「サッカーの“うまさ”の秘密は映像分析にあり?」イギリスサッカー便り
みなさん、こんにちは!
ここイギリスでは日中も15度前後までしか気温が上がらず、日に日に秋が深まっていくのを感じます。暗くて寒い冬もすぐそこ…ですが、サッカーは2021−22シーズンが開幕し、熱い戦いが毎週繰り広げられています。
ある日息子に、「今自分に何が一番必要だと感じてる?」と聞いてみました。息子は「Football intelligence」と即答。フットボールインテリジェンス、いわゆるサッカー脳、サッカーの“うまさ”です。
チームメイトはみんな足元の技術があり、ボール扱いが上手く、スピードもある。その中でも上手いなって思う選手は、ゲームインテリジェンスが高く、判断力がとてもいいな、うまいな、賢いなと感じるそうなんです。そんなチームメイトにたくさん刺激を受ける日々だそう。
では、どうやったらサッカーがうまく賢い選手になれるのでしょうか。
驚きの映像分析トレーニング
息子は今のチームに入ってまだ間もないのですが、そのチームでは日頃から映像分析を行っています。その内容がとてもよく出来ているんです。
グラウンドにはAIカメラが設置されているので、試合や練習の様子が記録された映像が随時、映像分析サイトにアップされます。自分のページにログインしたらその映像を見れるので、練習の映像はその日のテーマを復習するのに使います。息子は、記憶が鮮明なうちに早めに練習映像を確認し、自分でサッカーノートに気づいたことを書いているようです。
もちろん週末の試合の映像もアップされます。分析担当コーチがあらかじめ細かくシーン別にクリップしてくれるので、その映像を使って、よかった、うまくいったプレー、改善できるなと思うプレー、などのシーンのクリップを抜き取り、自分専用のプレイリストを作成します。コメントや矢印、○印なども書き込めるので、自分のプレーを自分で分析、評価します。
そしてそのプレイリストをコーチたちにシェアすると、翌週の平日練習の前後でコーチが一緒に映像を見ながら個別でミーティングをしてフィードバックをくださいます。コーチはコーチでチームとして改善すべきシーン、良かったシーンなどのプレイリストを準備してくださり、練習前にチーム戦術の確認を行なったり、ポジション別での映像分析ミーティングをしたりもするそうです。このようなことがシーズンを通して毎週繰り返されるのです。
主観的に見る目と俯瞰的に見る目をリンクさせるのが大切
ピッチ上で自分が見ていた景色と、試合を俯瞰的に上から見る映像は同じものでもまた違って見えますよね。この、主観的に見る目と俯瞰的に見る目をリンクさせる作業がとても大切なんだそう。自分のパス一つをとっても、もっと良い選択肢があったのではないか、とか、しっかりチェックショルダーできていなかったからボールを失ったんだなとか、自分のプレーを客観的に見ることでいろいろな気づきがあるようです。
初めはかなり時間もかかりながら分析していたのですが、だんだん慣れた手つきでプレイリストを作成するようになりました。そしてその表情は真剣そのもの。嫌いな教科の勉強はすぐ飽きてしまうのに、好きなサッカーの分析は頭フル回転でいつまでもできるようです(笑)。
考えてサッカーする習慣をつけること
チームメイトは昔からこのチームにいる選手たちがほとんどで、小さい時からいろいろなトライアンドエラーを繰り返し、考えてサッカーをする習慣がついているようです。息子が感じたサッカーの“うまさ”“賢さ”が培われた秘密は一つここにあったように思います。
幸い、息子も日本にいたときに所属していたチームでは定期的に映像ミーティングをやっていただいてたので、この映像分析して考えてサッカーすることをスムーズに取り入れることができているように思います。
今まで、どちらかというとサッカーを見るより自分がやる方が好きなので、あまりJリーグや海外サッカーの試合を見ていなかった次男が、今のチームに入ってから、毎週末のプレミアリーグのハイライトを必ずチェックするようになりました。学校やサッカーのお友達との話のネタのため、という理由もありそうですが(笑)、世界トップレベルのプレーを見ることも、フットボールインテリジェンスの向上には大いに役に立つのではないかと思います。
たくさんサッカーを見て、自分やチームのプレーも分析して考えて、自分が足りないと感じる部分を少しでも伸ばしながら、大好きなサッカーを楽しんでくれたらいいなと思っています。