帝京長岡高校【全国強豪校REPORT2025】
心美しき技巧派集団
帝京長岡高校
新潟県/私立
【主なOB】松村晟怜(湘南ベルマーレ)/小塚和季(清水エスパルス)/酒井宣福(サガン鳥栖)/谷内田哲平(RB大宮アルディージャ)
KEYWORD01:ボールを大事に
ボールを握って前進し、コンビネーションや個人技で相手を崩 す美しいサッカーが代名詞となっている帝京長岡。近代サッカーの“インテンシティ重視”化の流れについて、谷口哲朗総監督は「技術ベースの上にフィジカル、そこで違いを出すためにまた技術を磨く。強度が重視されるサッカーにおいて、どれだけ技術を発揮できるかという思考、判断力を育てていきたい」と分析している。独自のスタイルを貫き、高校サッカーファンを魅了してきた彼らの戦い方はブレることを知らない。
児山雅稀(1年/FW)
「フィジカルの強さを生かした攻撃の起点となるプレーに自信を持っています。U-16日本代表やプレミアリーグで戦える経験を生かして、将来はJ リーグや海外で注目される選手になりたいです」
KEYWORD02:5人のキャプテン
高校最高峰のプレミアリーグWESTで戦う長岡イレブンを見ていて気付くのが、試合ごとにゲームキャプテンが異なるということ。今季は5人が主将の役割を担うなか、2年生で唯一任命されたMF和食陽向は、昨季1年生ながらU-17高校選抜に選出されるなど頭角を現し、今季は伝統のエースナンバー14を背負う。入学当初から存在感を発揮するチャンスメイカーの躍動に注目したい。
和食陽向 (2年/MF)
「学年関係なく意見や声を出せて、雰囲気よくプレーできていると思います。トップ下としてボールを持って違いを作るプレーはプレミアでも通用している実感がありますね。冬の選手権に向けて照準を合わせていきたいです」
KEYWORD03:フットサル強豪校
全日本U-18フットサル選手権大会で過去2回優勝を果たすなど、サッカーだけでなく、フットサルの強豪としても知られる帝京長岡。豪雪地帯のためグラウンドでの練習が難しい冬はサッカー部も体育館でフットサルに取り組んでおり、卒業後にサッカーではなくフットサルの道に進む選手もいる。足元の技術が要求される環境で磨いたテクニックが、彼らのチームスタイルの土台となっているのだろう。
吉田龍悟 (2年/DF)
「誰かが飛び抜けて上手いというわけではなく、みんなで協力しながら成長していけるチームだと思っています。プレミアの舞台で経験を積んで、海外で活躍できるような選手になりたいです」
KEYWORD04:心美しく勝つ
「物を大事にする。人を大事にする。ボールボーイに“ありがとう”と言う。当たり前のことですが、細かい部分まで徹底してやっています」。谷口総監督が掲げる“勝利だけを目的としない”サッカーとの向き合い方が根付く帝京長岡。卒業後の人生を考え、心身ともに成長を促す育成が、プレミアリーグWESTで戦う実力校の根幹となっている。
水澤那月 (3年/MF)
「サイドからの得点能力や、身体能力を生かしたプレーが得意です。帝京長岡ではサッカーだけでなく、人としても成長できていると感じています。このメンバーで日本一を獲れるように頑張ります」
KEYWORD05:幼少期からの一貫指導
帝京長岡高校のグラウンドでは、同校サッカー部以外にもう一つのチームが練習を行っている。それが下部組織にあたる、長岡JYFCだ。街クラブとして幼少期からの一貫指導を行い、次世代の長岡イレブンの育成を担っている。「長岡にサッカー文化を根付かせる」谷口総監督の目指す、街と共に成長するチームとしての姿が垣間見えるシステムだ。
仲 七璃 (2年/GK)
「裏へのボールに対する反応や、身体を張った守備に自信を持っています。今年から正GKとして背負う責任も増えていますが、安心して後ろを任せられるような絶対的な存在として貢献したいです」
写真/渡部幸和