「お母さん…ぼく、もうサッカーやりたくない」と言われて ~親子の軌跡~
サカママコラムをご覧のみなさま、こんにちは。元養護教諭でサカママ4年目のAYAです。
日の入りが毎日どんどん早くなり、夕方の子どもたちの送迎の時間にはすっかり真っ暗!まさに「秋の日はつるべ落とし」。季節がどんどん深まっていくのを実感している今日この頃です。
さて、今月はまさにタイトルの通り「サッカーをやりたくない」と、我が家の次男(小4)が伝えてきた一言。この次男の気持ちに私たち家族がどのように向き合い、決断したのかをお話したいと思います。
我が家の兄弟はどちらもスポーツ大好き。だけど性格や特徴は正反対!
過去のコラムきょうだいの存在はサッカーに影響する?!で詳しくお話していますが、我が家の兄弟はそれぞれ特徴があります。
性格 | スポーツをしている時の特徴 | |
長男 | 慎重派/理論から入るタイプ/ミッション課題を与えられたらより生きる/自分のモノにするのは時間がかかるが定着する | コーチの指示や指摘を考えながらプレー(遅れることも) /周りへの要求は控えめに/確実な選択肢を選ぶ/熱い意思は表情や態度にはあまり出てこない |
次男 | 本能型/人見知り皆無/気分・調子に左右される/自然に自分のモノになっている | 考えるより動きが先/突っ込んでいける/同級生年上に全く物怖じせず/集中するとコーチの指示が聞こえないことも |
「こんなに正反対じゃなくてもいいのでは!?」と何度思ったかわかりません(笑)。
我が家は、故郷のJリーグチームの大ファン。シーズン中のリーグ戦は欠かさず自宅でテレビ観戦していましたし、2人とも0歳のうちからスタジアム観戦デビューしていた影響もあってか「サッカーをやってみたい!」と長男は小2でサッカー少年団に入りました。当時の次男は年長さん。赤ちゃんの頃からずっと体力が余りまくりの活発な男の子でした。
サッカー少年団の体験の日には緊張と人見知り全開の兄をよそに、チームの同級生の誰よりも血眼になってボールを追いかけ、全力で楽しみ、そのまま次男も入団を決めました(笑)。しかし、その年に急に転勤が決まって少年団での活動は5か月程となりました。元々走るのもボールを追いかけるのも大好きだった息子たちにとって、サッカーの楽しさを味わえた貴重な期間でした。
転勤のため引越しを経て、新しいクラブチームへ入団
年度途中の引越しとなりましたが、引き続き2人とも「サッカーは続けたい」ということで、転校先の小学校で活動しているチームを探しました。色々調べて検討した結果、ジュニアユースまで在籍選手がいるクラブチームの体験へ参加して、そのまま入団を決めました。クラブチームとはいっても、息子たちはまだ小2と年長さん。仲間と楽しみながら基礎を教わっている時期でしたし、必死にボールを追いかける姿を見守りサポートに徹していました。
ただ、次男は3月末生まれ。幼く気分屋な面が普段からあるので気持ちに波があって、練習や試合に気分が乗らない時は泣きながら行けないと訴えることも。「イヤだ!帰る!!やんない!!!」と泣き叫ぶ次男と私との戦いの姿を目撃していた保護者の方たちは数人ではなかったハズです(涙)。
次男が年長時代は、行くことを渋っていた日でも長男に「みんなとサッカーしたら楽しいよ?一緒に行こう」と誘われると行ける日もありました(しかも大体そういう日は、やり始めたら一番運動量が多かったりして?)。小学校に上がってからは、疲れていたり宿題でめげてしまったりした日は休むことがあっても、週2回の練習にほぼ参加できるようになりました。
気づいていたようで分かりにくかった次男の本当の気持ち
小3の終盤に差し掛かった時に、だんだんと次男の様子に変化が出てくるようになりました。「お腹が痛い」「気持ち悪い」「足が痛い」などと体の不調を訴える日もあれば、さめざめと泣きながら「サッカー休む」と訴える日が増えていきました。子どもからこのように言われた時、私の頭の中では必ず葛藤が生まれます(きっとサカママ・パパのみなさんも一度はご経験があるのではないでしょうか)。
