パフォーマンスアップにつながる"意識"のコントロール
先日中3のA君からこんなご相談がありました。シュートを決めようとしているときのキーパーと1対1の場面でのこと。練習であればしっかり点を決められるが公式戦になると外してしまうとのことです。
練習でできることが本番でできなくなるというご相談は多くあります。そこで今回は「パフォーマンスアップにつながる”意識”のコントロール」というテーマで、本番でのパフォーマンスに影響する”意識”についてを考えていきたいと思います。
本番で実力を発揮できない原因とは?
本番で実力が発揮できないのには様々な要素がありますが、今回のA君のご相談ではこんな原因がありました。
シュートを外すようになったときの状況
まずはA君にいつ頃のタイミングでキーパーと1対1の場面で外してしまうことが増えたのかを聞いてみました。すると「リーグ戦で得点ランキング2位のときに、もうすぐで1位の人に得点が追いつけそうと感じてからシュートを外してしまいます。そのときは、もっと点を取って早く追いつきたいという気持ちです」とのことでした。このとき、選手の中で結果がすごく気になり始めていることが分かりました。
点が取れいてるときとの違い
次に点が取れていたときと点が取れなくなった違いはどこにありますか?という質問をしてみました。「点が取れていたときはキーパーの位置を確認し、キーパーと近くになりすぎる前にシュートができていた。でも点が取れなくなってからはキーパーの位置を見る前にもうキーパーとの距離が近くなりすぎてシュートコースがなくキーパーにはじかれたり、外したりしてしまうことが増えた」ということです。
シュートを外したときに考えていたこと
では最近の試合でシュートを外してしまったときはどんなことを考えていたか聞いてみました。「とにかく決めたい。決めなくちゃダメだって思っています」と、このような答えが返ってきました。
"結果"へ意識を向けることでパフォーマンス低下の原因になりうる
A君に聞いた話の中に"いつもはできるのに本番ではできなくなる"原因があります。この決めたい、決めなくてはという考えは何に向いているのか。それは結果です。結果というものはコントロールできません。結果をコントロールができるのであればいつだって点を取れますよね。このコントロールができないものに意識が向いている状態が自分のパフォーマンスを落とします。
結果を出すために必要なのは自分の行動の質を上げることです。この行動に意識を向けることでパフォーマンスは上がります。しかしA君はこのときどこに意識が向いていたかというと「結果と行動」に意識を向けながらプレーをしていました。
このとき、頭の中では意識を向ける先が結果と行動の2つになっています。2つのことに意識が向いている状態はいつもできることの質を下げます。例えばテレビドラマを見ながら携帯を見ているとドラマの内容が分からなくなることがありませんか?テレビドラマだけに意識を向けていれば内容が分からなくなることはないと思います。つまり集中力が散漫になっている状態になるということです。
"結果"ではなく"行動"だけに意識を向ける
このとき大切なのは結果を出すために自分がどのような行動をとっているとうまくいくのかを明確にしておくことです。A君に結果がうまくいっているときの行動をもう一度まとめてもらいました。「キーパーの位置を確認して距離が近くなる前に、空いているところにシュートをする。キーパーの位置を確認するのはボールをもらう前に一度確認した方が、よりシュートを決められている気がする」とのことでした。そんなA君に、今後は結果を出すための行動だけに意識を向けてやってみようと伝えました。
その後A君からこんな報告がありました。「以前のように点が入るようになった!あと、点を取るための行動が他にも分かってきた!」
パフォーマンスアップにつながる意識と行動の整理
意識を向ける先をしっかりと整理することがパフォーマンスアップにつながります。結果を出したいという気持ちが決して悪いわけではありません。勝ちたい、点を取りたい、いいパフォーマンスをしたい。こんな気持ちになることはあると思います。その中で大切なのは結果を出すためにどんな行動をするのか。勝ちたいと思えば勝てるわけではなく勝つための行動を明確にしてみましょう。
お子さんが「結果」に向けて意識が強くなっているときは「結果」を出すための行動整理と意識を向ける先を明確にしてあげるとパフォーマンスアップにつながります。お子さんに質問をしながら頭を整理するお手伝いをしてみてください。