「サカママの役割」と、それを実行する一番の方法!
サッカーの母国イングランドから発信! ロンドンで女子サッカーコーチを務める筆者の経験から考える「サカママの役割」とは? そして、それを実行するための最良の方法とは?
「サカママの役割」
サカママ読者のみなさんに質問です。
「あなたが思うサカママの役割ってなんですか?」
・子どもの送迎をすること
・練習する姿を見守ること
・試合を観に行って応援すること
・栄養バランスを考えた食事を作ること
人それぞれに思う自分の「役割」があると思います。
筆者の考えるサカママとしての私の役割は、
「サッカーを好きになり、楽しむこと」です。
「好きこそものの上手なれ」とはよく言いますね。その通り、サッカーを好きになれば、子どもはどんどん楽しみながら成長していきます。
ということは、それをサポートするママ(もしくはパパ)もサッカーを好きになって一緒に楽しめば、子どもはさらに成長するということは、言うまでもないですね。
それぞれの思う「役割」があるように、どのように「楽しむか」も人それぞれです。筆者が思う一番の方法は、
ずばり「サッカーをすること」です。
今回のコラムでは、そのように考えるようになった経緯を、筆者の経験をふまえてお伝えします。
と、その前に自己紹介を少し。
あらためまして、カリアゲしょうこです。2025年1月からWEB版のコラムを担当することになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
2020年から夫の海外赴任に帯同し、ロンドンで暮らしている一男一女の母です。
渡英時6歳だった息子が「フットボールサムライアカデミー」に所属してサッカーを始めたことをきっかけに、サカママとなりました。
私自身は小学生のころに少しサッカーをしていたことはあるものの、ほぼ初心者レベル。しかし実は昨秋から、同アカデミーで小学生女子チームのコーチを務めています。また、地域の大人女子チームの練習にも参加し、プレーヤーとしてもサッカーを楽しむ日々です。
「サッカーの母国でサッカーをしよう!」
では、ここから本題に入りましょう。
上述したように、息子は6歳(幼稚園年長)で渡英してからサッカーを始めました。
「せっかくサッカーの母国イングランドに来たんだから、サッカーしないともったいない!」
という安易な理由で、夫と私は息子にサッカーを勧め、息子もサッカーに興味を持っていたので、親子の意見は早々に合致。
家から徒歩で通える場所に、日本人経営による「フットボールサムライアカデミー」があることをママ友から教えてもらい、迷わず加入させました(ちなみに、イギリスでは“サッカー”ではなく“フットボール”と言います)。
初めての練習に参加した息子は緊張した面持ちだったものの、ボールを蹴り始めるとすぐにチームメイトと打ち解けることができました。
渡英時は英語を全く話せませんでしたが、ボールさえあれば、言葉は通じなくても仲良くなれるのがサッカーの良いところ。また、日系チームということで日本人が多く、コーチも日本人だったのでスムーズに入っていけたのがよかったのだと思います。
週に一度の練習と毎週日曜日の試合を重ねていくなかで、息子はどんどんサッカーが好きになり、チームメイトやその家族とも親しくなっていきました。
サッカーを通じてたくさんの出会いが生まれ、息子のみならず私たち家族にとっても、今やサッカーは我が家のロンドン生活になくてはならないものとなっています(と言いつつも、残念ながら娘はサッカーに1ミリも興味を持っていませんが…)。
観るよりもやるほうが楽しい! きっかけはママ向けフットサル
息子のサッカーに付き合う日々を楽しんでいたものの、それがすぐに
「サッカーが好き! 楽しい! 自分も一緒にやってみよう!」
という気持ちや行動につながったわけではありません。
そう思い始めたのは、息子がサッカーを始めて3年も経った昨年春のこと。息子の所属するアカデミーがママ向けフットサル&フィットネスプログラムを始めたことがきっかけでした。
「お母さんたちにもサッカーをする機会を提供することで、子どもたちが日頃どれだけ一生懸命にプレーしているかということを感じてほしいし、何よりも、子どもたちと一緒にサッカーを楽しんでほしいんです」
クラブマネージャーは、ママ向けプログラムを始めるにあたり、そのように言っていました。
そうして毎週金曜日に1時間、他のママたちと一緒に体を動かし、ボールと戯れる習慣ができると、私はクラブマネージャーの思惑にまんまとはまり、
「サッカーって、観るよりも自分でやるほうが断然楽しい!」
と感じるようになったのです。
40歳で始めたリフティング練習がもたらしてくれたもの
また、ちょうど同じころ、息子がリフティングの練習を始めたので、せっかくなら私も一緒にやってみるか! と、リフティングにも挑戦してみることに。
ボールに触れる時間が増えると、もっとボールを蹴りたい、もっとサッカーが上手くなりたい、と感じるようになり、ついには、子どもが学校へ行っている間に自主練習を始めました。
初めのうちは3回続けるのがやっとだったリフティングも、「40歳で40回」を目標にしていたら、半年かけて50回以上できるように!!!
