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【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】サッカー上達にはサッカーから離れること?!

サカママ読者の皆様、こんにちは!大槻です。
朝晩の涼しさに秋の訪れを感じるようになってきました。少しずつ過ごしやすい気候になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?

セレクションシーズンも本格化してきましたが、今回は、今年セレクションを受ける方も来年以降に受ける方も考えてみて欲しい『サッカーが上手くなりたいなら、サッカーから離れてみる』という視点を持つことについてお話をしたいと思います。

低年齢化する習い事…子どもに余裕はある?

 

『最近、伸び悩んでいるんですよ…何か良い練習はありませんか?』

こんな質問を保護者の方から受けたことがあります。そこで詳しく話を聞いてみると、サッカーよりもお子さんの生活サイクルが気になりました。所属チームの練習や試合、サッカースクール、走り方教室を入れると週7回の活動をしているとのこと。

週7回の活動は極端な例かもしれませんが、今は幼い頃から習い事を複数していて、週の予定がギッシリ詰まっているというお子さんも少なくないと思います。

習い事が低年齢化してきた背景には私たちを取り巻く環境、社会が変わってきていることも影響していると思います。特にスマートフォンの普及やメディアの在り方が大きく変わったことで、様々な情報が手軽に得られるようになりました。
親御さんたちも、我が子のために何ができるかを考え、色々な情報を探っていることかと思います。プロとして活躍しているスポーツ選手が、幼少期からそのスポーツに慣れ親しんでいたという話を聞くと、「うちの子にも早くから習い事をさせよう!」と思う方も多いでしょう。

しかし、大人の思いだけで進んでいく活動は子どもの成長に悪影響を与えることもあります。子ども達の身体の疲労、心の疲労や成長についても考えなければならないのではないでしょうか?

子どもは自分の疲れに気付きづらい

『子どもは疲れ知らず!』
『楽しんでやっていますから!』

そう思っていても、活動頻度が多くなれば身体に疲労が蓄積されていきます。大人であれば自身の疲労に気付いて適度に休息を挟むこともできますが、子どもは自分自身の疲労に気付かないことも多いです。お子さんが疲れているのに練習を続けてしまい、怪我をしてしまった…という経験がある方もいるのではないでしょうか。子どもの疲労については周囲の大人が気を配らなければいけません。

具体的に言えば、我々指導者は適度な活動頻度、時間をコントロールする必要があり、保護者の皆様は家庭での食事や休養について気を配ることです。
『トレーニング』『栄養』『休養』の3つのサイクルを周囲の大人がコントロールしてあげることで心身の成長が促され、トレーニングの効果が増していくのだと思います。

『心の休養』のためにも、家庭ではサッカーから離れたアプローチを

 

実は、3つのサイクルの中で私自身が最も大切にして欲しいと考えているのは『休養』です。これは、ただ単純に『身体を休める』という事ではありません。

チーム活動や習い事の中でのサッカーは、指導者の管理下の中で約束事があり、チームとしての役割があります。そこには緊張感があり、チーム内での競争もあるでしょう。公園で仲間と行う、強制されない遊びの中でプレーするのとは違います。 常に良いプレーを期待され、勝利を求められていれば、子ども達の『心の疲労』も蓄積されていきます。

チームや習い事のサッカーでは、緊張感を持って活動している子どもたち。だからこそ、家庭ではサッカーから離れたアプローチが必要です。
自宅に帰ってから親子でビデオを見ながら反省会をしているという話を聞くこともありますが、プレーのダメ出しをされれば子ども達は逃げ場がなくなってしまいます。そんな保護者の方を見て、「カラオケや釣りにでも行ってください!」と話したこともあります(笑)。

家庭では出来るだけサッカーから離れたアプローチをしてあげることで、逆にサッカーへの集中力を高めることが出来ると思います。
一緒に映画を見たり、料理をするのも良いかもしれません。サッカーから離れて、子ども達との時間を共有することで、気分もリフレッシュできます。身近な保護者の方の失敗談なども興味深く聞いてくれることでしょう。

サッカーが上手くなりたいなら、サッカーから離れてみる

『サッカーが上手くなりたいなら、サッカーから離れてみるという選択肢を持つ』という考え方は、遠回りのような印象を持たれるかもしれません。
しかし、詰め込み型の教育よりも子ども達自身が夢中になれるように環境を作ってあげることが大切だと思うのです。

『努力は夢中に勝てない』という言葉をよく聞きます。まさにその通りなのです。夢中を作り出すための『心の休養』は出来ていますか?
絵を描くこと、音楽を聴くこと、友達と遊ぶこと、虫を探すこと、海に入ること……何でも良いと思います。
子どもの好奇心を刺激して視野を広げる事は、サッカーに対する取り組みも変えていきます。強制されない自由な環境の中で育つアイデアを大切にしてあげたいと思うのです。
自分を表現するフィールドを増やすこと、そしてそれを大きくしてあげることで社会性、協調性、自己肯定感、問題解決能力などを養うことが出来ます。
技術や戦術以上に必要な要素を養う上でも、サッカーから離れてみる視点を持ってみてはいかがでしょうか?

メイン写真提供/株式会社ベースボール・マガジン社

WRITER PROFILE

 大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー