ダラス開催の国際ユースサッカー大会に参加!
こんにちは、テキサスのサカパパ Japa-ricanです!
近年、日本のジュニア年代で春休みや夏休みを利用して国際サッカー大会に参戦したり、個人で短期サッカー留学するプレイヤーが増えているように感じます。若い頃に異文化に触れ、さまざまな人種の選手たちとプレイする経験を積むことは、サッカー面においてだけではなく、人間形成の面においても大きな意味を持つはずです。
読者の皆さんの中には、ご自身のお子様がそのような経験をした、あるいはチームメイトや知り合いのお子さんが海外大会に参加した話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
私たちの住むテキサス州ダラスでは、毎年3月の終わりから4月のはじめ頃にダラスカップという国際大会が開催されます。昨年この大会の存在を知り、今年は下準備やリサーチをしたうえでこの国際大会を満喫することができましたので、今回はこのダラスカップについてレポートしたいと思います!
世界最大級の国際ユースサッカー大会
1980年に始まったこの大会は北米で最も権威のある国際ユースサッカー大会として認知されています。U-10からU-19までの少年少女カテゴリーで構成され、今年開催された大会では男女合わせて450チームが参加し、選手、コーチ、関係者、そして観客を合わせ10万人以上を動員したそうです。ダラスカップは世界的に知名度のあるクラブチームが参加することでその価値と認知度を上げてきました。
今年の招待チームでは、スペインのレアル・マドリード、イングランドのニューカッスル・ユナイテッドFCやドイツのアイントラハト・フランクフルト、メキシコのUANLティグレス、ブラジルのサンパウロFCやCRヴァスコ・ダ・ガマなど世界20ヵ国からの参加がありました。
後々世界的に有名になった選手や、ワールドカップへ出場する選手が若かりし頃に出場した大会、という位置づけにあり、過去のダラスカップに参加した選手をここで少しだけ挙げますが、なかなかの豪華メンバーです。
•スペイン代表とレアル・マドリードの象徴となったラウル・ゴンザレス
•イタリア代表となったアンドレア・ピルロ
•イングランド代表となったデイビッド・ベッカムやウェイン・ルーニー
•現イングランド代表で、アーセナルFCで活躍するブカヨ・サカ
•現カナダ代表で、FCバイエルン・ミュンヘンで活躍中のアルフォンソ・デイビス
•メキシコ代表となったチチャリート
•そして、アメリカ代表ではランドン・ドノバンやクリント・デンプシー
日本からも過去数年、前橋FCのU-15の選手たちが招待されています。前橋FCは過去の大会で優勝した経験もあり、昨年の全国高校サッカー選手権大会で優勝した前橋育英高校のメンバーの中には、このダラスカップでプレイした選手もいたようです。
ボールボーイ、開会式、そして日本チームの応援
息子所属のチームはU-9のカテゴリーなので、今年はまだプレイヤーとしての参加はできませんでしたが、違った形で大会を堪能することができました。まずは最年長カテゴリーにあたるU-19男子のオープニングマッチへボールボーイとして参加する機会をいただきました。
対戦カードは去年の優勝チーム、ブラジルのサンパウロFC対イングランドのニューカッスル・ユナイテッドFC。初めてのボールボーイで数週間前からかなり興奮気味。会場は1994年アメリカW杯でも使用されたコットン・ボウルスタジアムで、今まで足を踏み入れたどのピッチよりも素晴らしい芝。
当日割りあてられた位置はニューカッスル・ユナイテッドのベンチの真横。選手入場時のアツいハイタッチはもちろん、試合中にもコーチや控え選手が気さくに話しかけてくれたそうで、それはそれは嬉しそうでした。こうやってサッカー少年たちは自分もいつかこのピッチに立てるようになりたいと夢見ていくのでしょうね。
付き添いの親は本来観覧席に戻らされるところ、なぜか私はボールボーイ君たちのお世話係を頼まれピッチ上に残ってよいとのこと! 9歳のボールボーイたちに交じって一人だけ日本代表のユニフォームを着たおじさんがいたのはかなり浮いていたかもしれませんが、間近で近い将来、ブラジル代表やイングランド代表になるかもしれない選手たちの試合を観戦することができ、私としては最高に楽しい経験でした。
