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小学生から考えたい中学生年代の捉え方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

小学生から考えたい中学生年代の捉え方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
10月に入ってから、朝晩はだいぶ涼しくなってきました。寒暖差で体調を崩しやすい気候ですから、無理をなさらずに身体を大切にして過ごしてくださいね!

さて、今回はこれまでの指導経験を踏まえた上で『中学生年代に必要なこと』について整理していきたいと思います。次年度の中学生年代のサッカーにおける進路についても方向性が見えてきた時期かと思いますので、一緒に考えていきましょう。

中学生年代に起こる3つの変化

環境が変わるということは、大人であってもストレスが掛かるもの…。子ども達にとっては本当に大きなことです。これまでの経験から中学生になると子ども達には大きく分けて下記の3つの変化が起こります。

生活の変化

『環境・時間・社会との接点』
進路選択の三角形を考慮して負荷の掛からない生活が理想です。中学生になると生活時間が遅くなりがちです。心身の成長のためにも規則正しい生活を過ごせるようにしましょう。また行動範囲が広がり、社会との接点も多くなってきます。多くの人との関わりの中で自分がいることを認識して行動していかなければなりません。

心と身体の成長期

『第二次成長期・思春期』
身体が大人に近付いていくだけでなく、心の成長もあります。思春期と呼ばれる心が不安定になる時期もありますから、子ども達の様子を見極めながら見守る姿勢が大切です。

勉強との向き合い方

『中間・期末考査、高校受験』
試験の範囲が広くなるなど、サッカーと学業との両立に頭を悩ませる子が多くなってきます。日常から勉強をする習慣を身に付けておく必要があるでしょう。高校進学をサッカーで!と考えている子も両立をしておくことで選択肢が広がってきます。自分の可能性を拡げるためにも学業との両立は必要です。


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3つの変化は、サッカーだけに関わらず多くの子ども達が経験することです。そしてこれらに加えてサッカーにおいても変化が起こってきますから、中学生になってから半年くらいは生活に慣れることに精一杯だと思います。あまり無理をしてしまうと不要な怪我が増えてしまったり、心と身体のバランスを崩してしまったりすることもあります。ご家庭でも子ども達が充実した時間を過ごせるような環境を作ってあげてください。

■サッカーに関する3つの変化

◎8人制から11人制

ジュニア年代では個人が際立つことが多く、それだけで解決してしまうことも多いと思います。しかし、11人制になるとチームメイトとの関わりが非常に重要です。チームメイトと協力をしていくことの重要性を認識していく必要があります。

◎ジュニアコートから大人コート

コートのサイズが変化することで、単純に走る量も増えてきます。指導者としては、子ども達の発育発達に応じて段階的に負荷を上げていくことが求められます。

◎サッカーボールの変化

サッカーボールも4号球から5号球になって、大きさも重さも変わりますから、身体が慣れないうちは負荷が高くなってしまいます。

 

高校年代への準備期間

大会で勝っているクラブ、有名なクラブに入れば成長が約束されているか?と言われるとそうではありません。そのようなクラブでの活動は〝日常のトレーニングの強度や刺激が多い方が成長するだろう〟と考える方も少なくないかもしれません。もちろん大切な要素の一つではあると思いますが、高校年代に向けて中学生年代に必要なことはそれだけではありません。

自己肯定感を育む

子ども達の自己肯定感を育むという視点はとても大切です。どこのクラブでプレーするか?ばかりがクローズアップされがちですが、大切なことは〝必要とされているという実感〟が得られるクラブでプレーすることです。思春期の時期に自分自身を認めてくれる、大切にしてくれる環境に身を置くことで自己肯定感が育ち、何事にもチャレンジしていく勇気が育っていくものです。

◎子ども達の成長を考えた時には『鯛の尾より鰯の頭』という考え方も必要です。『華やかで大きな集団の末端にいるよりも、例え小さな集団でもその先頭に立つほうが良い』という意味の言葉です。

学校生活を疎かにしない

サッカーばかりに気を取られてしまって学校生活が疎かになってしまうケースがあります。自分はこれまでどんな選手に対しても、「何かを極めようとするなら、多くの人と違う努力をしないといけないよね?」と話をしています。まずは学校があってのサッカーだということを忘れないでください。学校生活・提出物・宿題・試験・先生との良好な関係作り、友人との時間など、学校だからこそ学べる事が沢山あります。

社会に出ていく準備期間として捉える

心と身体が成長期を迎え、学年が上がっていくと少しずつ大人に近付いてきます。しかし、一見大人に見えてもまだまだ中学生です。出来ないこともありますし、時には間違った選択をすることも多いものです。ですから、出来て当たり前、解っていて当たり前ではなく、物事の考え方、社会における分別を指導していく必要があります。

◎ご家庭から『うちの子、家に帰ると話さないのです...』と聞いたこともあります。特に思春期の子ども達には多いかもしれません。クラブとご家庭が連携して指導していくことも必要かもしれませんね。

 

まとめ

小学生年代のサッカーは大人が管理をして、実行することで出来てしまうところもあります。しかし、中学生年代になるとそうはいきません。なぜなら、自我が芽生えて、自分自身で判断をして行動するようになっていくからです。子ども達が自発的に行動出来るように働き掛けていくと共にグラウンド内外で良いこと・悪いことの基準を示し、良い習慣を身に付けることが大切だと思います。

繰り返しになりますが、どこのクラブでプレーするか?ということだけに注力するのではなく、中学生年代を社会に出ていく準備期間として捉えていくことが、その後の成長に繋がっていきます。自信を持って次のステージに進んでいけるようにサポートしてあげたいですね。大好きなサッカーを通して、やらされるのではなく自発的な行動が出来るような習慣を身に付けていって欲しいと思っています。

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WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル