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SPECIAL INTERVIEW 「原口元気選手の母 原口 玲子さん」

日本代表メンバーとしてロシアワールドカップで活躍し、現在はドイツでプレーする原口元気選手。そんな原口選手のお母さんである玲子さんに、ジュニア時代の様子や、当時どのような食事のサポートをされていたのかをお聞きしました。

一番気をつけていたのは食事。栄養バランスを考えて作っていました

―― 小学生の頃、原口選手はどのようなお子さんでしたか?

「名前のとおり、元気でやんちゃでした(笑)。江南南サッカー少年団(埼玉県)に入っていたのですが、週に3回は練習で土日は試合。上の学年のチームでプレーすることも多くて、3年生のときに6年生のチームに入ったりしてました。ピッチに立てば、先輩でも関係なく呼び捨てにするし、ボールをこっちに出せって主張したり。でも、元気には小さい頃から海外でサッカーをやりたいという思いがあったので『そういうのはやめなさい』とは、一切言わなかったですね。海外でプレーするなら、自分で主張しないとやっていけないと思ってましたし、おとなしくしてるとボールもこないですから。元気の性格も考えて、海外に行きたいというなら、行ったほうがいいなって思ってました」

―― 個性豊かで自己主張できる選手だと、お母さん同士の付き合いも大変かと思うのですが。

「いろいろ言われましたよ(苦笑)。でも、あまり気にしないタイプなので、周りから言われても、どうしよう……とは思わなかったですし、元気にもとくに言わなかったですね。確かに生意気すぎるところもあったので、何か言われたら『いつも生意気ですいません!』って謝って。ただ、挨拶や危険なことに関しては厳しく言ってました」

―― 他に、どういったことに気をつけてサポートされてましたか?

「食事のことは、一番気をつけてましたね。健康じゃなきゃ何もできないし、身体を健康にする土台は食事だと思っているので。3食きっちり食べるようにしてたのはもちろん、5大栄養素――エネルギーのもとになる炭水化物、血や肉を作るたんぱく質、身体の調子を整える野菜など、頭の中で考えて、すべての栄要素がとれるように作ってました。朝、たんぱく質が少なかったら夜ごはんに多くして、1日の中でバランスがとれるように。身体を作らなきゃと思っていたので、とくに意識してたくさん食べさせていたのは、野菜とたんぱく質。たんぱく質は魚、肉、卵、豆など、できるだけいろいろな食べ物からとるようにしていました」

野菜を食べるための“食べる味噌汁”。いろんな食材を入れて1つの料理に

―― 今、朝ごはんがパンの家庭も多いようなのですが、原口家はどうでしたか?

「ほとんどごはんでした。炭水化物がしっかりとれますからね。それと味噌汁。といっても、うちの味噌汁は、野菜を食べるための“食べる味噌汁”なんです。生野菜でたくさん野菜をとるのって、すごく大変じゃないですか。だから毎朝の味噌汁には、冷蔵庫にある野菜はもちろん、ブロッコリーの芯まで、とにかく野菜をいっぱい入れるんです。子どもたちには、『汁は残してもいいから具は食べろ』って(笑)。

仕事をしていると、時間もないから、とりあえずいろんな食材を突っ込んで1つの料理にすることが多かったですね。一皿食べれば、いろんな栄養がとれるような。例えばチャーハンにしても、野菜も肉も納豆も入れて、最後に卵焼きをのせたり、牛丼も、肉と玉ねぎだけじゃなくて、ニンジンもピーマンも入れて。ただ私は、栄養のことは考えるんですけど、料理の腕はそんなにないんです。だから、つい同じ料理になって、家族からは『また同じだよ!』って言われてました(笑)」

――食事はいつも家族みんな一緒でした?

「夜ごはんはどうしてもバラバラなことが多かったんですけど、朝食は基本は一緒に食べてました。その中で『今日の朝は野菜が少なめだね』『たんぱく質がたりないから、夜はお魚をとろう』『筋肉を作るには、たんぱく質が大事なんだよ』など、家族みんなで栄養の話をしてました。そんな環境だったこともあって、元気は中学生の頃になると、自分で食事管理ができるようになってましたね。

子どもが3人いるので、大皿で料理を出してしまうと、誰がどれくらい食べたかわからないんです。だから、それぞれに少し大き目のお皿を用意して、それに全部のせて出してましたね。そうすると、誰が何を残しているのかがわかるので、残していると『食べなよ!』って注意して。残すことには厳しく言って、しっかり食べさせるようにしてました」

―― お菓子やジュースに関して、何か決めていたことはありますか?

「お菓子や炭酸飲料は、もともと家においてなかったですね。元気に食べさせないためというより、家族みんなが食べないから。飲み物は、子どもたちは牛乳が一番好きでした。あとは100%のジュースかお茶かな。お菓子も炭酸飲料も、家族が誰も食べないし、飲まないから、元気もそれが当たり前だと思ってたんですよね。だから、あまり食べたいとも言わなかったですし。サカママのみなさんも、お菓子や炭酸飲料を家におかなければいいと思いますよ!」

成長期で伸びる時期だからこそ、食事に気をつけ、健康な身体づくりを

―― 試合のお弁当作りが大変というサカママの声もよく聞きます。何か工夫されていたことは?

「お弁当でパンを持たせるときに作っていたのが“マキサン”です。巻き巻きサンドイッチっていう意味なんですけど、薄いパンの上に具を置いて、くるくる巻くんです。具は、チーズやハムをしきつめ、ニンジンや茹でたアスパラガスなど野菜も入れて。ラップで巻いておけば、こぼさずに食べれますからね。これは、けっこう好評で、リクエストもよくありました」

―― 最後に、サカママのみなさんにメッセージをお願いします。

「小学生の頃は、成長期でぐんぐん伸びていく時期だからこそ、健康管理、食事が何よりも大事だと思います。お母さんたちは、サッカーのレベルや技術については専門家ではないですよね。でも、一番大切な、健康で強い身体を作ってあげることはできると思うんです。そのためにも、食事には気をつけてあげてほしいと思います。我が家のような食べる味噌汁を作ると、最初は『何この味噌汁!』って子どもたちは言うかもしれません。でも、食事は毎日のこと。気をつけて続けていれば、それがいつのまにか習慣になっていくはずです。

元気は、擦り傷はしょっちゅうありましたけど、何ヶ月もサッカーを離脱するようなケガは小・中・高でもないですし、大人になった今も、そんなに大きなケガはしてないんですね。それは、子どもの頃の食事や、しっかり食べていたおかげだと思ってます。子どもたち、家族全員が健康なのは、毎日の食事がよかったからじゃないかなって。みんながそう思ってくれてるかはわかりませんけど(笑)」