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指導者・子ども・保護者が共に育むチームの力【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

指導者・子ども・保護者が共に育むチームの力【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
梅雨のジメジメと夏の暑さがやってくるこの季節、子どもたちがグラウンドで元気に走り回る姿を見ると、なんだか元気をもらえますよね。実は私、最近は仕事終わりに温浴施設でサウナに入ってリラックスするのが楽しみなんです。汗を流してぼーっとしていると、頭の中が整理されて、新しいアイデアが浮かぶことも。皆さんはどんな気分転換をされていますか?

長年、指導者としてジュニアからユースまで多くのチームを見てきました。
リーグ運営に携わった経験もあり、さまざまなチームの雰囲気や活動の様子を目の当たりにしてきました。その中で、いつも心を掴まれるのは「雰囲気の良いチーム」。子どもたちの笑顔、保護者の温かい応援、指導者の熱い眼差し――そんなチームは、目に見えない「心の輪」があって、それが結果につながっていくんです。

では、そんなチームにはどんな共通点があるのか? それは、指導者、子ども、保護者がお互いを尊重し、同じ方向を向いて進んでいるということだと思っています。今回は、『指導者・子ども・保護者が共に育むチームの力』と題して、みんなでサッカーを心から楽しみ、成長していくためにはどうしたら良いのか? 一緒に考えていきたいと思います。

指導者の役割、保護者の役割、子どもたちが学ぶこと

サッカーチームは、指導者、子どもたち、保護者の三者が手を取り合って成り立っています。それぞれの役割を整理してみました。特に、指導者の役割はチームの方向性を築くうえで大切です。

指導者の役割

~心を育てる~
指導者は、子どもたちの技術や戦術を教えるだけではなく、心を育てていく役割もあります。好きなこと(=サッカー)に対して真剣に向き合うからこそ育まれることがたくさんあって、それはサッカーに限らず社会に出て求められる力につながっています。時には課題に対して向き合わせることもあるでしょう。しかし、挑戦を支える環境作りは心掛けていきたいですよね。何でもこちらから提供してしまって自分で考えられないようになっては困りますから、それぞれの子どもの発育発達の段階に応じてそのアプローチは変えていく必要があると思っています。

~課題や目標を明確に~
チームやそれぞれの子どもの課題や目標を示し、それを子どもだけでなく保護者に共有して協力していただくこともあるでしょう。指導者と保護者が一緒に子どもの課題に向き合い、見守っていくことができれば良いですよね。
指導者の立場からすると当たり前だと思うようなことであっても保護者側からすると当たり前ではなかったり、知らないことがあると思います。ですから、日頃からコミュニケーションをとれると良いですよね。もちろん言いにくいこともあるかもしれませんが、保護者と同じ方向を向いて子どもたちを見守っていけたら素晴らしいと思います。

保護者の役割

~子どもにとっての一番のサポーター~
小学生のころや子どもが自分で行動するようになる年齢までは、練習や試合の送迎、お弁当作り、引率など活動していくうえで保護者がやらなければならないことは多いと思います。しかし、そんな時間も振り返れば良い思い出。今では立派なサッカー選手になっている教え子の保護者の方とお話しすると皆さん、同じように『あのころは楽しかったなぁ』と言います。笑
それだけ子どもたちと二人三脚で歩んだ時間が尊く、思い出深い時間だったのでしょう。そんな話を聞くと、自分も子どもたちの今を精一杯サポートしてあげたいとあらためて思うようになりました。時には辛いこともあるかもしれませんが、ネガティブな感情に支配されないように注意が必要です。子どもたちには困難や難しいことがあっても、その時々でどのように立ち向かえば良いのか? という姿勢について話をしてあげてください。「お父さん、お母さんが応援してくれるから頑張ろう!」と子どもが感じられるような働きかけができると良いですよね!

~保護者同士の関係性~
サッカーで子どもたちが輝く裏には、保護者同士の良好な関係性も必要です。試合の応援席で喜びを分かち合い、時には「うちの子、シュート外しまくり…」「忘れ物が多くて・・・」と笑いながら愚痴をこぼしたり。そんな日常が、保護者コミュニティを築く第一歩なのではないでしょうか。この絆は、子どもの友情やチームワークにも波及していくものです。保護者が互いに悩みを共有し、励まし合う姿は、子どもに「仲間を大切にする心」を伝えることができますし、送迎の相談や情報交換も、忙しい保護者の皆さまを支える力になります。
そして保護者のコミュニティは、単なる「親の集まり」ではありません。子どもたちの笑顔と成長を支える、チームの土台にもなります。保護者同士もまたみんなで会いたいね! と子どもたち抜きで楽しめるような関係性に育っていくと、より楽しいものになっていくかもしれませんね。子どもの成長を笑顔で見守れるそんな関係性を作れると良いですね。

