこにいても、私たち親のサポートなくしては、子どもたちは夢を見続けることも、追いかけ続けることもできませんよね。我が子のサッカー人生を間近で応援できる喜びをかみしめながら、何よりも息子の「サッカー楽しい!」という気持ちを一番大切にしながら、今シーズンも元気に駆け抜けたいと思います!

WRITER PROFILE

japa-rican
japa-rican

アメリカ テキサス州ダラス郊外在住。3人の小学生の父親。
日本で生まれ育ち、プロサッカー選手を目指して高校時代に2度全国大会に出場するも、膝の大怪我で夢は叶わずその後渡米。アメリカ生まれの長男は3歳でサッカーを始めて現在U-9クラブチームに在籍。ジャパニーズ アメリカンである息子を見守りながら、驚きや発見の連続であるアメリカ ジュニアサッカーについてブログで発信中
⚽日本人親子のアメリカ サッカー記⚽

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