メインコンテンツに移動

アメリカ少年サッカー記7 プロチーム育成プログラムの狙い

ユタ州にはプロサッカーチーム、レアルソルトレイクがあります。数年前に、このクラブが小・中学生向けにサッカーの育成プログラムを始めました。プログラムは州を3地域に分けて展開していますが、ちょうど住んでいる街もその1拠点になり、クラブのユース育成コーチ陣がこの地域周辺の子供達に無料で指導してくれます。1年のうち、リーグ戦などがあまり忙しくない時期に、1〜2ヶ月を1セッションとして週一回の練習機会です。10歳くらいから14歳までの選手を選抜し、多いシーズンには1学年で20名ほど集まります。

息子も、その育成プログラムに参加する機会を得て、普段の自分のチームでの練習に加え、育成プログラムの練習にも参加してきました。プログラムは全く費用がかからず、参加者はTシャツ、ジャケット、ショーツ、ソックスまで無料で支給されます。さらにライセンスを持つコーチから直接指導を受けられますが、クラブ側がこのプログラムを提供するのには理由があります。プログラム始動のセレモニーで、プロチームのオーナーであるハンセン氏は、「この育成プログラムは、どの家庭環境の子供でも、才能があれば無料でより高度な指導を受けられるようにアレンジしています。こうやって育てた子供達が、将来、地元出身選手としてプロ選手になり、チームに貢献することで、クラブにフィードバックしてくれることを期待しています。」と話しました。実際に、そのセレモニーには、レアルソルトレイクのアカデミー出身で、クラブの主力として活躍する若手選手も出席し、ロールモデルとして紹介されました。さらに、アカデミーで育った選手が海外に移籍するようになれば、クラブ側にも移籍金が入るため、結果的に育成プログラムに投資した費用を回収するだけでなく、次の世代の育成プログラムへと再投資できます。クラブ側にはこういったビジネスモデルがあり、また子供にはキャリアパスの明確なビジョンがあるため、高校生から始まるアカデミーやトップチームへの契約を夢見て、プログラムに招待された子供達は積極的にこの練習に集まります。中には、1時間半かけて練習に来る子供もいて、各家庭の熱心さが伺えます。

クラブは、育成プログラム以外にも地域の少年少女のサッカー育成に貢献しています。コンペティティブチームに所属するには、毎年、ユタ州のユースサッカー協会に登録が必要ですが、そのウェブ登録の際には、レアルソルトレイクの試合観戦チケットが安く購入できます。登録した子供のチケット代は10ドル(およそ千円)ほど。そのため、夏休みのホーム戦は子供の観客がとても多いです。このように、子供達のサッカーに深く入り込んで、小さいうちから練習機会や試合観戦を通して、地元クラブのファンとして育て上げていく。そのクラブ戦略は、アメリカらしい合理性も感じ、我が家もすっかりレアルソルトレイクファンになっています。

「アメリカ発 少年サッカーの育成事情」https://utlogan.blog.fc2.com/ でも執筆中

WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本 めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中

関連記事

  • サッカー王国静岡生まれジュビロ育ち 「お父さんってサッカー選手なんでしょ?」の葛藤。
  • イギリスサッカー便り【我が家の移住にまつわるお話】
  • アメリカ少年サッカー記13 「ユースサッカーを支えるスポンサー」
  • 夢の実現〜 サッカーのある生活
  • イギリスサッカー便り【冬場のグラウンド事情】
  • 夢の実現〜 もどかしさを胸に、サカママ を通して託す想い