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子どものやる気を引き出す保護者の関わり方~親の関わり方で成長は変わる~【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

子どものやる気を引き出す保護者の関わり方~親の関わり方で成長は変わる~【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
夏休みが明けて新学期が始まりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
9月に入って、公式戦が再開した地域も多いことかと思います。まだまだ厳しい暑さを感じる日もありますから、決して油断をせずにもうしばらくは暑さ対策を心掛けてください。

さて、今回は『子どものやる気を引き出す保護者の関わり方』について考えていきたいと思います。日常では父親として子どもたちのサッカーに関わることも多いのですが、お友達のお父さん、お母さんからご質問いただくことが多い内容だったりします。過度な干渉は子どものやる気を削いでしまう一方で、無関心も良くありません。適切な距離感が難しいと感じている方が多いようなので、整理して考えてみましょう。

大人の想いと子どもの想い

お子さんがまだ小さかった頃、おぼつかない足取りでボールを追いかける姿は、見ているだけで微笑ましかったはずです。無邪気にボールを追いかけ、笑顔で楽しんでいる姿に喜びを感じ、できなかったことができるようになるたびに成長を感じていたことでしょう。

しかし、お子さんが成長するにつれて、いつの間にか「もっと上手くなってほしい」「活躍してほしい」という期待が強くなっていませんか?

お子さんのためにと思ってかける言葉が、知らず知らずのうちに要求になってしまい、思い通りに動かないとイライラしてしまうこともあるかもしれません。

子どもたちは、純粋にサッカーを楽しみたいと思っています。そして自分自身の成長を願っています。大人はその手伝いをするだけで十分なはずです。

お子さんを想う気持ちが違った方向に向かってしまうと、かえってプレッシャーになり逆効果になってしまうことがあります。お子さんを温かく見守る気持ちを大切にしてください。

気をつけてほしいこと

過度な干渉と口出し

試合や練習中、どうしても子どものプレーが気になってしまう...その気持ちは解りますが、これは控えたほうが良いでしょう。試合中にグラウンドの外から指示を出したり、プレーのミスを厳しく叱ったりすると、子どもの自主性や判断力を奪ってしまいます。

また、チームや指導者への不満を子どもに伝えたり、試合に出ている、出ていないを追求したり、試合結果に一喜一憂しすぎることで、子どもに余計なプレッシャーを与えてしまい、サッカーを楽しむ気持ちを損なう原因になってしまいます。

お子さんを前向きにサポートしてあげてください。

特にプレーに関しては、試合での良かった点を見つけて褒めてあげるのが効果的です。褒められたプレーは「もっとやってみよう!」という次のチャレンジへの意欲につながります。

何事も真剣に取り組む中で、思い通りにならないことはたくさんあります。でも、思い通りにいかなかったからといって、決して「ダメ」なわけではありません。そんなとき、どう乗り越えればいいのか。ぜひ、考え方を伝えてあげてください。失敗から学び、次へと向かう力を育むことが大切です。

結果至上主義

勝利やレギュラーになること、強豪チームへの入団といった「結果」ばかりに目を向けてしまい、お子さんの成長過程や日々の努力を見過ごしていませんか? もちろん結果を求める気持ちは分かりますが、結果ばかりを重視すると、お子さんは失敗を恐れるようになり、チャレンジする勇気を失ってしまうかもしれません。

大切なのは、結果を出すことよりも、まず「取り組む姿勢」を育むことです。困難に対してもひたむきに向き合い、努力を続ける姿勢こそが、将来的に結果を引き寄せる力となります。

たとえ試合で負けても、レギュラーになれなくても、そのためにどのような努力をしたのか、どのような気持ちで練習に臨んだのか、その過程をしっかりと見てあげてください。そして、「よく頑張ったね!」「よく考えてプレーしていたね!」など、具体的に声をかけて、その姿勢を認めてあげてください。

その声があれば、お子さんは「結果が出なくても、自分の頑張りはちゃんと見ていてくれる」と感じ、自信を持って次のチャレンジができるようになります。

結果は後からついてくるものです。
まずは、お子さんが自ら考え、行動し、努力できるような、そんな土台を一緒に作り上げてください。

他人(他のお子さん)との比較はしない

他の子どものプレーや成長度合いと、自分の子どもを安易に比較してしまうことです。

ご存じの通り、子どもの発育発達には個人差があります。
頭ではわかっていても、親としては、つい他の子どもと比べてしまいますよね。特に、SNSで他チームの子どもが活躍している様子を目にする機会が増えた現代では、劣等感や焦りを感じやすくなっているような気がします。

しかし、そうした比較は、子ども自身を追い詰めてしまうことにつながります。親の焦りは子どもたちにも伝わります。子どもたちは「どうして自分はできないのだろう」と自己肯定感を下げてしまい、自信を失うきっかけになりかねません。

我が子の「今」に目を向けよう

先程も述べたように、子どもたちの成長には個人差があります。早く成長する子もいれば、ゆっくりと成長していく子もいます。大切なのは、他の子と比べることではなく、昨日のお子さん自身と比べることです。

「前はボールタッチが乱れていたけど、上手にコントロールできるようになったね!」
「左足が蹴れるようになったのは、毎日壁当てやっていたからだね」

といったように、お子さん自身の成長を具体的に褒めてあげてください。

他の子との比較や結果ばかりに目を向けていると、子どもはできないことに劣等感を感じたり、失敗を恐れるようになってしまいます。比較するなら昨日のお子さん自身と結果ばかりを追うのではなく、取り組む姿勢を評価してあげてください。

まとめ

お子さんのサッカーへの関わり方で大切なのは、過度な干渉や結果至上主義に陥らず、適切な距離感で温かく見守ることです。試合中の過度な指示や、ミスを厳しく叱ることは、お子さんの自主性や判断力を奪ってしまいます。また、試合の勝ち負けやレギュラーかどうかといった結果ばかりに注目すると、お子さんは失敗を恐れ、挑戦する意欲を失いかねません。

お子さんが純粋にサッカーを楽しむ気持ちを大切にしてください。
日々の努力や成長の過程を具体的に褒め、認めてあげることが、お子さんの自信につながります。他のお子さんと比べるのではなく、お子さん自身の「昨日」と「今日」を比べ、成長したことを言葉にして伝えてあげましょう。

そして...
お子さんに対して、そのような眼差しを向けるために最も大切な鍵となるのが、保護者の方自身の心のあり方です。お子さんの「やる気」を引き出すために、まずは大人が心に余裕を持ち、冷静に向き合うことから始めてみましょう。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル

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