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“褒める“に限界を感じたら意識したい子どもの自信を高める言葉かけ

“褒める“に限界を感じたら意識したい子どもの自信を高める言葉かけ

お子さんをたくさん褒めてあげること、それは疑いようもなく大事なことです。私もできればたくさんたくさん褒めてあげたいと日々思っています。でも、毎日懸命に家事、育児、そしてサッカーを頑張る子どものサポートに追われていると、

「あれ?私って最近、子どもを褒めてあげられていないような気がする…」

そう感じて反省しているサカママさんもいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そんなサカママさんたちにぜひ伝えたい、褒める以外の親の言葉かけについてコラムを書かせていただきました。

褒める言葉だけでは子どものやる気は引き出せない?!

サカママ歴が長くなると、いつの間にか子どもを素直に褒めることが少なくなったなと感じること、ありませんか? お子さんがサッカーを始めたばかりの頃を思い出してみましょう。ちょっとボールが蹴れたら、「すごいねぇ!」「上手!」などと拍手喝采。一生懸命ボールを追いかけて走っただけでも「がんばった! すばらしい!」と感激。手放しで喜ぶ親の言葉に、子どもも得意げになって本当に嬉しそうにサッカーに熱中します。

でも、子どもの成長に伴って徐々に褒める言葉は減っていきます。「今日、コーチの話、ちゃんと聞いていたの?」「なんであんなプレイになったの?」「もっと練習しないとダメなんじゃないの?」褒めるどころか、注意するような言葉ばかり。当然子どもの顔も曇りがちに。次第に親がサッカーの話をすると、若干めんどくさそうな態度をとるように。

慌てて、「今日のプレイ良かったよ!」「上手になったね」と再び褒める声かけを増やしても、なんだかもう子どもの心には響いていないような…昔のように素直に喜ぶ表情は見せてくれません。どうしてこんなふうに親は素直に子どもを褒められなくなるのでしょうか。そして褒める言葉は子どもの成長と共に響きにくくなるのでしょうか。今回は、子どもの成長に伴って起こりうる”褒める言葉”の限界について考えてみたいと思います!

親の要求水準が無意識に上がってしまう問題

 

まず、親が子どもを褒めることが少なくなってしまう要因には、親の要求水準が知らず知らずのうちに上がってしまっていることが関係しています。幼い頃はそもそも子どもに対してできると思っていることが少ないため、「え!こんなに強くボールが蹴れるようになったの!」「仲間とパスができるなんてすごい!」と、新鮮な気持ちで見ています。褒める言葉も自然にどんどん出てきます。

ですが、子どもが成長してサッカーのプレイがそれらしくなってくると、「次はあれも!これも!できるようになってほしい」と親に欲が出てきます。だから、子どもが親の期待や要求に満たないプレイをすると、不満な気持ちがふつふつと生まれます。いつの間にか、子どもにかける声かけは毎回ダメ出しから始まるように…なんてことが起こってしまうのです。

客観的には褒められるような素晴らしいプレイでも、要求水準が上がった親にとっては、それはもうできて当たり前だろうと褒めることではなくなってしまう。これは勉強などサッカー以外のことでも当てはまりますよね。せっかく子どもはやる気を持っていたのに、親があれこれ要求することで、逆にやる気を奪ってしまう。この問題は、書きながら自分にも思い当たる節がありすぎて辛いです…(苦笑)。

子どもが親の褒める声かけを素直に受け取らない問題

 

一方、親の要求水準の問題とはまた別で、子どもが精神的に成長してきたことで褒められても素直に受けとめられない、という問題も起こります。これは、褒める言葉が時に、上から評価している、と受け取られる場合があるからです。褒める人と褒められる人、という構図は、褒める側にその意識がなくても、評価する人と評価される人、という上下関係を作る可能性をはらんでいます。

子どもは成長と共に自我が芽生え、自分の考えに基づいて行動したいと思うのが自然です。そのため、親が「今日のプレイ良かったね!」と褒めたつもりでも、子どもは親に良し悪しを評価されたような気持ちになり、素直に受け取らなくなります。更に成長すると、褒める言葉の裏に親の意図を感じ、深読みして反抗する子どももいるくらいです。

例えばこれは私の場合ですが、次男は小学2年生のときに、私がプレイを褒めてもあまり嬉しそうにしなくなりました。その頃から、サッカーの話をすると、「ママはできないでしょ」と言うようになりました。確かにその通り、ママにはできません(涙)。プレイしているのは子ども自身で、ママより断然上手ですからね。この次男の言葉で、私が褒めてもそれは評価されているように聞こえて嫌なんだなということを、子どもから教えられた気がしました。そのときから、サッカーの話をする場合はタテの関係ではなくヨコの関係を意識して、なるべく聞き役になれるよう心がけています(願望)。

子どもの自信が育つ「感謝する」「喜ぶ」言葉がけ

 

原点に立ち返って、そもそもなぜ親は子どもをたくさん褒めてあげたいのか、考えてみました。さまざまな理由があると思います。

  • 自信を持ってもらいたい
  • 失敗を恐れずチャレンジできるようになってほしい
  • 親が「いいね!」と感じた感動をストレートに伝えてあげたい

いろいろな親の想い・願いが込められていると思いますが、根底には子どもが自分自身を肯定できるようなってほしいという気持ちがあると思います。そう考えると、この親の想いを伝えられる言葉は、「褒める」だけではないと思います。むしろ、同じ目線で「感謝する」「喜ぶ」といった言葉のほうが、より子どもには響く可能性もあります。

楽しそうにサッカーをやっている姿を見かけたら、「楽しそうで、見ていて嬉しくなったよ」とか、「毎日頑張っている姿で、お母さんも頑張ろうと思えた。ありがとう」など、感謝や喜びを伝える言葉でも、十分子どもは自信を高められると思います。無理やり何かを褒めようと頑張らなくても、存在を丸ごと肯定するメッセージであれば子どもの自信になります。この話は、最新号のサカママvol.49(2024年春号)の特集『新学期に見直したい20のこと-メンタル編』で取材を受けた際にも少し触れていますので、良かったらそちらも読んでみてくださいね。

子どもに合わせてやる気を引き出す言葉を探求しよう

今回はあくまで親と子どもという関係性で、褒める言葉について考えてみました。我が家の場合ですが、最近の長男に響く言葉は、「本当にこんなに大きくなるなんてびっくり!」とフィジカルの成長に感心する声かけ。次男の場合は「あなたのことを信じている」と信頼する声かけ。発達段階もタイプも違う兄弟では、自信を高めてあげられる言葉も違ってくるなと感じているのですが、どちらもやっぱり単純に褒める以外の言葉が増えています。どんな言葉が子どもの自信につながっているのか、子どもの表情を見ながら探してあげられると良いですね。

最近お子さんをうまく褒められないなと感じていたり、褒める言葉が子どもにスルーされているなと感じたりしているサカママさんがいましたら、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

WRITER PROFILE

まりこ
まりこ

臨床心理士/公認心理師/食育指導士
13歳と9歳のサッカー兄弟のサカママ。サカママ歴12年。
長男はおっとりマイペースに地域の街クラブでサッカーを楽しみ、次男は強烈な負けず嫌いを活かし強豪クラブで切磋琢磨。心理の専門知識が役立った経験を踏まえ、実体験や失敗も絡めながら情報を発信していきたいと思います。