この開幕戦の後は、出場チームが参加する開会式。この開会式はオリンピックのそれのようで、各国の選手たちが国旗を掲げて順にピッチに入場してきます。私と息子は観覧席へ移動してピッチの上からこの様子を楽しみました。「JAPAN」と書かれたプラカードをもった前橋FCの選手たちが登場すると、私たち親子はそろって大声でニッポンコール(笑)。前橋FCの選手たちはこんなところに日本人!? と驚きの表情でしたが、みんな元気に挨拶してくれました。
日本を代表して参戦した前橋FCは、U-15と飛び級でU-16にもエントリーしていましたが、両チームとも予選リーグを1位通過し決勝トーナメントへ勝ち上がりました。幸運にも仕事の都合がつき、U-16チームの準々決勝には息子を連れて応援に駆け付けることができました。
相手はハワイのチームで、ボールを扱う技術もしっかりしていてフィジカル面でも有利に見えました。ハワイでサッカーアカデミーを運営されている方から話は聞いていましたが、離島のハワイでもサッカーレベルはかなり高いことがわかりました。
試合の行方は、試合終了間際に前橋FCが渾身の同点ゴールを決めたと思ったものの、その直前のプレイがオフサイド判定。これには前橋FCのコーチや選手たち、そして私と息子も納得いかずに猛抗議でしたが、もちろん判定は覆ることなく試合終了。前橋FCの2チームはどちらも決勝トーナメント一回戦で惜しくも敗退となってしまいました。この結果に息子は涙(笑)。根っからの負けず嫌いなんでしょう。
試合後には栄養補給のジュースとお菓子の差し入れを持っていき、コーチや選手たちから今回のダラスカップ参戦で得た貴重な体験についてお話を伺うことができました。
アメリカサッカーの印象は? と聞くと、多くの選手が「フィジカルが強い」「勝負に対する気持ちが強い」「思った以上に技術があった」と教えてくれました。
また、ほとんどの選手が初めてのアメリカ訪問だったようで、現地の選手たちとの触れ合いを通して英語をもっと頑張りたい、サッカーを通してならすぐ友達ができることがわかった、といった嬉しい感想も聞くことができました。
逆に辛かった、面食らった経験としては、食事に白米がなくて力がわかず空腹感が続く、湯船で入浴ができないことで疲れが取れない、審判の質が低い、といった意見を聞くことができました。
ダラスカップの取り組みでひとつ興味深いのが、海外からのチームはコストを抑えるために現地ファミリーのお宅にホームステイをする選択肢があること。前橋FCの選手たちは半分ほどがホームステイを選択し、現地の家族を通してアメリカのごく普通の生活をより間近に体験することができたようです。
もちろん試合に全力を尽くすことが大会参加の一番の目的ですが、短い大会期間中にサッカー選手としても人間としても成長することを考えたとき、このホームステイプログラムは非常に意味のある取り組みだと私は思います。日本人選手たちを受け入れたアメリカンファミリーとお話をする機会がありましたが、彼らもまた日本からやって来た子どもたちから学ぶことが多かったらしく大変満足されていました。ぜひ来年は我が家も受け入れ先として参加できたらと思います(ジャパニーズファミリーでは意味ないでしょうか?(笑))
中学3年生という非常に多感で伸び盛りの時期に海外で遠征試合をすることは、日本ではなかなか対峙する機会のない体格やフィジカル、雰囲気の全く違う選手と真剣勝負が挑める、自分の実力を国際基準で試せる、日本の素晴らしい環境や文化にあらためて気づかされる、いかに親御さんから毎日手厚いサポートを受けてサッカーができているかを実感する、異文化体験ができる、など得られるものは計り知れないと思います。今回のアメリカ遠征の経験が、今後の彼らのサッカー人生にプラスの影響を与えるものであってほしい、と心から願います。
今回、プレイする機会はなかったものの初めての大規模な国際大会を体験できた息子。次回大会は息子たちのカテゴリーでの参戦も可能ですから、来シーズンの結果次第では招待される可能性もゼロではありません。私も今回の参加を通して、ダラスカップに参加する日本チームがもっと増えてほしい、そしてそのお手伝いがしたいと思うようになりました。アメリカの地で頑張る日本人サッカー選手たちを応援することは、今の私の大きな喜びとなっています。
来年のダラスカップは3月29日から4月5日に開催されることがすでに発表されています。おそらく多くの日本の学校が春休み期間中ではないでしょうか。もしダラスカップ参戦をご検討されるようでしたら、ぜひご連絡ください!