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イギリスサッカー便り【冬場のグラウンド事情】

みなさん、イギリスといえば何を思い浮かべますか?

ごはんが美味しくない?笑

色々イメージされることがあると思いますが、私は暗くて雨が多いイメージを持っていました。夏は夜10時ごろまで明るく、青々とした芝生がとても気持ちいいのですが、冬場は昼の3時ごろには日が沈みはじめ、夕方4時ごろには真っ暗です。そして雨も多く、イギリスのいたるところにある芝生も、雨でぬかるみ、歩くだけで泥々・・・なんてことも日常茶飯事。今は長靴が手放せないシーズン真っ最中です。

 

 

少々厄介な冬の天然芝

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イギリスでは、比較的規模の大きなクラブチームや学校の施設として人工芝(Astro)のグラウンドもたくさんありますが、天然芝(Grass)のグラウンドをホームとしているチームも数多くあります。実際、次男の所属するチームは人工芝のホームグラウンドを持っていますが、長男のチームは天然芝グラウンドです。

土のグラウンドで試合や練習することが普通だった日本と比べると、天然芝というととても贅沢に感じられるのですが、サッカーとなるとそうでもないことも多く、特に冬場は雨が多いことでぬかるんでいたり、ボコボコしていたり、粘土みたいに柔らかかったりと、天然芝特有のピッチコンディション問題も出てきます。数日前から雨が降っていたりすると、その日とってもいいお天気であってもグラウンドが使用不可になり、試合がキャンセルされることもしばしば。これは雨とは関係ないですが、場所によってはグラウンドが傾斜しているところもあり、先日あったカップ戦の会場は、前半は上り、後半は下りになっていて、選手たちもとてもやりにくそうでした。

 

 

ソフトグラウンド用スパイクが必需品に

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スパイクも人工芝と天然芝で使い分けが必要になります。

所属チームから、天然芝の試合には、できるだけ取り替え式スパイク(Studs)を持ってくるように言われました。日本では特に小学生年代では、固定式のポイントがついたスパイク(Moulds)が一般的で、息子たちもトレーニングシューズと固定式スパイクしか持っていませんでした。

はじめのうちは、履き慣れたスパイクがいいと言うので固定式スパイクで試合に出ていたのですが、冬場になり芝生がぬかるんでくると、ハードグラウンド用である固定式スパイクではグリップ力が弱く、プレー中に何度も滑ったりして、思うようなプレーができないことが増えてきました。ですので、急遽ソフトグラウンド用の取り替え式スパイクを準備し、試合にのぞんだところ、グリップ力が全然違い、軸足も滑りにくくなりとてもプレーしやすくなった、と息子は言っていました。

ただ、取り替え式スパイクはポイントの数が少ないので足に負担がかかりやすく、足裏が痛いということも。インソールを入れるなどして対応していますが、まだまだ成長期。試合前と試合後のストレッチをいつも以上に入念にしたりするなどして、ケアすることがより大切になってきます。

 

 

よりフィジカルが求められる環境

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天然芝か人工芝か、という違いは、サッカースタイルの違いにも現れます。普段人工芝でやることが多い次男のチームは、基本的にはボールをはやく動かし、後ろからビルドアップして攻撃するというプレースタイルです。しかし、ピッチコンディションの悪いグラウンドの時は、ボールがイレギュラーにバウンドしたりすることも多く、そんな試合では「Hit the channels!(裏に入れろ!)」という声が度々ベンチや選手たちの中からも出ます。イギリスサッカーといえば、縦に蹴るイメージを持っている人も多いかもしれませんが、まさしくこのことで、これはイギリスのグラウンド事情も関係しているのだということを、こちらに来て実感しています。

やわらかくボコボコの芝生は走りにくくもあり、息子も砂浜を走っているみたいで、体力の消耗が激しかったと言っていました。また、その中でのプレーはよりフィジカル戦になることも多く、初めてそんな試合を見たときは、その激しさにとても驚き、まるで格闘技を見ているかのようなときも。一学年下で身体も小さい次男は何度も吹っ飛ばされ、時には負傷退場したこともありました。

また、試合を見ていて、こちらの選手たちは、マイボールにするための身体の使い方、身体の入れ方がとても上手だと思いました。うまく身体全体を使って相手よりも先にボールに触り、前を向く。フィジカルゲームだからこそ、縦に蹴るプレースタイルだからこそ、この身体の使い方がより重要になってくるんだと思います。

 

 

2019−20シーズンも後半戦に突入しています。日本ではなかなか経験することがなかった強度の高いフィジカルゲームを何度も経験することで、イギリスサッカーの洗礼を受けながらも、少しずつですが確実に戦う強さがついてきたのではないかなと思います。私も、そんな息子たちと一緒にサカママライフを楽しんでいます。

次回は、日本からイギリスに移住してサッカーをするということ、そこで直面した色々な問題など・・・そんなことをお伝えできたらなぁと思っています!!

 

 

WRITER PROFILE

クリストファーズ佳世
クリストファーズ佳世

イギリス在住、3兄弟(16歳、14歳、11歳)を育てる現役サカママ。 神戸市在住時は、地元の強豪クラブチームで6年間サカママ生活を満喫。2019年3月にイギリス移住後は、サッカーの本場・イングランドでシーズン1年目の新米サカママとして生活をスタート。 日本とイギリスのサッカー事情の違いなどを、サカママならではの目線で伝えていきます。