【メンタル×睡眠】夢を見た方がトラウマに強くなる?!夢の役割とは?
みなさん、こんにちは!
【スポーツ×睡眠】をコンセプトにアスリートの睡眠サポートを行っている、スリープトレーナーのヒラノマリです。
今回は、メンタル×睡眠をテーマに、夢の役割についてお話したいと思います。
⇒以前の思春期のメンタルと睡眠についてはこちらから
レム睡眠の役割は、心のメンテナンス
夢は、睡眠の中でもレム睡眠中に見ると言われています。
反対にノンレム睡眠は、成長ホルモンの分泌にも影響を与え、身体のメンテナンスをする睡眠というお話を以前コラムでもお話していますが、レム睡眠の役割はノンレム睡眠に比べてメディアや書籍でも取り上げられる機会が少なく、『ノンレム睡眠=深い睡眠』『夢を多く見るのは睡眠が浅いから』と認識されがちです。
実際に、選手の方からも試合で悔しい思いをした後に寝つけても悪夢を見て目覚めてしまったり、スランプで思うようにプレーができないとき、怪我で長期離脱を強いられたときなどに夢に関する相談を多く受けます。
しかし、レム睡眠にはノンレム睡眠にはない、大きな役割があります。
それは、心のメンテナンスです。
レム睡眠中は、ノルアドレナリンと呼ばれる不安を誘発するストレスホルモンが脳内から完全になくなります。
これは1日の中でもレム睡眠中のときだけで、脳内で唯一ストレスが存在しない時間です。
このストレスホルモンが脳内に存在しないレム睡眠の時間に、脳はその日1日の感情と記憶の処理をしているのです。
よく朝起きてみたら、昨日何が原因でケンカをしたのか忘れてしまっていることがありませんか?
これもレム睡眠中に不快な記憶が処理されているからなのです。
夢によって心の傷が癒える
悪夢によって目覚めると誰でもいい気持ちはしませんよね。
選手によってはストレスが強くかかっているときに、数か月に渡って同じ悪夢に悩まされる選手もいらっしゃいます。
しかし、悪夢にも意味があり、少しこの悪夢のメカニズムを理解できると心が軽くなるものです。
シカゴ大学のロザーンド・カートライト氏の研究によると、
トラウマになるような辛い経験をした直後に、その体験に関連する夢を見た人だけが、その後に抑うつ状態を脱し、心の問題を克服して、その経験をしてから1年後には完全に回復したと判断できるまでになったという結果が出たのです。
一方、同じ夢でも辛い経験そのものの夢を見なかった人たちは、その体験を乗り越えることができず、1年経っても抑うつ状態が続いてしまったという結果になってしまいました。
この研究から、辛い経験をした直後にそのときの感情を彷彿させる悪夢を見ることで、辛い経験とそのときの感情を切り離し、ネガティブな感情を処理して心を癒していたということが明らかになりました。
夢もただ見ているのではなく、悪夢を見ることで心のメンテナンスをし、トラウマや嫌な記憶を克服するための大切な経過と考えると、少し悪夢に対する捉え方も変わってくるかもしれません。
実際にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者さんは、レム睡眠が乱れているという特徴もあり、レム睡眠を安定させ、夢を見ることでPTSDの治療に役立てることができないかという研究が海外では進められているほど、レム睡眠や夢が持つ心のメンテナンスをするチカラは注目されています。
いかがでしたでしょうか?
もしお子さんが悪夢にうなされていたり、怖い夢を見て落ち込んでいるときに少しこういったお話をして、お子さん自身もママも心が楽になったら幸いです!