不合格からまさかの合格!合否を変えた、トライアウトで大切なこと
みなさんこんにちは。
前回のコラムでは、アメリカサッカーに挑戦することになった息子が、初トライアウトに臨んだものの不合格になってしまったお話をさせていただきました。今回は、その後所属チームが決まるまで、そしてこの経験を通して得た学びをお話したいと思います。
合否を意識しすぎた結果、いつも通りのプレーができず…
前回の不合格から気持ちを切り替えて臨んだ、もう1チームのトライアウト。しかし…来る日も来る日もなかなか合否を言い渡されず…。なんとチーム始まって以来最長記録のトライアウトになりました。そして、3週間が経過してようやくコーチから「週末に練習試合があるから、そこで最終的に合否を見る」との話が。
そうして迎えた試合当日。いよいよ合否が決まるということもあり、結果を意識しすぎているのか動きが固い息子…。いつもとは違い、チャレンジ精神のない無難なプレーに徹していました。前にスペースが空いていても自分で運ばず、常にパスの出しどころを探すような消極的な動き…。おまけに、緊張による腹痛もあったようです。
当然ですが、結果はまたしても不合格。ただ、コーチからは、「今年度、MLS U16に加入することはできないけど、がっかりすることはないよ。技術があるのは分かったから、一年間NPL(一つ下のリーグ)でプレーして、アメリカのサッカーに慣れて来年上がって来たらいいからね。NPLの練習がない日はこのチームの練習にも来ていいよ」と言っていただきました。
長いトライアウト期間だったため、コーチの温かい人柄や選手への真摯な接し方は親子で感じ取っていましたし、息子は既にチームメイトとも親しくなっていて、このチームがとても気に入っていたので、「MLSには入れなかったけどNLPで一年間努力して、来年度また戻って来られるように頑張ろう」と決意を固めました。
不合格の翌日、練習の様子を見たコーチから思わぬ言葉が!
不合格翌日はNLPのチーム練習がないので、今まで同様MLSのチーム練習に参加です。この日は私も車から椅子を取り出し、グラウンド脇で練習を見学していました。
すると、どうしたことでしょう。息子の様子が昨日とは全く違います。日本のジュニアユースにいた頃のように、肩の力が抜け、楽しそうにプレーをしているではないですか。昨日までとは別人のように動きがよく、守備も攻撃もスイッチが入っている様子。積極的にボールを奪いに行き、対人もガツガツ、攻撃面でもタイミングの良い走り出しでチームメイトにボールを要求しています。
どうやらトライアウト期間中は合否ばかり気にして、本来の「サッカーを楽しむ」ことが出来ていなかったようです。そして、それに輪をかけていた私自身の言動を振り返り、息子に申し訳なかったなと反省…。「遜色なくやれてるし、昨日この動きができていれば…!」と思いながら、試合を眺めていました。
すると、突然コーチが私のところにやってきて「〇〇の今日のプレー見てる?アグレッシブですごくいいよ。昨日までとは全然違う!技術があるのは分かっていたから、あとはこういう気持ちの入ったプレーを待ってたんだよ!昨日、不合格と伝えたけど、取り消して〇〇をチームの一員として迎えたい」と言われたのです。不合格を言われた24時間後、まさかの大逆転合格でした。
合格の要因になったこととは?
練習終了後、息子にも同様の話がありました。英語が分からず、ポカンとしている息子にもう一度説明してもらい、「え?合格?入れんの?え?ガチ?」と、やっと息子の顔に笑顔が広がりました。「このチームには既に大所帯で23人もの選手がいる、だけど公式戦に連れていけるのは毎回18人、試合に出られるメンバーはさらに限られる。もしかすると年間を通して一度も試合に出られないかもしれない。それを了承してもらえるなら加入していいよ」と条件付きでしたが(笑)、息子は一つ返事で「入ります!」と答えました。
ちなみに、このコーチはブラジル人で日本のサッカーのこともよくご存知。「アメリカはフィジカルとスピード頼みのサッカーに傾倒しがちだけど、そこに流されることなく日本で培ったテクニックやスキルを大事にして自分らしくやっていけばいいよ。君には君の良さがあるからそれを大切に、そこに徐々にフィジカルとスピードをつけていけばいい」と言っていただきました。さらに、「本当は既に満員だけど、チームメイトが君のことを気に入っていたのも合否を変える後押しになったんだよ」と嬉しい話も。
また、これは後から分かったことですが、チームの練習場は電車で通いやすい場所にあり、家が同じ方向の選手もいました。さらに同じ高校にチームメイトがいることも判明。強豪チームは不合格でしたが、こういったことも加味して、「結果的にこのチームに決まって良かった!」の一言に尽きました。
サッカー技術だけじゃない!トライアウトで大切なこと
今回の海外トライアウトを通じて、サッカーの上手い下手だけではない大切なことがいくつか見えました。もちろん、圧倒的な能力があればまた別の話ですが、息子の場合下記のお陰でよいご縁を掴めたのかなと感じています。
- 英語が流暢でなくても積極的にチームメイトとコミュニケーションを図る
- トライアウトの立場でも遠慮しない
- レベルだけでなく、雰囲気や相性も大切にチーム選びをする
- そして最後に「笑顔」
国は違いますが、これは日本のセレクションなどにも通じるものがあるのかなと思います。ちなみに、入団当初は後半残り10分だけの選手だった息子ですが、今では毎回スタメンで試合に出れているようです。
最後まで読んで下さりありがとうございました。また来月お会いできるのを楽しみにしております。