よもや40代になって、ロンドンの公園でひとり黙々とリフティングの練習をするなんて思ってもみませんでしたが、始めてみたら、大人になっても、ママであっても、まだまだ初めてのことに挑戦できるし、成長できることを再認識。
なにより、サッカーって楽しい!!! を日々、あらためて感じています。
そして気づけば、初級のコーチングライセンスを取って、息子と同じアカデミーの女子チームのコーチにまでなってしまいました。人生、何が起きるかわかりません(笑)!
自らサッカーを始めたことで、私は息子の気持ちを追体験していることに気がつきました。
空が暗くなり始めても、夕飯の時間が近づいてきても(ママなので食べる時間ではなく作る時間ですがw)、「もっとボールを蹴っていたい!」という気持ちを、自分ごととして感じていたんです。
息子にいくら「もうそろそろ17時だから帰るよ」なんて言ったって、全く帰る気配を見せてくれない理由がわかってしまったので、本当に時間に迫られているときと冬場(ロンドンの冬は寒くて暗いので待てませんw)以外は、少し待てるようになりました。
また、自分でサッカーをするようになって、試合中に息子を見る目も変わってきたように思います(これもクラブマネージャーの思惑通り)。
それまで、試合中に「もっと走れる! 最後まで諦めない!」なんて息子に喝を入れていましたが、走り続けることって、本当に辛いんですよね…。
息子は、私がサッカーを始めたことについて「リフティングができることが、サッカーが上手いってことじゃないからね」などと言ってきますが、「マミーは今日何回できた?」とリフティングの回数を私と競うようになったり、息子がYouTubeを見ている横で私がボールタッチを始めると、しれっとYouTubeを見るのをやめて隣で一緒にやり始めたり、私を競争相手として少しは認めてくれているのでは、と勝手に感じています(笑)。
ママだってサッカーに挑戦していい!
自分のことばかり書いてしまいましたが、今回のコラムで私がサカママ読者のみなさんにお伝えしたかったことは、「子どもをサポートするだけがサカママの役割ではない」ということ。
お子さんと一緒に、時にはお子さん以上に
「ママがサッカーを好きになって楽しむ」
ということも、大切な役割のひとつだと筆者は考えています。そしてその手段の一つとして、
「ママだってサッカーに挑戦してみてもいい!」
挑戦してみたら、今までとは違った経験や気づきを得られたり、お子さんとの関わり方にも変化が生まれたりするかもしれませんよ。
今年はお子さんやサカママ仲間と一緒に、サッカーをやってみませんか?
クラブ運営をされている方は、ママ(パパ)向けプログラムを始めてみるのはいかがでしょう?
今年の干支は巳。脱皮して成長する蛇のイメージから「新しいことが始まる年」になるといわれているそうです。このコラムを読んで、
「私も子どもと一緒にサッカーを楽しんでみようかな! サッカーをやってみようかな!」
と思われた方が、お一人でもいらっしゃることを願っています!