尚志高校【全国強豪校REPORT2025】
進撃続く東北王者
尚志高校
福島県/私立
【主なOB】チェイス·アンリ(VfBシュトゥットガルト)/染野唯月(東京ヴェルディ)/山岸祐也(名古屋グランパス)/五十嵐聖己(いわきFC)
KEYWORD01:下剋上
一見穏やかではないこの言葉に込められた尚志イレブンの意志は固い。「“もう一度プレミアに這い上がらなきゃいけない”っていう強い気持ちはみんな持っていますし、選手権など全国でも優勝を狙っていこうと話しています」。仲村浩二監督のこの言葉が示すとおり、高校最高峰のプレミアリーグへの一年での復帰、そしてまだ見ぬ全国の頂点を見据えた戦いに注目だ。

小曽納奏(3年/MF)
「昨年から取り組んできた攻撃的なサッカーの中で、ボランチとして守備やリスク管理の部分を求められていると思います。大学経由でプロになって、ワールドカップに出られる選手になりたいです」
KEYWORD02:攻撃力
昨年度の尚志は、決めきれないチームだった。プレミア勢同士の対決となった選手権· 東福岡(福岡県)戦では、優っているように見えた内容に得点が伴わずPK戦で敗戦、リーグでも22戦で21ゴールと伸び悩んだ。ところが今季は、新人戦出場全試合で得点を挙げたFW臼井蒼悟ら攻撃陣が爆発。プリンスリーグ東北では折り返しを待たずに30ゴールを超えている。選手たちが口をそろえて昨年度の課題だったと語る決定力は、今季のチームにおいて最も強力な武器へと変貌した。
臼井蒼悟(3年/FW)
「攻撃で起点になれる長所を生かしつつ、前から奪いにいく守備でも貢献できる存在になりたいと思っています。全国優勝という目標のために、チームとして向上心を持って取り組んでいきたいです」
KEYWORD03:SHOSHI FC FAMILY
「“SHOSHI”の看板を背負っている意識、プライド(誇り)をピッチ内外すべてにおいて、一人ひとりが必ず持ち続け、全員で目標を達成していく」という理念のもと、男子サッカー部だけではなく、女子サッカー部·ジュニアユース· ジュニアの育成にも力を入れている。スポーツを通して、福島県の子どもたちの健康で笑顔あふれる未来を作るという仲村浩二監督の想いが表れた育成の形だ。

根木翔大(3年/FW)
「チームとして誰が出ても同じクオリティを出せていて、特に攻撃には自信を持って戦えています。プロを目指しているので、厳しくも的確なアドバイスをくれる仲村監督の存在は大きいですね」
KEYWORD04:欧州へ?
卒業後即ドイツへ渡ったOBチェイス・アンリのように、尚志から世界へ羽ばたく選手がまた現れるかもしれない。MF田上真大は、年始にイングランド、ドイツといった欧州クラブへの練習参加を経験。その後リーグ開幕節での4得点を含む6戦連続得点など印象的な活躍を見せ、チームのキープレーヤーとなった。高卒即海外が珍しくなくなってきた昨今、偉大な先輩と同じ道をたどるのだろうか。
田上真大(3年/MF)
「今年はクリエイティブな選手が多く、いい意味で自由なチームだと思います。ドリブルからのチャンスメイクやシュートという自分の武器で、全国優勝やプレミア昇格という目標に貢献したいです」
KEYWORD05:東北2連覇
尚志高校の連覇となった新人戦東北大会。決勝のカードは2年連続で福島県勢同士の対決となったほか、インターハイの固定開催地となったことにより各地の強豪が集うなど、福島県のサッカー熱が高まっているのは言うまでもない。果たして、聖地「Jヴィレッジ」でしのぎを削る夏の覇権はどの高校がつかむのか。

写真/渡部幸和