~指導者との関係性~
子どもたちのサッカーを充実した活動にしていくためには、指導者との信頼関係、協力関係が不可欠です。応援中にいろんな疑問や感情が湧いても、ぶつける前に少し冷静になって考えてみましょう。
指導者も子どもたちの成長を願っているんです。感情的な対話は溝を生むだけですから、尊重したうえでチームの方針や子どもの課題を理解しようとする姿勢が大切です。
活動前後の挨拶や練習後の短い声かけが、信頼の第一歩です。指導者も保護者も、子どもの未来を想う気持ちは同じです。冷静に心を通わせれば、子どもは安心してサッカーに打ち込めます。保護者が指導者の意図を信じ、協力する姿は、子どもたちに「支えられている」ということを実感させることにつながります。グラウンド外の理解と尊重が、子どもの自信と笑顔を育んでいくのです。保護者と指導者が手を取り、子どもの夢を後押ししてあげてください。

子どもたちが学ぶこと

子どもたちはサッカーや大人を通して多くのことを学んでいきます。年代に限らず私自身が特に大切にしていることは下記の3つです。

~協力の大切さ~
パスをつないでゴールに向かう。仲間と共にボールを奪う。子どもたちは「チームのために動く」喜びを学び、それを形にしたプレーに喜びを感じるようになってきます。協力して物事が解決していく経験がチームに一体感を生み出していきます。

~責任感~
チームのために自分に与えられた役割を果たさなければなりません。たとえ失敗をしてしまっても、自分の行動がチームに迷惑をかけてしまうということを経験することで、子どもたちに責任感が育っていきます。これはサッカーの現場だけでなく、学校や家庭でも育むことができますよね。

~感謝の心~
仲間と良好な関係性を作り上げるうえでも感謝の気持ちを伝えることは大切です。これはサッカーの現場だけで育つわけではありません。家庭の中でも伝えられることだと思いますから、日常の中でも『ありがとう』が伝えられると良いですね。

子どもたちのサッカーにも『社会』があります。その小さな社会の中で求められることは大人の社会であっても変わりません。サッカーだから特別ということは何もないのです。

勝ち負けだけではない大切なことを身に付ける

サッカーの勝ち負けや結果は、子どもたちの成長の一部でしかありません。結果だけで判断すると、努力の価値を見失いがちです。練習に一生懸命取り組まず、たまたま勝ってしまうこともあるでしょう。でも、それは危険な罠。結果だけを追い求めると、「勝てばいい」と安易な道を選び、良い習慣は育ちません。

一方、懸命に練習し、仲間と汗を流したのに結果が出ないこともあります。そんなときこそ、取り組む姿勢をしっかり評価してあげましょう。「よく頑張ったね」と声をかけ、過程を認めることで、子どもたちは次への一歩を踏み出す勇気を得ることができます。サッカーは、努力を重ねる姿勢が未来を切り開くことを教えてくれます。勝ち負けを超えたその経験が、子どもたちの心に強い根を張り、人生を豊かにするのです。

保護者も一緒に楽しもう!

~子どもを通した貴重な出会い~
サッカーは子どもたちだけのものではありません。保護者の皆さんも一緒に楽しむことで、チームでの活動はもっと楽しい時間になるでしょう。試合前後のちょっとしたおしゃべりの時間、子育ての悩みを共有したり、時にはクラブで親子イベントが開催されることもあるかもしれませんね。
保護者も一緒になってサッカークラブの時間を楽しんでください。子どもたちを通して出会った同志のような存在です。ぜひ、一緒になって楽しんでみてください。

~ポジティブな声援~
前向きな応援の姿勢は子どもたちに安心感を与えます。逆に、批判や過度なプレッシャーは子どもに重荷になってしまうこともあります。保護者同士が楽しむ姿勢と雰囲気を作り上げれば、子どもたちもスタンドも笑顔で溢れます。保護者が楽しそうにしていると、子どもたちも「サッカーをやっててよかった!」と感じ、同じ方向を向いて進んでいけるでしょう。

まとめ

~子どもたちと一緒に大人も成長しよう!~
サッカーは、子どもたちだけでなく、指導者や保護者にとっても成長の場です。指導者が子どもたちの可能性を引き出し、子どもたちがグラウンドでサッカーを楽しみ、保護者がそれを温かく支える。この三者がお互いを尊重し、同じ方向を向くことで、チームは円滑に運営され、子どもたちが成長していくのだと思います。

勝ち負けだけじゃない。努力の喜び、仲間を信じる力。サッカーは、子どもたちに人生で生き抜くうえで大切なことを教えてくれます。そして保護者が一緒に楽しむ雰囲気を作り、指導者と保護者が良好な関係を築くことで、チームはもっと温かく、強いものになっていくでしょう。

時にはお互いの想いがぶつかってしまうこともあるかもしれません。ただそれも子どもたちの成長を願ってのこと。忘れてはいけないのはお互いがお互いを尊重し、理解しようとする気持ちなのだと思います。
子どもたちがグラウンドで輝く姿を見ながら、一緒に楽しみ、支え、成長していきましょう。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル

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