『お腹が痛い?さっきまで走り回っていたのに?学校からも体調不良だったなんて一言も連絡ないのに?絶対練習が始まったらそんなこと忘れて楽しくできちゃいそうなのに?』と、次男が訴えるたびに、相当悩みました。
前述したように、次男は幼くて気分屋で常に全力。次男の子育ては、その個性に向き合うのが私たち両親のテーマでもあります。習い事を渋っている時に子どもの言う通りに毎回休ませていいものか…。無理に引っ張って行かせるのも違うし、親が「やりたくないと言えば休ませてもらえる」相手だと思わせたくない。何より『自分でやりたいと決めて始めたこと』に対して簡単にサボり癖や諦め癖をつけさせたくない。できれば『やる』と決めたことは壁に当たっても乗り越えてやりきってほしい…。
次男の誕生日は3月末という事もあって、ひとつ学年が下くらいだと修正年齢で考える必要がありました。次男が『単純にその瞬間に行きたくないのか?』『サッカーから気持ちが離れてきた故の訴えなのか?』がハッキリ分からなかったのです。
そんな感じで、平日の練習参加に対してムラがある状態が数カ月続きました。しかし、練習でも試合でも動いてはいるものの、明らかに気持ちが入っていない様子。小4の夏に、私は「いいからサッカー行きなさい!」と言いたくなるのを抑えて、時間の許す時に次男へ「サッカーの練習に行けない理由」と「どうして気持ちが入らないのか」を聞いてみました。その時点では「足首が痛かったから」「ぼくはしっかり走っているのに誰からもパスがもらえないから」という理由でした。
次男の気持ちが整理できたタイミングで「どうしたらまた楽しくできるかな?」と問いかけてみました。
「お母さん・・・ぼく、もうサッカーやりたくない」
「ぼくはサッカーをするのは好きじゃない」
「将来、(今興味のある)他のスポーツ選手になりたい。そっちを全力でやりたい」
相当長い時間の沈黙のあとでしたが、しっかり自分の想い・考えを言葉にして言えました。
父親からの息子への思い
普段からの次男の様子を見ていれば、母親の私は「次男はサッカーをやることがあまり好きではないのかも」と感じていましたが、父親である主人に聞くと「途中で辞めさせないで、年度いっぱいまではしっかりやり通させるべき」という気持ちが大きく夫婦で何度も話し合いをしました。主人は「次男はサッカーが好きではない」という事実が受け入れられないようでした。あんなに走るのもボールを追いかけるのも得意なのになぜ?と。
でも、結局は「本人がそのスポーツを好きか」「上手くなりたいという気持ちがあるか」「やっていて楽しいか」が根本的な3本柱だと私は感じています。好きでもないのに、『本人の意思が関係ない大人が決めた期間』まで苦痛な時間を過ごすのならば、好きなスポーツに全力で打ち込んでほしい!と私の意見を主人に伝えました。
その後に男同士の話し合いの末…その月末でサッカーから離れることになりました。次男からの熱く固い意志が感じられて説得されたそうです。同性の親からみた男性ならではの想いと、母親からの想いには少し違いがあるなと感じた出来事でした。
現在の次男の様子
現在、次男は別の競技に毎週、全力で打ち込んでいます。同じ球技スポーツなので、【攻守の素早い切り替え】【仲間を生かすパスの仕方】【パスカットや相手の嫌がる攻撃と守備】などは、約3年半の間にサッカーで培った技術が存分に活かされていますし、何より次男自身が毎週の練習を心待ちにして競技を全力で楽しんでいます。やっぱり好きなことは上達も早い!
これまでに色々ありましたが、イキイキと走り回る次男の様子がまた見られるようになって、母としてはこれ以上ないことだと思っています。小6の長男は現在も、サッカーに熱い気持ちで打ち込んでいますので、皆さんと同じサカママとして変わらずサポートしていきます。私たち親子の体験談をお読みいただきありがとうございました!