夏休みの過ごし方に見る日米サッカー文化の違い
みなさまこんにちは。カリフォルニア在住サカママライターのKyokoです。
酷暑の夏をいかがお過ごしでしょうか? 今でこそ手がかからなくなった我が家の子どもたちですが、数年前までは学校が夏休みに入ると朝から晩まで騒々しく、三日もすればゲンナリしていたことが懐かしく思い出されます。
日米の“休み”に対する考え方の違い
ところで、アメリカに来て驚いたことのひとつが夏休み中のサッカーとの向き合い方です。
多くのクラブチームが6月〜8月の間に1カ月以上の“完全なオフ”を設けます。選手たちはこの期間、家族と旅行に出かけたり、他のスポーツを楽しんだり、まったくサッカーから離れて過ごすことも珍しくありません。例に漏れず我が家の息子もゴルフ、ピックルボール、SUPに加え、仲間内で山間のリゾートハウスに滞在して自然を満喫するなど、文字通り「完全なオフ」を楽しんでいるようです。
日本では、夏休みは「みっちり練習ができるチャンス」と捉えられている気がします。猛暑のなかでも練習が続き、合宿に試合にとスケジュールはびっしりなんてチームもあるかと思います。現に息子のチームでもお弁当持参で午前午後の2部練習が行われていました。子どもたちのがんばりには本当に頭が下がりますが、「夏休みなのに休めていないのでは?」と心配になることもあります。
たしかに、日本の「練習三昧の夏休み」では、技術や体力を維持しやすく、夏休み終了時にコンディションの差が出にくいに違いありません。そして、チームとしての一体感も保ちやすいなどメリットもあると思います。なかにはスケジュールが組まれているから何も考えずに練習に参加している、という選手もいるかもしれませんが、決められたスケジュールで練習があることは安心ですよね。それに「努力は報われる」「人より練習したぶん上手くなる」という価値観が、選手の支えになっている気がします。
一方、アメリカの「リフレッシュ重視のオフ」では、心と体をリセットする時間をしっかり取ることで、シーズンが始まったときにまた新鮮な気持ちでサッカーに向き合えるように思います。また、他のスポーツや趣味、家族との時間を大切にすることで、視野が広がり、バランスの取れた人間的成長につながっていると感じます。もちろんそのぶん、自主性や自己管理能力が求められます。なので誰かに言われなくても自分でジムに行ったり、チームメイトと自主練をしたりしています。怠けようと思えばいくらでも怠けられる環境なので、自分が試される時期でもあります。
ちなみにこちらでは秋から新シーズンが始まります。昨シーズンMLSアカデミーに所属していた息子はプレー面で成長を実感していたものの、年代別アメリカ代表選手が多く在籍する中、試合出場機会が十分でなかったため来シーズンは移籍を決断しました。
新チームではここ数年付けていた背番号14は既に他の選手が付けているとのこと。残っている番号の中から選ぶよう言われたらしいのですが、息子はリスト外の10番をゲット。と言うのも、本来このチームでは10番は争奪戦になるので存在させていないらしいのですが、監督が「大量得点を約束するなら特別に」と10番を付けることを許可してくださったようです。
謙虚さも大切ではありますが、どんなことにも臆しないところ、そして既に本気で中心選手として活躍する気でいるポジティブさは我が子ながら素敵だなと感じます。そして自分を信じることの強さは実際にプレーにもつながる気がして、親の私も新シーズンを楽しみに感じています。
最後は親バカになってしまいましたが、今月も最後まで目を通してくださりありがとうございました。また次回お会いできることを楽しみにしております。