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サッカーやりすぎ?! 上達のために必要なことって?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは!大槻です。
少しずつ春の訪れを感じる季節となってきました。卒業や進級、新年度に向けての準備で忙しくされている方も少なくないと思います。4月からのスタートをより良いものにするために、子どもたちの生活環境、特にサッカーのスケジュールを今一度、見直してみませんか?

変化する子ども達の生活環境

 

今から十数年前、自分が子どもだった頃を振り返ってみると、学校から帰ったらランドセルを置いてすぐに外で出て行ったものです。待ち合わせの公園には、仲の良い友達だけでなく、友達の兄弟とも一緒に遊んでいました。強制されない自由な遊びの中で、友達と一緒に遊べるルールを作ったり、お兄さんやお姉さんの優しい言葉に憧れを抱くこともあったかと思います。そんな小さな社会の中で自然と様々なものを身に付けていったように思います。今子育てをされている親御さんたちも、同じような経験がある方は多いのではないでしょうか?

サッカーに関して言えば、今のようにサッカーを専門に指導する人はほとんどいませんでした。近所のお兄さんのプレーを一生懸命見て真似たものです。目で見たものを想像してイメージして、自分なりの形が出てきたりして、そんな余白の中で成長していったように思います。

さて、今はどうでしょうか?

子ども達の生活は随分と変わりました。昔のように強制されない自由な環境の中で成長していく機会は減ってきたように感じています。加えてSNSなどの普及により、様々な情報が簡単に得られる時代です。自分で考えて、想像して創造する機会は格段に減ってきているように思います。

とはいえ、ここで必要なのはいつの時代が良い・悪いの議論ではなく、今の時代に合った子ども達へのアプローチではないでしょうか。

クラブ、スクール…サッカーの活動頻度、多くなりすぎていない?

 

子ども達の生活環境の変化に合わせて、私が気になっているのは「サッカーをやり過ぎてはいないか?」ということです。

所属クラブの活動に加えて、スクールにも通っているというお子さんも少なくないかと思います。中にはスクールを掛け持ちし、クラブの活動と合わせて週7回の練習をしているという話も聞きます。
「子どもがやりたがるので...」とは言うものの、子ども達の小さな身体には大きな負荷が掛かります。身体に負荷が掛かれば怪我のリスクも高くなりますし、中には慢性的な痛みを抱えてサッカーを続けているお子さんもいます。

また、クラブやスクールでの活動は、強制されない自由な環境の中でのサッカーではありません。子ども達は緊張感の中でサッカーを続けることになります。環境によっては、ミスが許されないところもあるかもしれません。競争の中で育まれる部分もありますが、まだまだ心が未成熟な子どもには精神的な負担となってしまうこともあるでしょう。

怪我のリスク、心の疲労の両面から考えてもサッカーばかりの生活にはリスクが伴います。練習すれば練習をするだけ上達すると思われがちですが、身体を休めるだけでなく心の休息も上達には必要不可欠です。小学生くらいのお子さんだと、疲れていてもサッカーが好きだから無理をしてしまう、というケースも少なくありません。そんな時は、親御さんが活動頻度をセーブする必要もあるでしょう。

活動頻度については各クラブやスクールによって考え方も様々ですし、具体的な目安を提示することは難しいのですが、私個人の考えとしては低学年週2回、中学年3回、高学年4回くらいかなと感じています。

日常の遊びでも身体をスムーズに動かすベースが作れる

 

「そうは言っても、子どもはサッカーをやりたがるし、上手くなってほしいしなぁ…」と思う方も多いですよね。
では、少し違った角度からアプローチしてみるのも良いのではないでしょうか? クラブやスクールでの活動以外にも、サッカーの上達に繋がることはたくさんあります。

よく低学年のお子さんをお持ちの方に、「どんなトレーニングをすれば良いですか?」と質問されることがあります。実際にどんなトレーニングが必要かは一人一人見てみないと分からない部分もあるのですが、この質問には毎回アスレチックをおすすめしています。公園などにあるフィールドアスレチックのことです。

この回答を聞くと、「?」の表情を浮かべる方がほとんどなのですが、フィールドアスレチックは全身を使って楽しみながらトレーニングが出来る最高の環境です。不規則な仕掛けに対して、解決方法を自分で想像してクリアしていかなければなりません。自分で解決法を導き出していくことに自信を付けていく子どもも多いことでしょう。

運動は自分が頭でイメージした動きに合わせて身体を操作しなければなりません。頭ではイメージ出来ていても身体を操作することが出来なければ運動は出来ませんし、専門的な動作の習得にも時間が掛かります。

つまり、アスレチックを通して得られる様々な動きが身体を操作するためのベース作りになる訳です。サッカースクールに通ってボールを扱う技術を習得するだけでなく、日常の遊びの中で身体をスムーズに動かせるようにしておくことが、専門的なトレーニングの効果を高めることに繋がるのだと思います。

★参考記事:外遊びにサッカー上達のヒントあり!?

忙しい子ども達、だからこそ「自由な環境」も活かそう

今の子ども達は、とても忙しい毎日を過ごしています。勉強にサッカーと結果を求められる場面が非常に多くなってきています。サッカーだけではなく、色々な習い事をされている子たちも多いと思いますが、時にはそのスケジュールを見直してみることも必要かもしれません。

強制されない自由な環境の中で、自分のアイデアや感情を自由に表現する場所があっても良いのではないでしょうか。サッカーが上手くなるために必要なことは、グラウンドの外にもたくさんありますよ。

WRITER PROFILE

 大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー