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技術だけじゃない!合宿で身につくもの【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは!大槻です。
夏休みに突入しましたがいかがお過ごしでしょうか? ここに来て再び新型コロナウイルスの猛威が日本を騒がしていますね。合宿や遠征に影響が出ている方も少なくないと思いますが、子ども達にとっては貴重な機会。対策を徹底した上で何とか実施してあげたいものです。

さて、今回は「技術だけじゃない!合宿で身につくもの」と題して、合宿生活が子ども達に与えるポジティブな変化について考えていきたいと思います。合宿から帰ってきた子ども達を見て、『あれっ?逞しくなった?』と感じる瞬間はありませんか? 子ども達は合宿生活を経て、何を身に付け、何を学ぶのでしょうか。

サッカー合宿で得られるものって何?

  

ジュニア年代のサッカー合宿に対して、どんなイメージを持たれていますか? 集中的に特別なトレーニングを繰り返して、一気に上手くなって帰ってくる……そんなイメージでしょうか。

もちろんサッカー合宿ですから、そういった側面もあると思います。しかし、合宿ではどちらかと言うと、親元を離れて生活することによる内面的な成長の方が期待出来ると思っています。自分の責任で判断して行動する、この一連のプロセスを合宿の間に習慣化することで、「物事に取り組む姿勢」を育てることが出来るからです。

自分のことは自分でやる「自立心」を育む

家にいると子ども達の行動一つ一つが気になってしまい、つい口を出してしまったり先回りをして手助けしてしまう…という方は少なくないと思います。しかし、合宿では日常生活に関わること、準備や片付け、スケジュールの管理など、全てを自分で行わなければいけません。普段家にいるときは誰かが用意してくれていても、合宿中はそうはいかないのです。

自分に関わることは自分でやらないといけないとなると、常に頭を動かして生活することになります。結果としていくつか失敗することもあるでしょうが、その経験もまた自分事になり、次からは気を付けるようになるはずです。「自分で出来た!」という経験は自信に繋がり、行動にもポジティブな変化が見られるようになるでしょう。

サッカーも自分で考えて行動に移していく作業の繰り返しですから、日常生活から考えて行動する習慣が身に付けばピッチ上にもいい影響が生まれそうです。また、指導者はそれぞれの子どもの年齢等に応じてどのようなアプローチが必要なのかを見極めていかなければなりません。そこも重要なポイントですね。

ルールを意識し、周りへの気配りを学ぶ

 

自分で考えて行動すると言っても、自分勝手に行動するということではありませんよね。集団で生活をしていく以上、全員が楽しく合宿を過ごすためのルールがあります。そのルールを意識した上で行動しなければなりません。

合宿中は、仲間と一緒に取り組まなければスムーズに行かないことが多くあります。食事の配膳、グラウンドの準備と片付け、荷物の運搬、洗濯、入浴など、どの場面でも集団を意識して行動することが求められます。自分が終わればそれで終わり、とならないのが合宿です。下級生の世話をしたり、仲間のことに気を配ったり、もしかすると違う団体の方と一緒になることだってあるかもしれません。自分のことだけでなく、周囲に気を配り、助け合って生活が出来るか、そういったアンテナを張っていられるか。家にいるとそこまで周囲に気を配ることは少ないのではないでしょうか。

サッカーではどうでしょうか? 仲間と一緒に局面を打開したり、守ったり……サッカーは1人で出来るスポーツではありません。日常生活の中での周囲への気配り、またそういった視点を持つことは、ピッチ上のプレーにも繋がっていきそうです。

コミュニケーション能力とリーダーシップ

合宿中は、話し合ったり周囲と協力して物事を進めないといけない場面も多くあります。そんな時、周囲と考え方が合えばスムーズですが、時には意見が食い違ったり、自分の意図しない方向に話が進んでいくこともあるでしょう。しかし、考え方や意見が違うということは決してネガティブなことではないと思うのです。大人の社会でも意見が食い違うことはよくありますよね。そんな時に必要なことは、喧嘩や言い争いではなく「良好なコミュニケーション」ではないでしょうか。

配膳の担当を決めたり、準備や片付けの方法を考えたり…。話し合いの時には、まず自分の意見を持ち、周囲の意見にも耳を傾ける。問題を主体的に捉えて、分かりやすく説明するための言葉選びができるようになれば、その力は大人になっても役立つはずです。すぐに出来るようにならなくても、まずはそのような姿勢を持つことが大切ではないでしょうか。

そして、合宿での集団生活を通して、周囲の意見を吸い上げ、物事の方向性を定めていくリーダーシップを発揮する子が出てくることもあります。この特性は自然と出てくることもありますが、指導者側が仕向けていく側面もあると思います。とても不思議なもので、ピッチ上では自信が無さそうにプレーしていた子が、ピッチ外でのリーダー経験を通してパフォーマンスが良くなっていくということもあります。そういった子ども達の新しい一面を発見出来るのも、合宿の面白いところです。

帰ってきてからも合宿での成長を無駄にしない!

 

合宿での集団生活を通して学ぶこと、身に付けられることを整理していきましたが、いかがでしたか。合宿で家を離れた子ども達は、自分のことを自分でやらなければならなくなります。そこでは思い通りにいかないこともあると思いますが、その全てが成長に繋がっていくのです。

とはいえ、これらは普段の生活から取り組んでいけることでもあります。合宿は子ども達にとって「親離れ」になりますが、保護者にとってもまた「子離れ」をするいい機会。合宿から帰ってしばく経ったら元通り…なんてことがないように、合宿で身に付けた力をどこでも発揮できるよう、家庭では少し遠くから見守ってあげてくださいね。

WRITER PROFILE

 大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー