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不安な領域での行動が成長に繋がる!ラーニングゾーンとコンフォートゾーン

元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第2回目。今回のテーマは「成長に必要なラーニングゾーン」。不安を感じる領域での行動が、成長へと繋がります。

コンフォートゾーンとラーニングゾーン

今回は、「成長に必要なラーニンゾーン」のお話です。人にはそれぞれ「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」という3つの領域があるのをご存知ですか? コンフォートゾーンは「安心できる領域」、ラーニングゾーンは「不安を感じる領域」、パニックゾーンは「恐怖を感じる領域」と言われています。

 

各領域がどういったものなのか、分かりやすいように歌を歌うシチュエーションで例をあげてみましょう。

❶部屋に一人でいるときに鼻歌を歌う
❷カラオケなどで人前で歌う
❸満員の武道館で大観衆の中歌う

まず、❶のシチュエーションはコンフォートゾーンで起きていることです。誰にも聞かれていないし、緊張することもありませんよね。❷は人前で歌うということもあり、緊張を感じたり、不安になる人もいるでしょう。これはラーニングゾーンで起きていることになります。そして、❸がパニックゾーン。急にこんなシチュエーションで歌うことになったら、緊張や不安を通り越して、恐怖を感じてしまいそうです。

こちらあくまで例えで、人それぞれ各領域の広さは違うのですが、何となくどんなものか分かったかと思います。そして、3つの領域の中で最も人が成長し、学べるといわれているのが、ラーニングゾーンです。

海外移籍で感じたラーニングゾーンと成長

それでは、ここからは私の実体験をもとに、ラーニングゾーンと成長についてお話していきます。

英語が話せず不安だらけの海外移籍…。でも行動したことで変化が

私はシンガポール、ミャンマー、インドネシアと海外でプレーした経験があるのですが、実は最初は全く英語が話せませんでした。最初に移籍したシンガポールのクラブでは、外国人に囲まれて全くコミュニケーションが取れない状況…。非常に居心地が悪く、不安を感じていました。まさに、ラーニングゾーンにいる状態です。『早く一人になりたい、話しかけてほしくない』当初そんな風に思っていましたが、サッカーはコミュニケーションが非常に重要なスポーツです。さらに、ディフェンダーの私にとってコミュニケーションが取れないということは大きな問題でした。

そこで私は、コミニケションの第一歩として、まずチームメイト全員の名前を覚えることにしました。毎日会ったときに名前を呼び、挨拶をする。些細なことですが、この行為を繰り返すことで、まずは一緒にいることに少しずつ不安がなくなっていきました。次に簡単な単語で試合中に指示を出すようにしました。そうするともっと詳細を伝えたいと思うようになり、文法を学びはじめました。また、これくらいの時期からは話しかけることも不安ではなくなりました。というのも、英語がわからない私が一生懸命思いを伝えようとすると、チームメイトも一生懸命理解しようとしてくれたからです。この親切な対応にすごく嬉しい気持ちになったことを覚えています。

こうして少しずつ不安が減っていくと、英語でのコミュニケーションも海外での生活も自分にとって普通のものになっていきました。今まで不安に感じていた領域が、一歩ずつ自分が行動を起こすことにより、安心できる領域(コンフォートゾーン)に変わっていったのです。

 

危険な地域に不安を感じても、挑戦を決めた理由は?

そして、海外で数シーズンを過ごし次の移籍先チームを探しているころ、インドネシアのパプア州のチームからオファーが来ました。海外生活に対する不安はすっかりなくなっていたものの、このパプア州は少し事情が違います。というのも、ショッピングモールや映画館などの娯楽はなく、マラリアにかかる危険性があり、テロリストが潜んでいる危険性まであるというのです。おまけにアウェイゲームでの移動には12時間以上かかるような場所で、このオファーを受けた時は非常に不安を感じました。とはいえ、他チームからオファーがなかった私にとっては、プロサッカー選手を続けるには選択肢のない状況です。

そこで私は、親にこのオファーについて迷っていると相談しました。すると私の親は「危ないからやめておきなさい。もう十分頑張ったじゃない」と。先ほどの説明を聞けば、無理もないですよね(笑)。ですが、この時私は親に止めてほしくて、挑戦できない理由が欲しくて相談しているんじゃないか?ということに気づいたのです。不安を恐れている自分に気づき、改めて自分の欲に問いかけ、サッカー選手でいることへのこだわりを確認すると、すぐに挑戦することを決めました。

結果的にインドネシアでは最高の経験ができました。人は優しく、今まで生きてきた中で自然が一番キレイな場所で、新しい文化を学び、人間的に成長できた一年だっと思います。最終的にマラリアにはかかってしまったのですが…(笑)。
ここでもまたラーニングゾーンがコンフォートゾーンに変わり、広がっていくことで、大きな成長を得ることが出来ました。

 

ラーニングゾーンでの行動が成長に繋がる!

最初は不安に思っていたことでも、それに対処するために様々な行動を起こしていくと、それもいつしか当たり前になり、最終的には安心に変わります。 このラーニングゾーンでの行動が非常に重要なのです。 最初は不安な領域であっても、あえてそこに身を置くことで成長し、欲も出てきます

ジュニアサッカーだと、レベルアップのために強いチームに移籍するか、気心の知れた仲間のチームで続けるかといったことで悩まれる保護者の方もいるのではないかと思います。どちらが正解ということはないですが、悩んだ時はラーニングゾーンと成長の関係も参考になるのではないでしょうか。

一つ気を付けなければいけないのは、人によってラーニングゾーンの大きさは違い、パニックゾーンでの経験は自信を大きく失ってしまうこともあるということです。私も先に海外経験がない中ではインドネシアのパプア州には挑戦できなかったと思います。だからこそ、ラーニングゾーンを見極めたアドバイスが必要になります。ラーニングゾーンをしっかりと見極め、一歩ずつ小さなステップを踏んでゾーンを広げることを意識してみてください。きっとお子さんの良い成長につながっていくはずです。

WRITER PROFILE

山下訓広

1986年5月29日、千葉出身
流通経済大学付属柏高等学校、流通経済大学卒業後、J2 ロアッソ熊本に入団。
ロアッソ熊本退団後、シンガポール、ミャンマー、インドネシアと東南アジアでプロサッカー選手として活躍し11年間のプロ生活を経て、現在は株式会社43Labに所属しメンタルトレーナーとしてトップアスリート、ビジネスマン、ジュニアアスリートに向けたメンタルトレーニングを行っている。

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