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振り返ってみよう! 子どもたちの見守り方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

振り返ってみよう! 子どもたちの見守り方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
6月に入ってから、夏を感じさせる暑さになってきました。梅雨時だというのに刺すような日差しに、プレーしている子どもたちだけでなく、観戦している保護者の皆さまもぐったりとしてしまう日も少なくないのではないでしょうか。

これから熱中症などのリスクが高まってきます。日差しが強く、今日は暑い! という日は警戒するものですが、曇ってはいるけど蒸し蒸しとする湿度の高い環境下では油断しがちです。子どもたちだけでなく、保護者の皆さまもこまめな水分補給を心掛けて、楽しいサッカーライフを過ごしてくださいね!

各カテゴリーで夏の全国大会に向けた予選が繰り広げられています。子どもたちの活躍を楽しみに観戦に行かれる方も多いかと思いますが、期待が大きすぎるが故の〝行き過ぎた応援〟や〝子どもたちに対する不安〟を抱いてしまう方もいるのではないでしょうか。そこで今回は『振り返ってみよう! 子どもたちの見守り方』と題して、子どもたちへの働き掛けについて考えていきたいと思います。

我が子であっても客観的な視点を持つこと

これはとても難しいことだと思うのですが、集団の中にいる我が子を客観的に捉える必要があります。とくにサッカーの技術や戦術ではなく、集団の中にいる子どもたちの様子をしっかりと見てあげること。お友達との関係性や、練習や試合への取り組みなどをジャッジしてあげることが大切です。

また、客観的に我が子を見たうえで、子どもたちの足りないところだけでなく、良いところをしっかりと見つけてあげることが大切です。悪いところが目に付いてしまいがちですが、そこはグッと堪えて良いところを見つけるようにしましょう! そして良いところ、悪いところを把握したうえで、どのように伝えるか? を考えてみましょう。思いついたことをすぐに言葉にしたり、感情だけで話しをしないように注意してください。演じてでも子どもたちのモチベーションをコントロールしてあげることが大切だと思います(時には自分の想いを感情的に伝えることはあると思いますが…)。

気を付けてほしい保護者の対応

現地での試合観戦のときやご家庭内でも、子どもたちのミスに対して、頭ごなしに感情的に怒らないようにしたいものです。子どもが自分の判断ではなく、大人の顔色を見てプレーするようになってしまったら、注意が必要です。プレーが終わるたびに大人の顔色を確認したり、臆病になっている様子があるのは、ミスをするときつい言葉を投げ掛けられ、怒られてしまうからです。

大人であっても、仕事で上司から頭ごなしに怒られてしまったら、臆病になってしまいますよね。子どもたちは一生懸命それに応えようとしますが、少しずつ心は疲弊していってしまいます。

誰かと比較をしないこと

『〇〇くんは凄いね~』『〇〇くんはできるのに。。。』
というように、保護者の方が周囲と比較して見てしまう気持ちは解らなくもありません。しかし、保護者の方の一言が子どもの劣等感を生み出してしまう可能性があることを忘れてはいけません。お父さん、お母さんは一番の味方であってほしい存在です。ぜひ、我が子の成長を認めてあげてほしいと思います。

どんなに小さなことでも構いません。小さな成功体験の繰り返しが子どもたちの自己肯定感を育み、チャレンジする姿勢を作り上げてくれます。我が子が寝返りをしたとき、ハイハイをしたとき、立ち上がったとき、歩き出したとき…その全てに感動して手を叩いて喜んだ日を思い出してください。

何が良くて、何が悪いのか? を伝えてあげること

これはサッカーの技術や戦術の話しではありません。サッカーも人がやることですから、その人の考え方や価値観が行動(プレー)の選択に大きく影響します。〝サッカーがうまければそれで良い〟というわけではありません。サッカーのみならず何をするにしても、社会に出て広く受け入れてもらえるような人間性を高めていくことが大切です。サッカーだけ特別であるというわけではありません。

小中学生のうちは、少しやんちゃな子のほうが目立つものです。大人にも砕けたコミュニケーションができる子は、大人に可愛がられることもあるでしょう。しかし、だからと言って何でも自由になってはいけませんし、仲間を傷付けたり、自分の主張ばかりすることは違いますよね。スポーツにおいては、そういった攻撃性が良い方向に働くこともありますが、日常とスポーツにおける競争は違いますから、仲間を大切にできなかったり、横柄な態度が見られるようなことがあれば、大人が正してあげる必要があります。

トレセンや選抜に選出されたら考えること

トレセンや選抜に選ばれると、周囲からも注目されるようになるかと思います。しかし、選出されたからといって、所属チームの中で偉くなったわけではありませんし、チームの活動がおざなりになってしまっては本末転倒です。

むしろ周囲からの見られ方が変わるぶん責任も大きくなるので、これまで以上にチームへの貢献を考えなければいけません。それは保護者の方も同様です。偉そうな振る舞いも慢心も必要ありません。子どもたちがそんな素振りを見せていたら、保護者がそれを正しい方向に導いていく役割があります。トレセンや選抜活動に選ばれたからこそ、チームに良い影響を与えられる、良いお手本となる選手を目指してほしいと思います。

チームの仕事はみんなでやろう!

チームのみんなでやらなければならない準備や片付けがあったとします。集団の中では、いつも準備を積極的に取り組む子と、黙って様子を見ている子がいたりしますよね。瞬間、瞬間では通り過ぎていくことですが、いつかどこかでチーム内に亀裂が入るものです。あの子はやっている、あの子はやっていない…大人の社会でもありますよね。

みんなのために動けることが、結果的には自分のためになるものです。自分だけ良ければ良いということではありませんから、子どもたちにも、そういったことに向き合わせてあげてください。

うまくいくことばかりではないことを経験させよう

プレーがうまくいかないとき、投げやりになったり、仲間に強く当たってしまったりすることがあるかもしれません。周囲の仲間がそういった振る舞いに気を遣ってしまって、仲間の積極性がなくなってしまうこともあります。

子どもですから、感情が前に出てしまうことはあると思います。そういった振る舞いがあったとしても不思議ではないので、少し引いた角度で「どうしたら良かったか?」について話しをしてみてください。うまくいかないことに向き合う経験がとても大切です。

我が子が苦しんでいる姿や、もがいている姿を見ることは気分の良いものではありませんし、不安で心配なことだと思います。しかし、そういった時期は〝成長のチャンス〟です。〝失敗=悪〟ではないので、何が良くて、何が悪いのか? どのような姿勢で取り組めば良いのか? といった基準をしっかりと伝えてあげる必要があります。

これはサッカーだからといったことではなく、成長していく過程で必要なことだと思っています。

まとめ

〝できる・できない〟〝勝った・負けた〟など、結果だけで評価をしてしまうと、結果が出なければダメということになってしまいます。子どもたちは成功と失敗を繰り返して成長していくものですから、その時々において〝どのような姿勢で取り組んだか?〟を評価してあげる必要があります。

できないことがあっても、できるようになるまで一生懸命取り組めるような姿勢を育ててあげることこそが、結果的には成長の近道になるのだと思います。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル