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決め手は『光』の使い方!子どもの集中力を最大限に発揮させる睡眠のポイントとは?

「うちの子にもう少し集中力があれば……」と思ったことはありませんか?
実は睡眠と集中力の関係はアスリート界でも今注目されています。とくに子どもの場合は『光』によって睡眠の質が左右されやすく、光と上手に付き合うことで睡眠の質をぐっと改善できるのです。
そこで今回は、子どもの集中力を最大限に発揮させる睡眠のポイントをお伝えします!

睡眠時間で集中力が変わる?睡眠と集中力の関係


Mah, C. D., Mah, K. E., Kezirian, E. J., & Dement, W. C. (2011). The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players. Sleep, 34(7), 943-950. より作成

上記のグラフは、スタンフォード大学のバスケット選手に毎日40日間、10時間の睡眠をとってもらい、それが日中のパフォーマンスにどう影響するか、睡眠とパフォーマンスの関係性を調べた結果です。

選手たちは練習内容を変えず、ただ睡眠時間を増やしただけなのに、すべての項目の成績がアップしたことがわかります。
282フィートダッシュのタイムが縮まったほか、集中力が求められるフリースローやスリーポイントシュートの成功率も約9%高くなっており、やる気もアップしていることがわかります。

つまり、睡眠時間を増やしたことによって集中力が最大限に発揮され、それぞれの成績が伸びていたのです。この結果からもわかるように、集中力を存分に発揮するためにも睡眠は必要不可欠というわけです。

子どもの睡眠の質は『光』で決まる!

睡眠時間を確保することはもちろん、睡眠の質も集中力を発揮するためには重要です。
第1回の記事で「入眠して最初の深い睡眠時に成長ホルモンの70~80%が分泌され、特に最初90分に途中で目覚めず深く眠れているかどうかが成長ホルモンの分泌量に影響する」と解説しました。

とくに子どもの場合は、『光』と上手に付き合うことが、この最初の90分の睡眠の質を高め、睡眠全体の質を高めるための重要なポイントになります。

というのも、子どもは大人より目の水晶体が透き通っているため、良くも悪くもダイレクトに明るい光やブルーライトの影響を受けやすく、『光』の影響が睡眠に顕著に表れるからです。

光は浴びる時間帯によって私たちの体内時計をリセットしてくれる役目もあれば、夜明るい光やブルーライトを浴びると、それが睡眠に悪影響を与えることもあります。

朝、目から光が入ると脳の中にある視交叉上核と呼ばれる体内時計の親時計の役割を持つ部分に伝わり、体内時計がリセットされ身体が目覚めます。
しかし、夜に明るい光やブルーライトを浴びてしまうとメラトニンと言われる眠気ホルモンがうまく分泌されずに寝つきが悪くなってしまったり、睡眠の質が低下する原因に。夜のコンビニが悪いと言われるのも、これが理由です。

そこで『光』と上手に付き合い、質のよい睡眠につなげるための朝と夜のポイントをご紹介します。

朝起きたら、真っ先にカーテンを開ける

私たちの身体は朝の光を浴びて14~16時間後にメラトニン(眠気のホルモン)を分泌するしくみになっており、朝の日光浴が夜眠るための準備にも繋がっています。
また、朝起きて光を浴びることで、体内時計をリセットし、体温を上昇させ、身体の「活動モード」のスイッチを入れることにも。そのため、朝起きたら、真っ先にカーテンを開け、できるだけ朝食も朝日が差し込む場所で食べることです。曇りや雨の日でも効果があるので、毎日の習慣にしましょう。

夕食後はオレンジの光にし、眠気のホルモンを促す

自宅の照明が調光(光の明るさ調整)や調色(光の色を変えられる)ができるタイプのものであれば、夕食が終わったら徐々に光の明るさを落としていき、電球色と呼ばれるオレンジ色の明かりにするといいでしょう。
就寝に向けて明るさを落とし、オレンジ色の光にすることで眠気ホルモンのメラトニンが分泌しやすくなります。

「ブルーライト=テレビやパソコン、スマートフォン」のイメージが強いのですが、実は青白いLED照明からも出ているので、就寝前は注意が必要です。
とくに見逃しがちなのは、浴室の照明。最近のマンションなどでは昼白色と呼ばれる青白い照明のものがついているケースが多く、睡眠に悪影響を与えてしまう可能性があります。お風呂用のオレンジ色(電球色)の電球が売っているので、交換するのもひとつの手です。

番外編 集中力がアップする学習机のデスクライトの使い方

目から脳に届く光の情報のしくみを応用し、科目別に光の明るさや色をボタンひとつで選べるデスクライトがここ数年出てきています。
電球色(オレンジ色)、昼白色(青白い光)、昼光色(昼白色よりさらに青みがかっている光)を組み合わせおり、勉強する時間帯や科目に応じて、調整してあげると集中力や勉強の効率が良くなると言われています。

種類によって使用方法も異なりますが、基本的には

  • 電球色(オレンジ色):夜の勉強や読書に
  • 昼白色(青白い光):読み書きや勉強全般に
  • 昼光色(昼白色よりさらに青みがかっている光):
    脳を目覚めさせる作用があるので計算や算数の勉強に。睡眠への影響を考えると夜の使用は避けた方が良いでしょう。

私たちの身近にある『光』。少し意識してみるだけで睡眠の質もぐっと上がり、子どもの集中力を最大限に発揮する後押しに。いよいよ来週から新学期!質のよい睡眠がとれれば、いいスタートダッシュができるはずです。

WRITER PROFILE

ヒラノマリ
ヒラノマリ

『スポーツ×睡眠』をコンセプトにした日本で唯一のアスリート専門の睡眠のパーソナルトレーナー、『スリープトレーナー』としてプロ野球選手、Jリーガー、五輪代表選手など、多くのプロアスリートの睡眠をサポート。大のサッカー好きでスタジアムに足を運ぶことも。睡眠健康指導士、アスリートフードマイスター2級などを保持。
テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。

https://expartner.co.jp/talent/hirano-mari/