イギリスサッカー便り【育成年代サッカー事情】
こんにちは! 今年1年、サカママライターとして活動させていただくことになりました。 どうぞよろしくお願いいたします!
私は2019年3月、次男三男とともにイギリスに移住してきました。一足先にイギリスに引っ越していた夫、長男とともに、現在はイギリスのバークシャーという地域で暮らしています。長男は2018-19シーズン途中から、次男は2019-20シーズンからイングランドサッカーにチャレンジしています。 イギリスでは新米サカママ。全てが手探りなのですが、今回はイギリスサッカーの育成年代のことについてお話してみたいと思います。
9月からが新しいシーズンのスタート
イギリスのサッカーシーズンは9月から始まり、学年の分け方も9月から変わります。教育システムも日本とは違い、U11までがPrimary School(小学生)、U12からSecondary School(中学生)となり、日本で5年生を終えて渡英した次男は、その数ヶ月後には中学生(Year7)に、2年生を終えた三男はその数ヶ月後にはなんと5年生(Year5)になるという、不思議なことになってしまいました。 2019-20シーズンは、長男がU14、次男は本来ならU12のカテゴリーなのですが、ご縁あって一学年上のU13チームで活動しています。
こんなに違う育成年代サッカーシステム
日本では、小学生年代(U12まで)は8人制で4号球、中学生年代(U13~)からフルピッチで11人制、5号球使用に移行していきますが、イギリスの育成年代ではかなり異なります。イギリスではU7.8は5人制、U9.10は7人制、U11.12は9人制、U13以降で11人制になります。
ボールのサイズも日本とは異なり、U9まで3号球、U10~14が4号球、U15から5号球が使用されています。ですので、長男も次男もフルピッチで11人制サッカーをやっていますが、ボールはまだ日本の小学生年代と同じ4号球を使っています。
驚いたのが試合時間なのですが、日本では小学生年代では公式戦で最大20分ハーフですが、イギリスではU7.8で20分ハーフ、U9.10で25分ハーフ、U11.12で30分ハーフと長くなっています。これは年間通して戦うリーグ戦やカップ戦の場合1日1試合ということがほとんどなので、低学年でも1試合あたりの試合時間が長くなっているようです。
このようにイギリスの育成年代では、2年ごとに試合の人数、コートサイズ、試合時間も増えていくシステムを採用しています。これは子供達の成長段階に合わせて段階的にステップを踏ませるやり方で、日本のように中学生になった途端コートが倍の広さになり、人数もボールの大きさも変わるやり方に比べ、11人制サッカーへの導入がスムーズにいくメリットがあるのではないかなと感じました。
この試合人数や学年の分け方は同じヨーロッパでも各国で違うようで、生まれ年で区切っている国もあれば学校の学年で区切っている国もあり、試合の人数も各国様々のようです。余談ですが、長期休みにはヨーロッパの大会に参加するといったことも珍しくないようで、次男のチームも去年のイースターホリデーにはポルトガルでの大会に参加したり、逆にイタリアのチームがホームグラウンドに来て試合をしたこともありました。国内遠征感覚でヨーロッパにも気軽に行けるチャンスがあるということも、サカママとしての楽しみでもあります。
年代別に柔軟なルール設定
本来のルールに縛られない独自のルールの導入も行われています。例えば、U10まではオフサイドなし、とか、ゴールキックの時相手チームはハーフウェイラインより下がらないといけない、とかです。面白いなと思ったのが、去年から試験的にいくつかの地域で導入されている「パワープレールール」。これもU10までの年代までの様なのですが、試合中4点差ついたら相手チームは一人選手を増やしていい、6点差になればもう一人、計二人増やしていいというとてもユニークなルールなんです。あまりにも点差がつく試合は双方の育成のために良くない、戦意喪失させず常にチャレンジできる環境を与えるという観点から、試験的に導入されていることのようです。このパワープレールールが来年どうなっているかはわかりませんが、このような一見奇想天外とも思えるルールもジュニア年代の育成のためにやってしまうようなところが、この国の面白いところだなぁと思います。
日本とイギリスの育成年代の違いから、私も息子たちも、来た当初は自分が一体どのカテゴリーなのかなど少し混乱しましたが、サッカーはサッカー。はじめは、長男も次男もほとんど英語はできなかったのですが、基本的なルールは世界共通。ですので、言葉は通じなくても、意外にすんなりとイギリスでのサッカーに馴染むことができたように思います。ただ、やはりチームとしての戦術や仲間とのコミュニケーションは不可欠で、この点に関してはやはり英語というバリアがあったようです。こちらについては、また次回以降詳しくお話ししたいと思いますので、お楽しみに!