きょうだいの存在はサッカーに影響する?!
サカママコラムをご覧のみなさま、こんにちは。小5・小3サッカー兄弟の母、AYAです。
今回のテーマは、個人的によく感じることがある「きょうだいによる性格とサッカーの関係」です。実は私、大学時の卒業論文では『きょうだいの関係と性格の自己認識・悩みの関係について』と題して、きょうだい構成が性格に与える影響などをまとめました。今回はその卒業論文と当時参考にした資料をもとに、きょうだい関係がサッカーに与える影響について考えてみようと思います!
きょうだいの位置と性格の関係
『きょうだいの組み合わせ』と一口に言っても、人数や男女比、双子や三つ子など、そのパターンはたくさんありますよね(兄弟・姉妹・兄妹・姉弟…みんな含めた意味で「きょうだい」と表記しています)。それでは、きょうだいの位置によってどのような特徴があるのでしょうか? 卒業論文作成時に行った調査結果を簡単にまとめたものが、次の表になります。
尚、長男長女はこういう性格!末っ子はこう!と固定してしまうと、子どもそれぞれの良さや個性が見えなくなってしまうことがあるかもしれないので、これはあくまでも「傾向と分析」として読んでくださると嬉しいです。
特徴(※個人差あり) | 自分の性格をどのように感じているか | |
長子 (一番上の子) |
慎重・控えめ・優しい・安定を好む | ・仕事をていねいに失敗がないようにする ・人の迷惑にならないようにする |
中間子 | 空気を読む・マイペース | ・はきはきしていて明るい ・話すよりも聞いている方が多い |
末っ子 | 明るい・活動的・おしゃべり・甘えん坊・せっかち | ・親によく甘える ・自分の意見を主張できる |
ひとりっ子 | 甘えん坊・周りにお願いするのが得意 | ・親によく甘える ・やきもちやきである ・慣れていない場所では大人しくなる |
いかがでしょうか?ご自身やお子さんに当てはめて、当たっているというところはありましたか?
ちなみに、私自身は2人姉妹の長女で、子どもの時から「お姉ちゃんだから〇〇…妹だから〇〇…」という場面を多く経験しました。皆さんも同じような経験があるのではないでしょうか。
長子は、産まれた時には親や他の大人に囲まれています。でも、次の子が産まれたとたんに、「(産まれた子より)大きな子だから」「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」と立場が変わって、長子的な性格が自然に身についていきます。それと同時に、『自分を見てほしいのに、我慢しなければ』という気持ちもずっと持っているでしょう。
逆に2番目以降の子は、いつも前にライバル・自分より上の相手がいて、自然と幼いうちから獲得できることが増える環境にいます。知らず知らずのうちに、上のレベルに挑戦して競争したり見本に触れたりしているのです。しかしその一方で、長子には無い「常に比較対象がいて、追いつけない」という状況が、2番目以降の子に負担になることもあるでしょう。
とはいえ、基本は「みんな違って、みんないい」です。「自分は○○がNo.1だ!これで勝負する!」という自分の武器をしっかり持てば、それがその子のオンリーワンな魅力になるもの。親はその子の特徴をつかんであげて、長所を伸ばしてあげたいですよね。
きょうだい構成はサッカーに影響する?
さて、それでは、きょうだいの存在やきょうだいによる性格の差異はサッカーにも影響を与えるのでしょうか?我が家の子どもたちは、冒頭でも述べたように男子2人兄弟です。それぞれの性格とサッカーのプレーをまとめてみると、こんな感じ…。
性格 | プレー | |
長男 | 慎重派/ミッション課題を与えられたらより活きる/自分のモノにするのは時間がかかるが定着する | コーチの指示や指摘を考えながらプレー(遅れることも) /周りへの要求は控えめ/確実な選択肢を選ぶ |
次男 | 本能型/人見知り皆無/気分・調子に左右される/自然に自分のモノになっている | 考えるより動きが先/突っ込んでいける/同級生年上に全く物怖じしない/集中するとコーチの指示が聞こえないことも |
こんなに正反対じゃなくてもいいのに!と、何度思ったかわかりません…。涙
また、長男のチームと次男のチームの子どもたちの兄弟構成をまとめてみると、次のような結果に。
両チームとも長子と末っ子の割合はほぼ同じになりました。それぞれのチームの子ども達の様子を見ていて受けた印象とは違った結果になったので、少しビックリしました(笑)。
普段の練習や試合、自由時間の過ごし方などの様子を見ていると、「長子は頼もしさがあり冷静なような」「末っ子ひとりっ子は自由気ままで思い切りがいいような」印象を受けたことはありませんか?
「まとめる力があってキャプテンに向いていそうな子」「いつも声が出せて雰囲気を作ってくれる子」「言葉数は少ないけど冷静に状況判断できる子」「難しい局面でも果敢に闘う気持ちを出せる子」…。こういった性格や特徴は、生まれ持ったもの+育った環境やきょうだいの状況によってプラスされた、その子がもつ「オンリーワン」な魅力なのかなと思います。
2022カタールW杯の日本代表選手を分析!
ここでカタールW杯を戦った日本代表選手のきょうだい構成にも注目してみました。その結果がこちら…。
ご覧のように、長子6人、中間子3人、末っ子15人、ひとりっ子2人と、約6割近くを末っ子が占める結果に!そして、日本代表選手のプロフィールを調べていると、サッカーを始めたきっかけに「兄(姉)がやっていたので」という理由をあげている選手も多くいました。
チームの構成や選手の特徴を分析する時は、サッカーの専門知識や戦術、ポジションから考えることが多いと思います。でも、「きょうだいの位置と性格の関係」という観点から考えてみると、また違った側面が見えてきて面白いかもしれません。例えば、私はこの日本代表選手のきょうだい構成を調べながら、「長子がいるポジション(サイド&トップ下)の中に突破できる三笘選手や堂安選手が入っていたのか…」「活動的な末っ子の集まるDF陣に、慎重な判断ができる板倉選手が入っていたのかな?」なんてことを考えていました(笑)。
みんな違って、みんないい!その子にあった声かけを!
「チームプレイ」が必要不可欠なサッカー。サッカー自体のスキル・プレー技術など専門的なことに加えて、子どもたち個々の性格や特徴を踏まえたオンリーワンの武器を生かす子どもの伸ばし方や声掛けの仕方、チーム内の役割を考えることも一つの戦略といえるのではないかなと個人的に感じています。その特徴を捉えるために、きょうだいの構成がヒントになるかもしれません。
例えば、長子の子はコーチや仲間に頼られ認められることから自信を得るので、何か役割をあげて伸ばしていく。「もっとこうしたい、こうだったらいいのに」という気持ちを、リラックスしているときに聞き出してあげるといいかもしれません。末っ子は、持ち前の明るさを生かしてチームの雰囲気づくりができるでしょうし、「ちょっとだけ手の届かない目標」はなんだろうと探ってあげるとメラメラ燃えてくるのではないでしょうか?(この『ちょっとだけ』というのがポイントです。笑)
どの子もみんなオンリーワン。自分らしく自信をもってキラキラ輝けるように、子ども達を見守っていきたいですね。
【参考文献】
- 國眼眞理子、「きょうだいの性別による性格形成」、児童心理、1990年
- 依田明、「きょうだいの研究」、大日本図書、現代心理ブックス、1990年