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【第100回全国高校サッカー選手権】“三冠”青森山田が高校年代最強を証明

4年連続の決勝進出、3度目の正直で頂点に立った常勝軍団・青森山田。前人未踏の三冠達成を果たした王者を中心に、記念すべき第100回大会を振り返る。

自らの矜持を貫き、選手権100回大会を制す!

「常に理想通りのチームができるわけじゃない。強い選手や上手い選手が集まるわけでもない。勝ち続けるのは本当に厳しい世界。その中でタイトルを獲得した選手たちは賞賛に値する」

インターハイ、プレミアリーグEAST、選手権を制した青森山田の黒田剛監督は、そう選手たちへの労いの言葉をかけた。そして前半の言葉も偽らざる本音だろう。1年を通して高体連相手に無敗、負けたのはプレミアリーグEASTでの2敗のみ。憎らしいくらいの強さを見せつけた王者。常勝チームの宿命ともいえるが、そんな彼らを揶揄する声は少なからず存在した。勝利に徹する姿勢やスター選手の寄せ集め云々……。97年に東福岡が三冠(※当時はプレミアリーグでなく全日本ユース)を成した時代から20年以上が経過し、プロクラブの育成組織が確立された現在、それらの意見が的を射ていないのは自明の理だ。

青森山田の黄金時代到来を告げた100回大会では、国見で一時代を築き、高校サッカーの功労者である長崎総科大附の小嶺忠敏監督の訃報もあった。決勝の大津高校のスタンドには「九州はひとつ!」という平岡和徳総監督の自筆の横断幕が掲げられた。偉大な先代が積み上げた努力の結晶、数多の夢が紡いだ高校サッカー選手権。自らの矜持でもあるハイプレス、ハードワークを貫き、100回という記念大会で3冠を果たした青森山田が高校年代最強を証明した。

 
後半10分、ダメ押しとなる3点目をヘッドで決めて雄叫びを上げるMF松木玖生(青森山田)を仲間が取り囲む。
 
松木は3年連続スタメン出場で選手権通算15試合10得点という記録を残した。
 
ヘディングで2得点を決めたDF丸山大和(青森山田) は、国立で3得点を上げ攻守にわたって貢献を果たした。
 
U-18日本代表候補GK佐藤瑠星(大津)を擁し、初の決勝進出となった“公立の雄”大津だったが、青森山田のハイプレスに後れをとり、まさかのシュートゼロに抑えられた。
 
複数の選手がグルグル回る「トルメンタ」などトリッキーなプレーで快進撃を続けた準決勝の高川学園戦では、持ち前のハードワークでセットプレーの機会すら与えなかった。
 
昨年の無観客から今年は有観客での決勝戦開催。帰ってきた国立の舞台で多くの観客から祝福を受ける王者。
 
4大会連続の決勝進出に導いた青森山田の黒田剛監督は、4-0の優勢であっても試合終了まで檄を飛ばし続けチームを鼓舞した。

8大会ぶりの“聖地”国立で躍動した名手たちの競演
第100回選手権大会PLAY BACK

 
1月7日に亡くなった小嶺忠敏さんに哀悼の意を示し、準決勝前に黙とうが捧げられた。
 
8大会ぶりに“聖地”国立で開会式が行われ、高川学園の奥野奨太キャプテンが選手宣誓。大会前のケガでピッチにこそ立てなかったが、一丸となったチームは旋風を巻き起こした。
 
強豪・静岡学園を下し初のベスト4に進出した関東第一だったが、選手に新型コロナウイルスの陽性反応が認められたことで辞退。来年、再び聖地に戻っての奮起に期待したい。
 
最高峰リーグに所属する“九州プレミア対決”では大津が東福岡に4-0で勝利した。
 
前回王者・山梨学院は佐賀東に0-2で敗れ2回戦敗退。試合後の清々しい表情が印象的だった。
決勝戦 2022年1月10日
[国立競技場]
大津 0-4 青森山田
【得点者】丸山大和(37分)、名須川真光(41分)、松木玖生(55分)、渡邊星来(78分)
準決勝 2022年1月8日
[国立競技場]
高川学園 0-6 青森山田
【得点者】】名須川真光(3分)、丸山大和2(26分、85分)、松木玖生(57分)、小湊絆(68分)、田中栄勢(89分)
準々決勝 2022年1月4日
[等々力陸上競技場]
東山 1-2 青森山田
【得点者】松木玖生(40分+2分)、渡邊星来(53分)
3回戦 2022年1月2日
[駒沢陸上競技場]
阪南大高 1-3 青森山田
【得点者】オウンゴール(15分)、丸山大和(43分)、名須川真光(52分)
2回戦 2021年12月31日
[駒沢陸上競技場]
大社 0-6 青森山田
【得点者】名須川真光(43分)、田澤夢積(53分)、松木玖生(68分)、小湊絆2(78分、80分+3分)、宇野禅斗(80分+1分)

得点ランキング

1位 7得点 鈴木章斗(阪南大高)
2位 4得点 丸山大和(青森山田)
名須川真光(青森山田)
松木玖生(青森山田)
5位 3得点 守屋練太郎(前橋育英)
高足善(前橋育英)
林晴己(高川学園)
中山桂吾(高川学園)石川己純(阪南大高)
小泉龍之介(静岡学園)
小湊絆(青森山田)

写真/野口岳彦、 山口賢二郎