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【高校サッカー部4チームの監督に聞く】サッカーで紡がれる「10」の人間力

新型コロナ感染拡大の影響により、サッカーの大会や活動の休止が相次ぐ中、進路を控えた選手たちは深刻な問題を抱えている。「サッカーを続けること」を提唱するfooties! 編集部では、中学サッカープレーヤーと高校とをつなぐきっかけとして、進路案内をテーマとしたオンラインイベントを実施。全国の高校サッカー部4チームの監督がオンラインで一堂に会し、サッカーを通した人間形成の育成について語り合った。ここでは、中学生に向けて語られた言葉の中から、サッカーで養われる「人間力」についてピックアップ。その10の格言には、高校生にとっても今一度自分自身を振り返る機会となるのではないだろうか?

加見成司
聖和学園高校サッカー部監督

かみ・せいじ●1972年生まれ、千葉県出身。市原緑高校、仙台大学を卒業後、名古屋グランパスに入団。2003年より聖和学園男子サッカー部監督に就任。 創部9年目で、全国高校サッカー選手権大会初出場。ドリブルに特化した育成、指導法で知られ、毎年多数の志願者が訪れる。

小野貴裕
関東第一高校サッカー部監督

おの・たかひろ● 1980年生まれ、神奈川県出身。日本大学高校、日本大学を経て、2010年より関東一高サッカー部の監督へ就任し、2015年にはインターハイベスト4の結果を残す。2016年、創部35年目にして同校を全国高校サッカー選手権大会初出場へと導く。

萬場 努
明秀学園日立高校サッカー部監督

まんば・つとむ●1984年生まれ、千葉県出身。東海大学付属浦安高校、東海大学、佐川印刷SCでプレー。23歳という年齢で明秀学園日立高校サッカー部の監督へ就任。2017年より全国高校サッカー選手権大会に3年連続出場(4度目)。同校を全国 大会常連の強豪校へと押し上げた。

宮本文博
開志学園JAPANサッカーカレッジ高等部監督

みやもと・ふみひろ●1968年生まれ、山口県出身。宇部高校、筑波大学でプレー。開志学園JSC 監督就任2年目の2014年に全国高校サッカー選手権大会出場に導く。開校10年目の同年は全国総体夏冬新潟制覇。柔軟なサッカーで、再び全国出場を目指す。

「考えるチカラ」を持った選手が共通して伸びる

加見監督

高校年代は大学、社会に出るための通過点。ボールを自由に扱える個人技術も大事ですけど、それ以上に重要なのが普段の生活で身につく「考えるチカラ」です。中学生の頃から考えるチカラを養っておくと、高校でも問題解決する能力が身につきやすく、グラウンドで発揮する機会もたくさんでてきます。そういった「考えるチカラ」を持った選手が、高校でも共通して伸びますね。

自分が何を求められているかを判断する「選ぶチカラ」

小野監督

高校年代では、自分が「正しい」と思っていることが、チームにとって必ずしもイコールにならなくなります。つまり試合でやりたいことと、チームの中で求められるものとに矛盾が出てくるのです。そこで必要になるのは、シンプルに言うと「選ぶチカラ」。それができないと、どんなスタイルのサッカーでも満足にプレーできないと思います。

 

サッカーと勉強は相互作用して成長する「文武不岐」という考え方

萬場監督

茨城県には18世期から幕末にかけて水戸藩で成立した学問・水戸学があり「文武不岐(ぶんぶふき)」という言葉があります。学問の中にも武道・スポーツの学びがあり、文武が相互作用して相乗効果となって成長する意味合いがあるという考え方です。私も、どちらかに偏るのではなく、学問とスポーツを共に学ぶように教えています。自立した人間になるためには、自分で考える能力が重要と思っていますので、普段から「こうしなさい」ではなく、問いかけるように努めています。

社会に出ても必要になる「柔軟性」

宮本監督

我々のサッカーは、決まったスタイルを追求するのではなく、いろんな状況に臨機応変に合わせられるような「柔軟性」を身につけさせています。この先、大学、社会に出て行けば、いろんな変化にも対応できなくてはいけない状況が出てくるでしょう。そんな時に求められる素養を、サッカーを通して身につけられると思っています。

何事にも「正面から向き合える」ことが成長につながる

小野監督

私が直接指導している選手に関して、勉強との両立で不満を持っている選手はいません。サッカー部には学力に関しても学校を代表する生徒たちが集まっていると思っています。今のコロナ禍であっても授業はオンラインでやっていて、生徒も真面目に取り組んでいます。ではなぜそれができているのか? それは、サッカーに一生懸命取り組めるようになり、何事にも正面から向き合えるようになっている子が多くなったからだと思います。サッカーと人間としての成長は常に連動しているのです。

 

大人になった時、ドリブルは子どもに教えてあげられる大事な技術

加見監督

あくまで主役は選手たちなんです。彼らに生き生きとした顔で、思う存分サッカーをやらせてあげたい。ウチでもジュニア、ジュニアユースからずっとドリブルをやってきた子もいれば、高校から「学びたい」と入部する子もいます。年齢に関わらず、ドリブルはやれば身につく技術です。そこに本気で懸けてやれるかどうかの差だけです。ドリブルは大人になった時に、子どもに教えてあげられる大事な技術です。高校サッカーで終わってほしくないですからね。長くサッカーに携わる部分も含めて、何かを彼らに残してあげられたらいいなと思ってやっています。

「自分の立ち位置」を意識することで努力できる

萬場監督

義務教育から高等学校に進学することで、社会的な意味合いも変わってきます。自立した大人に近づいていく高校年代では、今の「自分の立ち位置」をより意識する必要があると思います。勉強もサッカーも大事なのは、現状からどこまで努力できるかにあります。苦手だからといってそのままでいいわけじゃないし、逆にできる子が努力せずにいることも同様です。

人間としての土台の上にサッカーがある

宮本監督

これまでの経験からも、いくら本気でサッカーだけをやっていても伸びない印象があります。人間的な土台があって、その上にサッカーがある。状況を見て自分で判断して行動できる「自立心」、世の流れを把握し、自らが置かれている立場を理解し適応できる「順応性」、自分から発信できる人間になる「発信力」、これらの人間力を磨くことがサッカーの向上へとつながると思います。

 

何度も失敗して「判断できる人間」になる

加見監督

サッカーは判断のスポーツです。選手たちには「自分で判断できる」人間になってほしいと思いますし、大人になればそこに責任、背負うものが出てきます。そのためにも、高校のうちにサッカーを通してたくさん失敗することはいいことだ思います。卒業後に最終的に頼れるのは自分自身。自分で判断し、自分で伝えられる人間になってほしいと思います。

上部だけでなく「自分の言葉」で伝えること

小野監督

私は社会科の教員をしています。選手たちには社会全体を理解し、自分のいる社会をどうするかが大事だと伝えています。インプットしたものを自分の言葉で、どう表現するのかが、社会で生きていく上で必要です。当たり障りのないことを上辺で並べても、自分の生きている社会・環境を大きく変える力にはなりません。社会には個人では抗えないものがあります。大事なのは自分がいるところを、どう変えていくか。自分が所属する組織を良い方向に持っていくために何ができるかが重要なのだと教えています。


footies!では進路に悩む選手を応援しています!
新型コロナウイルスの影響により学生が活躍する場を失う状況のなか、中学、高校、大学・専門学校のプレーヤーを応援するfooties! では、このオンラインイベントのように、チームと学生をつなぐ進路案内のサポートができればと思っています。学校、チーム、選手を問わず、お悩みのある方は下記までご連絡ください。
●footies!編集部 support@footies.jp