思春期になると夜更かしになるのはナゼ?
みなさん、こんにちは!
【スポーツ×睡眠】をコンセプトにアスリートの睡眠サポートを行なっている、スリープトレーナーのヒラノマリです。
10代のお子さんを持つ親御さんなら一度はお子さんの夜更かしを注意したことがあるのではないでしょうか。
私も思い返せば、『早く寝なさい!』と怒られてばかりの思春期を過ごしていた気がします。笑
今回は、思春期の夜更かしと睡眠についてお話したいと思います。
朝型か夜型かは遺伝子で決まっている
「朝の方が勉強がはかどる」、「夜の方が集中力がある」などお子さんにも、朝が得意な朝型タイプと夜の方が得意な夜型タイプがあるかと思います。
この『朝型』『夜型』といった睡眠のタイプは、イギリス・エクセター大学が2019年に発表した研究によると約70万人のゲノム情報(全遺伝情報)を調べた結果、朝型・夜型かは300ほどの遺伝子の組み合わせで決まっていることがわかりました。
つまり、朝型か夜型かは本人の努力で変えることは本質的には難しいことになります。
朝型の遺伝子を持つ子どもも思春期は夜更かしになる?
遺伝子によって朝型か夜型かが決まっているというお話をしましたが、それではなぜ思春期になると夜更かしになったり、夜型の生活になってしまうのでしょうか。
これは、年齢によっても体内時計が変化するためです。
よく小さいお子さんが大人より早く起きてしまうのも、幼少期はサーカディアンリズム(体内時計)のスケジュールが大人よりも早いので、大人より早く眠くなり、大人より早く目覚めるためです。
しかし、それが思春期になるとこのサーカディアンリズムに変化が起こるのです。
もとが朝型の遺伝子を持つお子さんであっても、思春期になると視交叉上核と呼ばれる体内時計の親時計である部位が大人よりも先に進みすぎることで、早起きが苦手になったり、夜更かしが多くなったりと夜型になりやすくなります。
お子さんの夜更かしに、こういった生理学的な理由があることが知っているのといないとではお子さんへの声のかけ方が変わってくるかもしれません。
『生理学的に仕方ない面があるんだ』と思えるだけでも、ママさんにも心の余裕がでますよね。
このような思春期特有の特徴を踏まえて、アメリカの一部の学校では始業時間を遅らせることで生徒の集中力を高める『スタート・スクール・レイタ―』という取り組みを行い、生徒の成績が上がったという例もあるほどです。
そして、10代のお子さんのサーカディアンリズムは、年齢を重ねるにつれてまたもとの時計に戻ります。
もちろん、この現象に甘んじて夜型生活を推奨するのは良くないですが、お子さんの中にはこのサーカディアンリズムによる変化で朝起きられず、不登校などのきっかけになってしまうケースがあることも事実です。
だからこそ、お子さんのことを責めすぎずに『また、もとの体内時計に戻るときがくるんだから』と温かい気持ちで見守ることも大切なのかもしれません。
きっとお子さんもこの10代特有の生理学的な現象を理解することができれば、心が軽くなるのではないでしょうか。
睡眠は、栄養学と比べてもまだ歴史が浅く、まだよく知られていない学問です。
その分睡眠の知識の有無が、選手としての強さに繋がります。
ぜひこの機会にお子さんとも睡眠について話してみてくださいね。